さる4月20日、イギリス映画『スラムドッグ$ミリオネア』(原題 "Slumdog Millionaire")を見た。今年(2009年)、アカデミー賞の作品賞、監督賞、脚色賞、撮影賞、編集賞、録音賞、作曲賞、主題歌賞と、最多8部門で受賞した2008年のダニー・ボイル監督作品である。沢山の賞を取ったにしては、私が感銘を受けるところは少なかった。スラム街で育った子どもたちが逆境を乗り越えて、したたかに生きるところの描写はよい。他方、平行して交互に流れる、主人公ジャマールが青年になってから(デーヴ・パテルが扮する)の場面は、主にTVのクイズ番組の公開放送である。(他の場面もあるが、それはこれから見る方々のために書かないでおく。)
私は、昔ラジオで放送されていた「話の泉」のような、教養ある回答者たちが答えを推理する過程を話しながら進めるクイズ番組は好む。しかし、出場者が多額の賞金を目当てにして、与えられた選択肢から答えを選ぶクイズは好まない(ジャマールの出場目的は賞金ではなく、別のところにあったのだが)。このことが、私のこの作品に対する評価を下げているのかも知れない。青年がクイズの正解のほとんどを、子ども時代の貧しく困難な暮らしから学んでいたというのも、偶然性が多過ぎて、いかにも作り話的である。
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