2009年6月30日火曜日

ガマ (Cattail)

 ガマ(蒲、香蒲): 学名 Typha latifolia、ガマ科ガマ属の多年草。池や沼などの水辺に生える。葉は高さ1~2mで、水中の泥の中に地下茎をのばす。夏に茎を伸ばし、円柱形の穂をつける。穂の下部は赤褐色で太く、雌花の集まりである。穂の上半分は細く、雄花が集まり、開花時には黄色い葯が一面に出る(以上、文献1を参考にした)。花言葉は「従順」「素直」「慌て者」「無分別」「救護」「慈愛」(文献2)。写真は2009年6月14日、堺市・中の池公園で。

文献

  1. ガマ, ウィキペディア日本語版 [2009年5月17日 (日) 16:27].
  2. ガマ, 花言葉事典.

2009年6月29日月曜日

カルガモ (Spotbill)

 カルガモ(軽鴨): 学名 Anas poecilorhyncha、鴨の一種。体長は 60cm 前後であり、日本産のカモ類の中では大きい。また全身が茶褐色で、黒と茶のウロコ状、尾に近づくほど濃い茶色になる。東アジアに広く分布する。本州以南では、平野部から山地にかけての水辺に広く分布する留鳥だが、北海道では夏鳥(一部冬季も残留)である。市街地でも普通に観察される(以上、文献1)。

 写真は2009年6月14日、近くの「中の池公園」で。親ガモが子ガモをたくさん引き連れて歩いている情景をテレビでよく見るが、中の池公園で最近見るのは、親一羽、子一羽である。姉・兄と父を早くなくして、母と親一人子一人だった私の少年時代のようであり、つい「がんばれよ」と心の中でいうのである。

文献

  1. カルガモ, ウィキペディア日本語版 [2009年6月24日 (水) 12:42].

2009年6月28日日曜日

中国との交流記 (2) (Academic Exchanges between China and Me 2)

 大連嶺前小学校同窓会会報『嶺前』第29号(2009年6月発行)に掲載された文の原稿をここに載せる。なお、『嶺前』に掲載されたものは、文と字句の脱落や多くの改行の追加があり、原稿に忠実ではなかったので、次号に訂正を載せる予定である。




 以下は、前回引用した引揚げ後の私の最初の中国訪問記の続きである。執筆したのが1989年で、訪問はその前年だった。ちなみに、ネイチャー誌の2008年10月2日号に、トリエステにある第3世界科学アカデミーのモハメッド・ハッサン氏が書いた「北京1987年」という文が掲載されていた。それには、この年に中国が初めて国際会議を開催し、鄧小平が北京で各国からの参加者たちを歓迎し、中国科学界の国際化が始まったとある。私が中国の科学者たちと接触を始めたのが同じ1987年で、日中国交回復の年から見て遅かったように思ったが、それは中国科学界の「国際化元年」で、むしろ、大いに早かったのである。

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続・上海と北京を訪れて(1989年)

 11月4日の夕方、上海から北京へ飛んだ。北京空港には、チェン先生の代わりに、先生の研究室のルーさんが迎えに来ていた。彼女は3年前に東京都立アイソトープ研究所に留学していたとのことで、私たちの研究所へも一度見学に来たそうだ。彼女が大学の車で送り届けてくれた北京師範大の宿舎も、上海科技大のもののように寝室と書斎が別室にこそなってはいなかったが、部屋はゆったりとしており、立派な書斎机が備わっていた。

 翌11月5日の午前は、北京師範大低能核物理学研究所(「低能」は低エネルギーの意)の線形電子加速器とチェン先生の放射線化学研究室を見学した。線形加速器は、高周波の供給に磁電管を使ったエネルギー3百万~5百万電子ボルトの小型のもので、加速管は水平面に対して約30度傾けて設置されていた。先端に取りつけられたスキャナーで、半導体素子を照射しているところだった。チェン先生の研究室ではフィルム線量計、耐放射線性のプラスチックと接着剤などの開発研究をしていて、作成・テストした試料が説明を添えてきれいに陳列されていた。

 昼には大学の食堂の一室において、化学系主任教授のウー先生の主催で、チェン先生、ルーさんも交えて、歓迎の会食にあずかった。午後2時から、上海科技大のと同じような小さなセミナー室で、上海計量研でしたのと同じ内容の講義を行った。1時間の予定だったが、始めのうちチェン先生が中国語に通訳していたのと、英語での講義にもようやく慣れて、予定になかった詳しい説明を時どき挾んだりしたため、2時間近くかかった。

 11月6日の日曜日は、前日来の腹の不調が治らなかったので、チェン先生の研究室の講師の リウ氏に観光案内をして貰う予定だったのを変更し、帰りの切符の再確認のため中国民航の事務所へつれて行って貰うだけにした。このときリウ氏が、拾ったタクシーの運転手に頼んでくれて、翌日の観光と翌々日早朝の空港までの移動にも同じタクシーの世話になることになった。

