2005年3月20日日曜日

「東京シューシャイン・ボーイ」などを覚える

高校時代の交換日記から。

(Sam)

1952 年 4 月 3 日(木)晴れ

 北安江町の家(という説明でよいかい)へ Reader を持って、明瞭な説明を求めに行った、と書くと、Ted に対してはなはだ失礼なことになるが、まあ、聞きに行ってよかったと思う点がいくつもあったからね。
 "Daffodils" の三節目と四節目の始めの方を、ぼくは全く英文法を解しない訳し方をしていた。A poet で切り、could not but be gay と続けて考えなければならないところを、not と but の間で切り離してしまったり、but little thought のところを勝手に but a little thought の訳としていたなど(これらのことは Ted だって気づいていたかも知れない。ただ、それをはっきりと言ってくれなかったか、ぼくがはっきりと聞いておかなかったか、のどちらかだったかも知れない)。
 それから、"What wealth . . ." は (1) What wealth (2) the show (3) to me (4) had brought. というように分けてみれば、(2) が主語、(4) が動詞、(1) と (3) が目的語になっており、(2) (1) (3) (4) の順に訳していけばよいのだそうだ。
[1]
 そのあと、金大の様子や、英語の勉強法や知能テストに関する効果や、その他いろいろな話を聞いた。大学での文法は高校のそれと大きく違っていることを、It is fine today. Fine it is today. [2] で示してくれたり、英単語を覚えることが最大要件であることを説いてくれた。その覚え方については、「覚える覚えないの如何を問わず、一日に 20~30 の単語を見る。その九割までは忘れてもよい。一千語くらいの単語集なら二ヵ月くらい経てば、またもとの A に戻ってくるわけだ。試験に当たっては、『見たことのある単語だ!』と感じるのと、『全然知らない!』というのでは、そこに大きな心理的な差が生ずる」と、話してくれた。

1952年4月4日(金)晴れ

 昨日はほとんど練習出来なかったので、きょうは(ということばは不要だった)朝から Funny と流行歌集や童謡歌集などを引っぱり出してする。すべて彼の方がよく知っているように思われる。きょう「東京シューシャイン・ボーイ」や「角兵衛獅子の唄」などを覚える。こんなものは出るかどうか分からないが——。
 イヨウ! Funny! 何? 七字のことで。砂山のね——。他に「高——ラ」と「別れ船」か。「貴方は流行歌が得意ですね」か。なるほど。三曲全部は、たった一人しかいなかったかい。そして、映画が「ロハ」、そりゃ悪くないね。


 引用時の注
  1. 前日 Sam が帰ったあと、私は昔の『上級英語』誌にあった "Daffodils" の訳を日記帳に写したが、Sam がそれを見ることができたのは、数日後になる。インターネットはおろか、電話も自宅に通じている家の少なかった時代の意志伝達は、きわめてゆっくりしたものであった。
  2. あとの文は Fine is it today. と倒置すべところを Sam が書き間違えたか。

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