2010年9月27日月曜日

2010年8月分記事へのエム・ワイ君の感想 (M.Y.'s Comments on August-2010 Articles; in Japanese only)

 M.Y. 君から "Ted's Coffeehouse 2" 2010年8月分への感想を9月26日づけで貰った。同君の了承を得て、ここに紹介する。青色の文字をクリックすると、言及されている記事が別ウインドウに開く。




1. "The A-bombed country's moral responsibility: To seek withdrawal from the 'nuclear umbrella'," Kenzaburo Oe, Asahi Shimbun, August 17.

 筆者は上記の英文のツイッターを発信し、「『被爆国の道義的責任とは何か:「核の傘」離脱求めてこそ』大江健三郎、朝日新聞、8月17日付け見出し。本文は彼独特の回りくどい表現で記されており、ツイッターに引用すべき簡潔明瞭な文は見当たらない」と、日本語のコメントを付しています (8月18日付けブログ中に引用)。

 私なりに簡単にまとめますと、——菅首相の広島の平和記念式におけるあいさつは「唯一の戦争被爆国である我が国は、『核兵器のない世界』実現に向けて先頭に立って行動する道義的責任を有していると確信をいだきます」。道義的とは、オバマ大統領の2009年プラハ演説での moral の訳語。それから数時間後の記者会見での菅首相の発言に、「核抑止力は、我が国にとって引き続き必要だ」と。これについて、大江健三郎氏は「一貫しないところがあり、しかもその矛盾をもたらしている根は深い」と指摘しています。

 私も両発言を放送で聞いた時、全く同じ考えを抱いたものです。大江氏は、菅発言とは逆の方向にあると感じられる発見についても、次のように触れています。

 《抑止力は他の国家よる脅威という文脈においては、多くの国家にとって依然として十分な考慮に価するものとされているが、このような目的のために核兵器に依存することは益々危険になっており、その有効性は低減する一方である。》と沖縄返還時の核密約の働き手キッシンジャー氏はじめ、米国の元高官G.シュルツ、W.ペリー、S.ナン氏らリアル・ポリティクスの古強者は、オバマ大統領の2009年プラハ演説にあらためて呼応する強力な活動を展開して、それがアメリカ、ヨーロッパの「核兵器のない世界」への流れを作っています。

2. 敗戦後65年 (Sixty-fifth Anniversary of Japan's Defeat in World War II)

 次のように述べられています。

 日本が第2次世界大戦で負けてから、きょうで65年になる。敗戦のその日、私は大連の国民学校(小学校)の4年生だった。竹で鉄砲を作って遊んでいたが、日本が負けたと知ってやめた。[…略…]
 私は、戦勝国の人々によって、日本の国民はみな奴隷にさせられるのかと思い、生きている心地がしなかった。[…略…]約1年半後に引き揚げ船で内地へ帰り、故国の土を踏んでほっとした。
 いま、わが国は戦争放棄を明記した憲法9条を持っている。これを変えて、愚行を繰り返すようなことがあってはならない。

戦争を経験していない世代にいろいろな戦争経験を伝えることは、大切なことだと思います。

 私の場合は、国民学校3年の昭和19年秋、日本の方が安全だとの判断で、父だけ中国の上海に残り、母と子は日本に引き揚げました(その時は戦争が終われば上海に戻る考えで)。昭和20年7月に父から母に「召集令状に応え出征する。子ども達をよろしく頼む。」と簡単な手紙で伝えてきました。7月末になると田舎の町でも「学童は田舎に "つて" を頼って疎開するように。出来ない人は集団疎開をさせる」との通達が出されました。母は父の伝えを守り、母子離散することを避け、 "つて" を頼りに疎開することを決心しました。空いた養蚕場を借りましたが、電灯がつくまで2~3日は、太陽と共に寝起きする生活が続きました。

 8月15日の敗戦の詔勅は、夏休みでまだ転校もしていませんでしたので、知るよしもなく、昼過ぎ、 "つて" の国民学校6年生の息子さんがやって来て敗戦を教えてくれました。寝耳に水で、本当にびっくりしました。母と、とぼとぼ歩き村役場まで行き、事実を確認した時、母は敗戦のショックに加え、父の安否をきづかい涙していました。それから半年経って、「上海の家にいて元気に暮している。やがて、帰国できるだろう」との父からのハガキが届き、母子ともども、大喜びしましました。これは生涯忘れ得ぬ感激でした。人びとは国のいうがままに従い、国は責任を持たず、状況判断ができる正確な情報は伝えられず、ひたすら運命に翻弄される——これが、戦争のもたらす悲劇の一つです。

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