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2009年5月19日火曜日

M.Y. 君からの感想(2009年4月分)

 M.Y. 君から "Ted's Coffeehouse 2" 2009年4月分への感想を5月18日づけで貰った。同君の了承を得て、ここに紹介する。青色の文字をクリックすると、言及されている記事が別ウインドウに開く。

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1. 『北風と太陽』「オバマ大統領の核廃絶演説」

 北朝鮮の最近のミサイルテストに対する国をあげての不安と騒動に関して、「北風と太陽」という寓話を引用して「北朝鮮がミサイルらしいものをテストして、日本の上空を飛ばせたからといって、わが国は同国の発射施設を攻撃することも必要との論をぶった政治家がいた。彼は、この寓話を知らないばかりでなく、日本国憲法9条とそのよさも知らないようである」と結んでいます。

 朝日新聞4月22日づけ朝刊のオピニオン欄「北朝鮮と向き合う」で、一貫して北朝鮮への太陽政策を主張してきた金 大中・元韓国大統領が、インタビューに答え、「大事なのは、北が安心して生きる道を開きながら懐柔していくこと。北ではたとえ人民が飢え死にしても体制維持には代えられない。残忍なようだが本当なのです。そして体面を病的に重んじ、冷戦時代にはソ連とも中国とも対決した。それをよくわきまえないといけない」と。

 ――韓国は北に巨額の資金も送りました。見返りが乏しいという批判も、との質問が続きます。そして、

 ――あくまで楽観的なのですね――という質問に答え、「共産国家を封鎖して成功した例は歴史にはない。ソ連や東欧もヘルシンキ宣言で領土を保証されたが、文化や人の交流を許したことで動揺がおきた。それで、やがてゴルバチョフが出てきて改革開放、さらに民主主義へと進んだのです。北朝鮮も国民が外を見れば変わる。衣食住を全部政府に依存し、政府の言うことだけずっと聞いてきた社会ですよ、封鎖しても絶対に変わらない。国交を開けば、大使館も商社や文化施設も入る。もちろん非常に扱いにくく難しい国ですが、だから、忍耐が必要なのです」と。

 ――日本には拉致問題がありますし、ミサイルにも敏感です、との質問に、「日本にミサイルを撃ち込めば米国も黙っていないし、北は廃墟になります」と述べています。このような内容が寓話「北風と太陽」方策の現実的な成功への道の例でしょう。

 「オバマ大統領の核廃絶演説」について筆者は、「歴代政権が広島・長崎への原爆投下を正当化し、核兵器の使用も辞さない政策をとり続けてきたアメリカでさえ、このように国の政策を変えようとしているときに、日本がもしも憲法9条を変えて、海外で戦争をする国になるならば、それは歴史の歯車を逆転させる、まことに愚かな行為といわなければならない」という感想を述べています。同感です。核兵器を使用した唯一の国である米国が、核軍縮を率先する道義的責任を持つと明言し、自由な社会は、人々の弛まぬ意志と不屈の精神があってこそ実現すると語りかけました。画期的で優れた歴史観を表明した演説だと思います。

2. 「レッドクリフ Part I」、「同 Part II」「スラムドッグ&ミリオネア」

 レッドクリフ Part I の感想(2008年11月19日)に「わが家から10分ほどのところにできたシネマコンプレックスで、大いに楽しむことができた」とありました。映画を身近に楽しめてよいですね。

 三国志の舞台となった各地を訪ね、悠久の歴史に思いを馳せつつ、そのドラマにまつわる名詩の数々を味わうというTV放送[テキストは、『漢詩紀行(三)』(NHK出版, 1994年7月)]がありました。赤壁については、蘇軾は、赤壁懐古で人の世は夢のごとし、と赤壁・英雄の戦いを詠み、杜甫は、蜀相で遥かに思う老臣の心と、諸葛孔明に思いを馳せ、李白は赤壁歌 送別で、周瑜が曹操を破った戦いを詠み、君も去って大江のほとりでその碧く澄む水を眺め、その遺跡を認めるだろう、その思いを手紙に書いて知らせて欲しいと、送別の詩を書いています。

 中国人の手で作制すれば、中国ならではのよさがだせると思いますが、筆者がいうように「こうした国際性が、つぎ込んだ金額は別として、多くの観客を動員し得る出来栄えの支えになっているであろう」ということでしょうか。

 最近の新聞に「『スラムドッグ』の子役たち家撤去で路上生活に」との記事がありました。中心人物で子役時代を演じたアザルディン・イスマイル君 (10) は「行く場所がなくなり、暑い中、路上にいるしかない。今日は食事も食べられるかどうか分からない」と沈んだ様子で話した、とありました。

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