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2004年11月22日月曜日

Mi amas vin(愛してる)

 物理学者米沢富美子さんの半生記『二人で紡いだ物語』が文庫本になった。彼女は私の出身大学の同じ科の後輩に当たる。しかし、学年が 3 年離れていて、専門分野も大きく異なったので、話したことはない。彼女は女性最初の日本物理学会会長も勤め、すっかり有名になった。学会会場になっていたある大学のキャンパスで一度、私がたまたま一緒にいた N 女子大の S さんと、少し離れたところから身振りか大声かで挨拶を交わすのを見たことがある程度だ。

 米沢さんは、大学入学式の日、エスペラント部室で将来夫となる人と出会ったそうだ。私は 2 回生か 3 回生の初め頃、そのエスペラント部の展示会を見た。見たついでに、そこへ入部しておけば、米沢さんと親しくなれたのだった!

 私は、その展示会で "Mi amas vin" という言葉を覚えた。そして、待望の夏休み…。

 その頃、私は休暇のたびごとに、中学時代の同期生 K 子と会って話し合うことを楽しみにしていた。彼女は郷里の大学の文科系の学生だった。その年の夏休み最初の彼女とのデートのとき、私はエスペラント部の展示会を見たことを話した。

 展示会には、芥川竜之介の『河童』のエスペラント訳本もあった。その題名は "La Kappo" だった。エスペラントは、いろいろなヨーロッパ語をもとにしているので、覚えやすそうだ。たとえば、"Mi amas vin" といえば?——というようなことをいい、そこで、彼女の返事を待った。この言葉はフランス語に近い。彼女は第 2 外国語としてフランス語を習っていた。

 K 子は、ちゅうちょ気味に「"I love you"?」と答えて、微笑んだ。——青春時代のたわむれのひとこまである。——

 私が中学生のころ、エスペラントの創始者ザメンホフの話が国語の教科書に載っていた。しかし、最近の若い人たちは、学校でザメンホフやエスペラントのことを習わないらしい。昨年イタリア旅行をしたとき、有能な美人添乗員さんにイタリア語の "I love you" である「ティ・アーモ」を習った。お返しに「エスペラントでは…」といったら、「エスペラントってなに?」といわれた。

 『広辞苑』によれば、
[Esperanto](「希望ある人」の意)ザメンホフの創案になる人工の国際語。…
説明は 8 行にも及んでいるので、以下略す。公表は 1887 年とのこと。

コメント(最初の掲載サイトから転載)

Y 11/21/2004 19:09
 こんにちは。小さな言葉で交わす愛や恋、ですね。私は、性格のためか、体当たりの愛や恋ばかりやってきたようなので、Ted さんのような小さく美しい、心の素敵なときめきとして残るような愛の言葉のやりとりよりも、なんだか、若かった時代を駆け抜けた、いろんな愛や恋の体験が、ただ駆け抜けてくれなければもう耐えられないような…そんな感じで残っていることが多いかもしれません。
 好きな人との、心からの言葉のやりとりもたくさんしたのですが、何か、長年の心の病気体験にも近いような、重い思い出としてばかり残っているような気がしました、Ted さんのブログを読んで。それでも、異性との愛や恋で、心からの言葉のやりとりだけでも本当にたくさんの幸せを経験してきましたし、それは、満足ですが。いつも、「心から」であって、「駆け引き」とか「戯れ」とか一切なかったんですね(笑)。
 本当に Ted さんは繊細でいらっしゃるばかりでなく、私とのやりとりでもお心が広くていらっしゃるので、大切にお付き合いいただきたいなと思います。長くなりましたね。

Ted11/21/2004 21:42
 恋や愛も十人十色。由名さんは、まっすぐな激しい恋を重ねて来られたご様子、打算的な生き方をする人の多い現代において、貴重な存在です。

M☆ 11/21/2004 20:48
 エスペラント…私も知らなかった…。自分の年が幾つになってもこの世には様ざまな知識、知らない世界が溢れてるんですよね。死ぬまで勉強したい…時どきそんな衝動にかられます。
 ちなみに私が中学生の頃に読んで感銘を受けた本、それは『孫子の兵法』でした(笑)。

Ted 11/21/2004 21:50
 『孫子の兵法』を詳しくは知らなかったので、「岩波文庫解説総目録」を開いて見ました。「戦略・戦術の論議において示されているその深遠な洞察は、単に戦争だけでなく広く人生全般の問題に適用できる知恵を含んでいる」とあります。ほほう。それで、M☆さんは、すてきなお母さんぶりを発揮していらっしゃる…。

M☆ 11/21/2004 22:10
 『孫子の兵法』はサラリーマンにも人気のある読み物だと聞いたことがあります(^_^)。十人十色の世の中に、様ざまな生き方、人との接し方があり、自分の身をどうおいて生きていこうか、まだ中学生でしたが(中学生だったからこそ?!)そうした自分の行き方を真っ直ぐに見つめるきっかけとなった本でした。あれから 15 年以上…。育児には兵法も何もありませんな(え;)。日々、策略と謀の渦に飲まれて、その場限りの直球勝負(おい;)。ふふふ(^m^)また読んどこうかな…(呟)。

Ted 11/22/2004 09:45
I've learned from you, and I like your sunshiny character.

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