 リウ氏は外国語としてはロシア語を主に学んだとのことで、彼との英語での会話はしばしば困難をともなった。しかし、渡欧を控えての準備に忙しかったチェン先生に代わって、彼は故宮博物院や、天安門、友誼商店などを誠意のこもった温かさで案内してくれ、北京を去る日も、宿舎出発が朝5時半という早い時間だったにもかかわらず、空港まで同行して見送ってくれた。この日には、腹の調子も完全に回復し、よい思い出とともに中国をあとにした。

[以上、『大放研だより』Vol. 29, No. 4 (1989) から転載]

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 次に、ここまでに引用したのと同じときの中国訪問から、上海で見聞した、中国の文化事情に多少なりともかかわることがらについて、別のところに記した文を引用する。前回引用の文と重複するところは削るようにしたが、一部、前後関係から削り難いところもあり、重複が残っていることをお許し願いたい。

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中国訪問記(1989年)

 13時15分に大阪空港を飛びたった中国民航機は約2時間後には、もう上海上空にさしかかっていた。乗っている時間だけでいえば、新幹線で東京へ行くよりも早い。一面の農地の所どころに白壁、黒屋根の長方形の家いえが、適当な間隔をおいて整然と並んでいるのが見え、学校や工場らしいものがいくつか小さく見えたと思っているうちに空港へ進入していた。密集した人家の上にごう音をまき散らしながら大阪空港へ滑り込むのとはだいぶん様子が違う。

 上海の空港は、市街部の南西のはずれにある。上海科学技術大学のフェン教授が同僚の ワン女史とともに、大学の古びた公用車で出迎えてくれた。大学は市街部の北西のはずれ、嘉定県というところにある。大学までの道中、機上からみた農村風景が車窓に展開する。江南の穀倉地帯を形成する広びろとした田は、刈り入れ期であった。農家は日本の小さな建て売り住宅を2、3軒合わせたほどの大きさの2階建てで、大きいものは12部屋からなるそうだ。

 沿道には、ずっと並木が続いている。自転車に乗った人びとがたくさん行きかう眺めは和やかだ。さらに工場地帯などを走って、約1時間後に大学の近くまで来た。ところが、当日は上海に初めてできた高速道路の開通日で、その入口付近の交通渋滞をさけるための回り道をして、大学の宿舎に到着したのは、空港出発から約1時間半後だった。後日フェン教授と市街部へ出るときに高速道路を通ったが、何台もの自転車が高速道路をゆう然と走っているという、のんびりした情景を目にした。

 上海科学技術大学の外来者用宿舎の寝室には、日本製らしい電気蚊取り器があった。トイレツトペーパーはどこへ行っても粗末なものだった。上海の最後の夜は、国際飯店という古くからある一流ホテルをあてがって貰ったが、そこに備わっているトイレットペーパーも同じである。ティッシュペーパーをたくさん持って行くといいといってくれた友人の忠告に従ってよかった。

 宿舎での食事は豊富で、たとえば上海での最初の夕食には、小エビとカリフラワー、肉、白菜それぞれの油いため各一皿、キノコのスープ、ライス、かんづめのナシ、それにジュースが出た。全部は食べきれず、「私には多過ぎました」と料理人に英語で伝えると、彼はそれに相当する中国語を教えてくれた。翌朝は、かゆ、だんご、たまご、つけもの、かんづめの果物、牛乳、コーヒーであった。ボール箱ごと食卓におかれた角砂糖の上を、アリが一匹はい回っていたのも、おおようで自然な感じがした。

 しかし、4日目にフェン教授とシー講師の案内で観光させて貰ったユイユアンという庭園の近くの食堂にハエがたくさんいたのは、ややうるさかった。とはいっても本場のギョーザやシューマイの味は格別であった。シー講師に「お宅には車が何台ありますか」と尋ねられ、車を持たない日本人もいることを知って貰うことができた。それと引きかえに私の方は、革命後の中国にはハエやカがいなくなったとの話が伝説に過ぎないことを知ったわけである。

 中国では土曜日もまる一日労働日であるが、昼の休憩時間が11時から1時までと長い。昼食後、午後の労働時間まで昼寝をする人たちもいる。男女平等は徹底しており、大学の教官、研究所職員もほぼ男女同数である。

 上海科学技術大学のほか、上海の市街部にある上海計量研究所でも講義を行った。計量研究所のことを、私はうかつにも前日まで気象研究所と思い込んでいた。フェン教授からの手書きの英文手紙にメトロロジーとあったのを、その言葉になじみがなかったため、メテオロロジーの書き間違えだろうと早合点していたのである。私が計量学という言葉の英語になじみがなかった理由のひとつに、日本の国立研究機関では、放射線の計量についてだけ電子技術総合研究所の担当になっているということがある。訪問の前日「気象研究所がなぜ放射線の線量測定に興味を持っているのですか」とフェン教授に尋ねて、ようやく思い違いが判明した。

 フェン教授はアメリカの大学で学んだ人なので、「租界」時代の西欧風建築物の並ぶ上海の街を、彼の流ちょうな英語に耳を傾けながら歩いていると、アメリカヘ来ているような錯覚におちいりそうになる。しかし、彼の上海や中国の歴史についての的確な説明や、路上の多くの人びとの流れが、すぐにその錯覚から引き戻してくれる。

