ページ

2016年12月13日火曜日

K 君へ 0 (To K-kun. 0)

[The text of this post is in Japanese only.]


(写真説明は本文参照)。

 前 2 回の記事のフェイスブックへのリンクに対して、M・M さんから「往復書簡形式の小説を読ませていただいてる気分」という感想を貰った。そんなに面白いならばと、図に乗って、前 2 回に紹介した手紙よりも先に書いた手紙も掲載することにした。「K 君へ 1」よりも先に来るべきものという意味で、「K 君へ 0」と題する次第である。



K 君

 秋冷の候となりましたが、いかがお過ごしですか。

 先般電話で申しましたように、妻と私は神戸市立博物館で開催中の『松方幸次郎コレクション展』を見に行くため、今月 24 日(木)、公立共済の宿・ホテル北野プラザ六甲荘に宿泊することにしています。貴君のご都合がつけば、24 日午後あるいは 25 日午前に六甲荘へお越しいただき、歓談出来れば嬉しいと思っています。

 お越しいただけるようでしたら、ご都合のよい日時をお知らせ下さい。

 朝夕が次第に寒くなる折、ご自愛のほど。

 草々

 2016 年 11 月 6 日
 T. T.

 追伸

 同封の写真は、今年の夏私が描きました水彩画で、『自鳴琴の館』と題しています。昨秋、京都嵐山オルゴール博物館を訪れて、その写真を撮ってきたのを参考にして描きました。自鳴琴とは、オルゴールを意味する古い日本語です。

 先日、独学で多くの成果を残したインドの天才数学者・ラマヌジャンとケンブリッジ大の数学教授・ハーディの友情を描いた映画『奇蹟がくれた数式』を見ました。数学が得意だった貴君にも興味のある映画ではないかと思いました(神戸では、来る 12 日から神戸国際松竹で公開されるようです)。私はこの映画の原作であるラマヌジャンの伝記 "The Man Who Knew Infinity"(和訳書題名『無限の天才』)を、英語の原書で 20 年ほど前に読んでいたことでもあり、大いに楽しめました。

本ブログ記事への注

 K 君は近年聴力が衰えてきていたが、今年の 2 月に頭部の帯状疱疹を患ってから、一層聞こえにくくなり、補聴器をつけていても、右耳はほとんど聞こえないという。そこで、手紙や葉書で連絡することが多くなった。それはそれで趣のあるものである。彼はインターネットを使っていないので、私のブログを見ていない。そこで、彼宛の手紙に同封したり、絵葉書としてプリントしたりして送る写真は、このブログサイトで既使用のものである場合が多いことを、読者の方々にはご容赦願いたい。

2016年12月12日月曜日

K 君へ 2 (To K-kun. 2)

[The text of this post is in Japanese only.]


(写真説明は本文参照)。

K 君

 お宅から貰って、ぶら下げて帰ったモミジが大きく生長し、今年は今月に入ってから、全体に紅葉しました。その写真をご覧に入れたく、この手紙を書いています。左上に緑色の葉が何枚か見えるのは、その下の網状のところから這い上がって絡みついたテッセンで、夏の間たくさん花を咲かせました。

 先日お目にかかった折に、私の日課をお訪ねでしたが、話せば長くなるので、お答えしませんでした。「机に向かってばかりか」とのご想像は、概ね当たっています。机といっても、パソコン机に向かっている時間が多いです。一口にパソコンを使っているといっても、内容は多岐にわたり、これも書けば長くなるので、またの機会にでもします。

 他には、読書(これは書斎机に向かってではなく、古い応接三点セット用の椅子 1 脚とテーブルを書斎に持ち込んであり、そこでしています。書斎は建て替えの時に欲張って 10 畳サイズにしました)、ウォーキング、庭仕事、体操、そして、特にお知らせしたいのは、夕食前の約 30 分間ないし 1 時間、歌を歌っていることです。

 最近私が歌好きになり、昔小・中学校で習ったような歌を歌っていることは、先年 M 君たちと会った折でしたか、貴君にちょっと話しましたね。声楽家・ソプラノ歌手・鮫島有美子の歌声が気に入り、彼女の CD『日本のうたベスト』、『ゴンドラの唄〜日本叙情歌集』、『ゆりかごの歌〜童謡・唱歌集』など(他にも何枚か持っています)に合わせて、1 日に 10 曲あるいはそれ以上歌っています。

