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2005年5月18日水曜日

新しい白壁の部屋



写真は堺市浜寺公園の「ばら庭園」で、2005年5月15日。

 高校時代の交換日記から

(Ted)

1952年8月5日(火)晴れ

 新しい白壁の部屋。光っている机、正方形に切られた窓、新建築物に特有の匂い(京都の伯父の家を思い出させる)、静寂…ただセミの声のみ。これが昨日からのぼくの午前の環境だ。窓から見えるのは、前田家の墓地。赤松がそこに生えている木の大部分のようだ。「上野学園」の一室である。出来たばかりで入園児は2人しかいないらしい。園長である前盲ろう学校長の S・S 氏が、静かでよいから夏休み中毎日ここへ来て勉強しなさいと、同校に勤める母を通じて、ぼくにいわれたのだ。周り中真っ白で、絶えず塗料の匂いがするので、少しばかり気が変になりそうだが、静かさと腰かけて向かう机とがよい。風は家にいるよりも入って来ない。

 19人の重臣や兵卒が一人のあまり有能でもなさそうな王を守って奮戦し、敵の捕虜といえども彼らの生まれながらの位階によって、重要な味方となり、時には攻撃の先鋒を承って、初めは自分が仕えていた方の王を往生させることもあるゲームを、ぼくがしないでいる心理が分からない、と Sam はいったね。何も Sam に分かって貰えないような難しい心理を持ってそれを拒絶しているのではない。ただ、いまのぼくには、沈思黙考してヤリやフ(香車とか歩兵とか書いてあるのに、なぜこう呼ぶのだろうか)をひねくっていることよりも、もっと重要なことがありそうな気がするのだ。

 われわれは(もしも Sam が、ぼくの一昨日書いた必要条件を持ち合わせているなら)Minnie の家へ2度足を運ばなければならないだろう。葉書も書かない、電話も駄目で、突然行くならば、決して目的(事務的な目的はない、といったが、全くすべての意味でないわけではない)は達せられないだろう。で、初めに、ほんの事務的な断わりを得に行った方がよいだろう。

[以下、最初の掲載サイトでのコメント欄から転記]

Y 05/19/2005
 前盲ろう学校で、夏休みの勉強を始められましたか。私はゲームは苦手なのですが、将棋は大好きです。鍛えている暇がないのですが。
 「葉書も書かない、電話も駄目で」…。礼と先生のご多忙など、いろいろなことを考えていますので、精神分析学の新宮先生へのお葉書を今、出してきたところです。Ted さんも、葉書も電話も駄目ということでしたら、Minnie さんへ封書の手紙は余計に、出せなかったですよね…? 私は先生がたの開封のご負担を考えているので、ほとんど葉書、場合によっては FAX で学術的なことも私生活もご報告しているのです。葉書だったら、お疲れでも読もうという気持ちにならない先生はいらっしゃらないだろうと思って。
 「人麿文学の最高峰」ブログを読みたいので、次に参ります。

Ted 05/19/2005
 「上野学園」は「前盲ろう学校」でなく、盲ろう学校生徒のために新設された小さな寄宿舎で、前盲ろう学校校長が園長になっていたのです。
 このときの日記になぜ「葉書も書かない」とあるのか、よく覚えていませんが、先方からなかなか返事が来ないと、いらいらする原因になるので、葉書であらかじめ訪問の連絡をするのは止めておこう、というように Sam と相談したのかも知れません。

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