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2005年2月20日日曜日

『南部の唄』("Song of the South")

高校時代の交換日記から。

(Sam)

1952 年 2 月 19 日(火)雪

 五時半頃から総勢半ダースで、循環バスに乗って北国第一劇場へ行く。本多町の北国会館前で電気バスが運転不可能になったりしたので、予定より十分遅れて劇場に着いた。窓口で総額百三十円支払う。
 短編漫画で字幕の出ないのは、絵から判じて見なければならないから、推理が働いて…というより、何も分からなかったといいたい。動物の漫画化にも、日本と米国の間には、だいぶん違いが感じられる。豚と狼(あれは犬かい)の漫画では、その近代的様式の調度に、また、小鳥と犬(ヒヨコと狼なのかい)の漫画では、その近代的設備に目を見張った。犬と兎の映画は一度見たもので、それに字幕が出たから、一番よく何をいっているのか分かった。
 題名や友人の批評などから考えていたよりは "Song of the South"
[1] は面白かった。教訓を多分に含んだ寓話劇部分には、これといって取り上げるべきところは見当たらない。漫画部分だって、そう奇抜でもない。しかし、人間と漫画の共演するところ(といっても、リーマス爺と小動物たちの場面と、終りの方のシーンだけだが)が、最もすばらしかった。この映画のねらいがそこにあったとすれば、それは成功だったといわなければならない。あの場合、あたかもそこに兎がいるように、蝶がいるように演ずるのは、はたから見ればこっけいであろうし、それをするのもなかなか難しいだろう。にもかかわらず、何ら間の抜けたようなところが感じられないのは、それだけでも大したものだと思う。それにしても、リーマス爺ほどに上手に話をすることが出来たらどんなによいだろう。

1952 年 2 月 20 日(水)雪

 おんやまあ。こりゃひどい。げっそりした。まあ仕方がない。あきらめろ(何について書いているんだい)。
 "O Captain! My Captain!" の詩
[2] を明後日までに暗誦出来るようにしなければならない。手段としてタイプを利用しよう。暗誦のためには、最小限二十回繰り返して読もう。と、こんな計画を立てて——。

 引用時の注
  1. 1946 年に発表されたディズニー映画。詳しくは Song of the South(英文)を参照。
  2. Walt Whitman の詩。こちら参照。

コメント(最初の掲載サイトから若干編集して転載)

テディ 02/21/2005 11:14
 私の子供時代では主に TV のアメリカのドラマでアメリカ人の生活様式の「刷り込み」を受けました。例えば「ルーシー・ショウ」「ハイウェイ・パトロール」「奥様は魔女」などなど …。TV が一般化する以前は映画館でアメリカのアニメが多数見られたようですね。これも「文明」を日本人の意識に浸透させる米国の戦略の一環であったとも言えるかもしれません。

Ted 02/21/2005 11:48
 そう、まさに戦略でしょう。私も「奥様は魔女」を楽しみましたが。

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