 奥様は古いことをよくご記憶だそうですから、貴君も童謡などを奥様と一緒に歌われたらよいのではないかと思い、このことをお伝えする次第です(私は妻と一緒にではなく、書斎で一人で歌っていますが)。

 わが家の近くにある西区役所付属の文化会館・セミナー室で、数年前から毎年「うたごえ喫茶」という催しが開催されていて(参加者は約50名、比較的高齢の女性が大多数)、私はそれに毎回欠かさず参加しています。妻は山へ、私は「うたごえ喫茶」へ。なんだか、わが家の趣味は男女逆のようですね。先日お目にかかった日の 3 日前、11 月 22 日にも、今年のその催しに参加して、大いに歌ってきたばかりでした。

 妻と一緒にしていることといえば、金沢での墓参、年に数回の「かんぽの宿」を利用しての国内旅行、映画鑑賞などです。

 師走の忙しい時期です。お返事は年が明けてからでも、気の向いた時にいただければ幸いです。お元気でよいお年をお迎え下さい。

2016年12月6日
T. T.

前回と今回のブログ記事への注

 K 君は中学時代からの親友である。彼は神戸の高校に就職して間もなく、同僚の先生と大恋愛に陥り結ばれた。その奥さんは、彼自身が臆することなくいうように「頭のよい人」だったが、3 年前頃から、認知症になっている。彼のところには、子が 3 人、孫が 11 人できたが、その子・孫たちを世話する必要がもうなくなって、目標を失ったことが発症の一因ではないかと、K 君は話していた。

 先般 K 君と会った日の前日に、妻と私は神戸市立博物館へ『松方コレクション展—松方幸次郎 夢の軌跡—』を見に行き、ホテル北野プラザ六甲荘に宿泊した。翌朝、K 君にそこへ来て貰い、10 時頃から小一時間話し合い、カフェ・フロインドリーブ本店で昼食を共にしてから別れたのである。なお、六甲荘には K 君の最初の教え子の一人が、支配人を定年になった後も顧問として務めており、K 君が前日に私が泊まることなどを電話連絡したため、夕食にサービスがあって、恐縮した。

2016年12月9日金曜日

K 君へ 1 (To K-kun. 1)

[The text of this post is in Japanese only.]


(写真説明は本文参照)

K 君

 早速のお礼状、恐縮です。当方こそ、六甲荘でのサービスを手配していただき、フロインドリーブの美味しいパンを教えていただいた上に、クッキーのお土産もいただき、そして何よりも、楽しい時間をゆっくり共にさせて貰い、誠にありがとうございました。

 貴君は長年生徒たちを相手にして来られただけあって、話される内容が教訓的で、また、誰もが面白く聞くことができます。妻も大いに楽しんで聞いていたようです。私はあまり話しませんでしたが、妻の声の方が、周波数の関係でしょうか、貴君の耳には聞き取りやすいようだったので、遠慮していました。

 帰宅後インターネットで調べて、フロインドリーブがモデルになった NHK の連続テレビ小説『風見鶏』は、1977 年度後半に放映されたものと知りました。私はその頃、連続テレビ小説をあまり見ていませんでした。フロインドリーブは固有名詞ですが、前半の Freund は「友人」、後半の lieb は「愛すべき」の意味で、合わせて、「友愛的」というような意味になりましょうか。私たちが昼食をした場所として、いかにもふさわしい名称ですね。

 同封の写真は、私が七尾にいた国民学校 2 年生の時、国語の教科書(2 年前期用第六課「牛わか丸」、第八課「蛙」——これらの詳細もインターネットで確認しました)の挿絵を見て描いた絵を撮ったものです。この絵は大連・金沢・大阪への引越しや引揚げを通じ、他のいくつかのものと一緒に、不思議にも持ち運んでいました。わら半紙に描いたので、紙は薄茶色に変色しており、半分に折って保存したため、中央に縦の筋が入っています。国民学校の教科書は、奥様のご記憶にも残っているだろうかと思い、ご覧に入れる次第です。

 そろそろ冬の到来です。ご自愛下さい。妻からもくれぐれもよろしくと申しています。

 では、さらなる再会の日を楽しみに。

2016年11月29日
T. T.