先週の日曜だったか、朝日紙の読書欄に日本語についてのコミックエッセイの本『日本人の知らない日本語』 [1] が紹介されていた。——日本語学校へ入学してきた上品なフランス人女性が、自己紹介をするようにいわれて、「おひかえなすって!」といったという。フランスで任侠映画を見て日本語を覚えていたのだった。——このような、思わず吹き出すような話がいくつも書いてあるということだった。
私は言葉から生じるおかしさを好むので、さっそくアマゾンで注文しようと、その本の詳しい情報を見た。コミックエッセイとはコミック風な内容のエッセイ本かと思ったのだが、そうでなく、エッセイをコミックスタイルで書いたものと分かった。一瞬、ちゅうちょしたが、注文した。洋書と一緒に注文したので、昨日ようやく届いた。
その本の中に、「おられます」という言い方は、「文法的に間違い」とある。「おる」は「居る(いる)」の謙譲語なので、「られる」をつけて尊敬の形にしようとしてもダメ、という理由である。私は高校時代には、まさにそのように思って「いられる」と書いていた。しかし、5年ほど前に、一流の随筆家が「おられる」を使っておられるのを見て、辞書でもそれが可能であることを確かめ、いまは大いに使っている。
その随筆家が誰だったかは覚えていないが、辞書では、たとえば、インターネットで見られる『大辞林 第二版』に「おる」の補助動詞としての用法として、「おられる」の形で尊敬の言い方として用いられることが書いてある [2]。「先生はすでに知っておられるようだ」の用例も挙げてある。「いられる」より「おられる」のほうが、語呂的に落ち着くように思う。
なお、『日本人の知らない日本語』には文化審議会答申「敬語の指針」[3] を、文化庁のホームページで読むことができるとして推薦してある。しかし、文化庁のホームページ内で探すことがさほど容易ではなかったので、以下の文献リスト中にリンクしておく。PDFファイルになっており、ダウンロードすることができる。
文献
Random writings of a retired physicist
Continuation of "Ted's Coffeehouse" (now being restored in archives of this site)
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