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2005年4月28日木曜日

ハンス・ベーテはいわば私の恩師の一人



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 さる3月6日に98歳で死去したノーベル賞物理学者ハンス・ベーテは、原爆の開発に深くかかわったが、戦後は一貫して核軍縮を提唱した。エミリオ・セグレの編集した実験原子核物理学の大部の教科書中にベーテが J・アシュキンと共同で書いた放射線の物質透過に関する一章を、放射線物理学分野で研究をした私は繰り返し学んだのであり、彼は、いわば、私の恩師の一人である。ベーテは90歳を過ぎてなお重要な学術論文を発表し続けたが、これは多くの科学者が手本にしたいと考えることであろう。

 ベーテについては、彼のノーベル賞の対象となった論文が、エドワード・テラーの要請で、ごく短期間にまとめられたものだとか、彼と共著者たちが冗談で書いた論文が専門誌に採用され掲載されたとか、アルファーとガモフの共著論文にアルファー、ベータ、ガンマに似せるためだけに彼が共著者にされたとかの逸話もある。NPT(核不拡散条約)の再検討会議が来る5月2日から国連で開催されるが、ベーテの意志を尊重して、核廃絶への道の強化されることが望まれる。(上のイメージはベーテの論文選集 [1]。)


  1. H. A. Bethe, Selected Works of Hans A Bethe with Commentary (World Scientific, Singapore, 1997).

 後日の注:最初の掲載サイトでは、本記事の英語版は和文に続いて記載されていたが、再現に当たって別サイトに分離した。したがって、以下の Y さんのコメントは英語版を合わせて読んだ結果のものである。

[以下、最初の掲載サイトでのコメント欄から転記]

Y (Nomura, Atsuko) 04/29/2005 13:14
 Ted さんのお立場と人生から流れ出る、最も大切なブログの一つだと思います。素晴らしいブログをありがとうございます。
 ①本ブログを開いてから、コメントが書けるまでに大変に時間がかかった理由の「第一」は、さすが Ted さんのお人柄そのものですね、ものすごく平易な読みやすい英語、英文です。それで私は何をしていたのかと言いますと、8年程は英語を全く読んでいなかったのですが、Ted さんが「最も基本的な単語ばかり」を選んで使っていらっしゃって、多くの読者さんが読みやすいだろうという意味でも、素晴らしいブログだと思い、私はその個々の単語の多くを、「英単語の美しさ」の一つ一つを眺めていたんですね。昔、語彙を増やすのに非常に役立った、語源分解していけばどんどん語彙が増える、覚えやすく初めての単語でも意味が推測できる、…こういったことでは今日はなくて、「単語一つ一つ」を普通に「まとまり」として見まして、英語は世界標準語だ、というのとはまた別の価値・意味を感じてもよいような、なんというのか、やはり美しい言語だなあと思っていたのです。
 私の博士論文は当面、少なくとも執筆は多少延期して他の多くの仕事を先にしようかと計画している所なのですが、これから書く本格的な論文の中で、必ずしようと思っている必然的な研究が、「言語の探究」です。私の手持ちの言語は、日本語・ドイツ語・英語ですね、これをそれぞれ探究したいと思っています。理由は詳説に過ぎるのでここでは省略しますが、たとえば「直観」と「直感」の相違と深い関連性の研究、これが私の第一にくるテーマには、不可欠なのです。簡略に言いますと、統合失調症(論)の現場(患者さんとのなまの出逢い)に根ざした研究に欠かせないと考えているのです。言語学はソシュールなどは読んでいました。けれど、それとは全く違う探究の仕方になると思います。それから、京大入試の難解英作文が私は最も得意だったのですが、本当に世界標準語である英語で物書きをしなければならないことが解っていますので、地の底に落ちた…英文執筆能力をつけることも、重要課題のひとつです。
 ②私は物理学者さんでいらっしゃる Ted さんが、ずっと平和活動も大いにしていらっしゃる、「個人主義に立脚して」の方針のみ、の私の志望する平和活動と Ted さんの平和活動は対照的ではあっても、だからこそ関心深く思っていました。それで、物理学の中でも、ハンス・ベーテ氏と同じく、 Ted さんも原子核、放射線物理学の方面をずっとなさってこられたと思うのですが、その長いご研究の日々が Ted さんの平和への思いと、葛藤を起こさないのだろうかと、それが一番ご質問申し上げたい点でした。でも、本ブログでそのお答えはすべて頂けましたね。「原爆の開発に深くかかわったが、戦後は一貫して核軍縮を提唱した」ハンス・ベーテ氏と同様ですものね。ダイナマイトの開発、原爆の開発、人生の多くを科学研究に捧げる科学者の方々は、その後、その研究開発が時代によって活用される方向のために、大変不条理な人生体験をしなければならないのだろうな、と思ってはいました。ですから、もちろん、Much remains to be done before the world can feel safe from a nuclear holocaust. なのですよね。non-proliferation, disarmament, and peaceful uses of nuclear technology ですね。
 ③今日は、名前欄の通り、私の実名でコメントさせて頂いていますが、確かに最年少発症の complex PTSD で日本初(学問界でももちろん初)だと思われる、精神障害国民2級として認定され、最近までの事情展開によってもうこの障害の重さは不治ではないかと自分では判断しています。けれど、そんなことを悲観してはいないのです、この人生を生き抜いて、今初めて最も学問研究をする人間力がついたことが、「学者に対して限りない憧れと反発を抱き続けた」私にとっては、これほど嬉しいことはないのです。未だ全くの同志には出逢っていませんが、知る限り日本で初めての、現象学的精神病理学・哲学・精神分析学という道を通っての、社会福祉学を堂々と本格的な学問にしたい志の一研究者として、頑張っていきたいと思います。Ted さんに学問のお話など、いろいろお付き合い頂きながら。事情・病状・仕事の余りの多さ、深刻さで、病気はとうに「犠牲にしている」のですが、とにかく理性・感性を最大活用して、もう精神の限界も超えてしまっていますが、不断の選択としてこの生を選び取っていきたいと思います。

Y (Nomura, Atsuko) 04/29/2005 13:28
 語源分解、という言葉があっているか、失念しましたが、たとえば、「パースペクティヴ」= per-spect-ive=perspective という風に、分解すれば個々の per などの意味から、単語の意味がしっかり解る、ということですね。

Ted04/29/2005 18:03
Thanks for your kind and long comment. I also have a model person among famous physicists for writing essays in simple words. That person is Victor Weisskopf. He is a theoretical nuclear and particle physicist born in Austria and worked in America, and was a friend of Hans Bethe. I studied the thick textbook "Theoretical Nuclear Physics" written by him and Blatt in my young days, and read three or four books of collected essays written by Weisskopf in later years. So Weisskopf is also one of my teachers.
It is nice that you consider it one of your themes to make research in languages. So we have another common interest besides "time" and "space."

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