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2005年2月22日火曜日

脱皮するには

高校時代の交換日記から。

(Ted)

1952 年 2 月 24 日()晴れ

 風呂を焚いている煙が階下から昇ってくる。隣で蓄音機、すぐ後ろでラジオ…。To abandon myself to take knowledge in and think の条件が完全に破壊される。
 午前は KZ 君が生物に分からないところがあるといって来たので、部屋へ上げた。彼をぼくの部屋へ入れたことは、安藤町にいた石引小 6 年のときに 2 回ばかりあるが、それ以来のことだ。教科書やノートが媒介となって、正午近くまで退屈することなく話し合った。彼は「床屋へ行くといいながら、長くなってしまった」といって、2着重ねて着ている洋服のすそを伸ばして立ち上がった。
 のど自慢の放送を耳にしながら、床の間のほこりの一つ一つさえも見えそうな日曜らしい明るさの中で昼食をすませてからは、Sam の知る通りである

 一挙に古い殻を脱いで変態しようとするのは困難なことだ。不必要なことをもくろんだり、他にまだまだ見るべきものがあるのに、5円玉の穴から覗いて見たようなものに、恍惚となったりしているかも知れない。これらの煩わしくて無用なことを超越するには、そして、動揺しない堅実な自己を打ち立てるには、沈黙が方便であり、必要かも知れない。しかし、沈黙は万能ではない、と考えるのだが——。

1952 年 2 月 25 日(月)曇り

 授業は 2 時間だけだった。
 昨日の学力テスト [1] の問題が新聞に載っていたのを見たかい? 載っている中にはそんなに難しいのはないが、昨年より難しかったそうだ。国語乙の時間に S・T 先生は 400 点満点だとかいっていた。[2]
 習慣と欲望の矯正。自らを忙しく保つこと。意志。——書き並べるだけでは仕方がない。

 引用時の注

  1. 高校進学者選抜の県下一斉テスト。
  2. 先生が国語の問題に挑戦し、全部できたということだったか。

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