 彼はふと、「街のたたずまいや人びとの服装、さらには顔かたちも時代とともに変わる。しかし、歴史は変わらない」という言葉をもらした。この言葉は私に、最近日本の歴史の教科書から第2次世界大戦中の日本の悪事についての記述が消されつつあることを連想させたので、それについて話し、これはたいへん具合の悪いことだと思っていると述べた。フェン教授は「大切なのは、各国の人びとがお互いに理解を深め、協力し合って行くことだ」と答えて、慰めてくれた。

 上海の街は、交通や産業構造の面で難問を抱えているように見うけられた。しかし、そこにあふれうごめく無数の人びとのエネルギーが、街角でよく見かけた国策のいろいろな標語の実現に向かって結集されて行くならば、その将来の発展は目覚ましいものになりそうな気がした。おびただしい数の自転車の流れが、車の流れに変わるようなことのないように望みたい。

[『堺文化会ニュース』No. 74 (1989) から転載]
(つづく)

花遍路バス旅行 (3) (Bus trip for flower viewing 3)

播州山崎花菖蒲園のハナショウブ

 応聖寺を出発したバスは、最後の目的地「播州山崎花菖蒲園」[1] へ向かった。ここには江戸時代から今日までに作出されたハナショウブのうち約1000品種、おおよそ100万本を保存しているという。残念ながら、今年のハナショウブの最盛期は過ぎていたが、それでもいろいろな美しい品種をたくさん見ることが出来た。上の写真はそのごく一部である。2種類とも紫色がかった花だったが、写真では青くなった。画像処理ソフトで少し赤みを加えても、まだ実物の記憶より、かなり青っぽいと思う。

 園内にはセイヨウスイセン、コバノミツバツツジ、シャクナゲなどもあるそうだが、いまはアジサイが見頃だった(下の写真)。

播州山崎花菖蒲園のアジサイ。

 帰途の中国・阪神高速では、少しばかり渋滞もあったが、予定の18時をあまり過ぎない時間に大阪梅田に到着した。バスは天王寺まで行くが、妻と私は大丸梅田店11階のアートギャラリーで開催されている「絵画三人展」の案内状を貰っていたので、梅田で下車した。

 三人展の作品では、案内状を送って貰った相木守鋭(あいき もりとし)氏の外国風景を描いた水彩画が気に入った。ペンで緻密にデッサンをして、軽快なタッチの淡彩を施したものである。氏の絵を収めてあるすてきな木工額も、氏自身の作品であった。他の出品者は飯田隆三氏(パステル画、抽象画風の花の絵など)と高橋晶子さん(水彩画、ファンタジック調の花の絵など)だった。相木氏にも花の作品があり、私たちの花遍路バス旅行は、バスに別れを告げたあとも、思いがけなく花に縁があったのである。(完)

文献

  1. 播州山崎花菖蒲園.

2009年6月27日土曜日

花遍路バス旅行 (2) (Bus trip for flower viewing 2)

 都麻乃郷あじさい園を見学したあと、一行は西脇ロイヤルホテルで和昼食をとった。続いて、バスは再び中国道を走り、福崎の応聖寺(おうしょうじ)へ行く。ここも先に訪れた西林寺と同じく、白雉年間に法道によって開かれたと伝えられている。江戸初期に造られたという名勝「応聖寺庭園」のあることと、沙羅(ナツツバキ)の花の咲く寺としても知られている。

応聖寺のナツツバキ(夏椿)。ナツツバキは学名 Stewartia pseudocamellia、英名 summer camellia、ツバキ科ナツツバキ属の落葉高木。別名はシャラノキ(娑羅樹)。仏教の聖樹、娑羅双樹(さらそうじゅ)に擬せられて、この名がついたといわれる [1]。

 『平家物語』巻一に「 祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響あり、娑羅双樹の花の色、盛者必衰のことわりをあらはす、奢れる人も久しからず、唯春の夜の夢のごとし 」とある。これは沙羅の純白の「落花」が褐色に変色していく様子をもって、栄える者もいつかは必ず衰えるのだという道理に例えているのである。沙羅双樹はインド原産の常緑樹で、熱帯樹であるため、日本では育たない。したがって、平家物語に登場する沙羅双樹は、ツバキ科の落葉樹「ナツツバキ」のことだという(以上の話は、本堂で聞いた住職の説教の中にあったが、[2] にも記載されている)。

ナツツバキの落花。朝から夕方までの一日を咲くと花の形そのままの姿で落ちてしまう。

 私たちの訪れた日は、ちょうどナツツバキが最も盛んに咲いている時期であった。名勝「応聖寺庭園」に面する部屋で、先代住職の発案による銘菓「沙羅」と茶をご馳走になった。(つづく)

応聖寺の前庭「涅槃の庭」にある「寝釈迦」。仏頭と仏足は石で刻み、胴体はサツキの衣になっている。

文献

  1. ナツツバキ, ウィキペディア日本語版 [2008年4月27日 (日) 09:54].
  2. 応聖寺の沙羅 ( ナツツバキ ) の花.

2009年6月26日金曜日

花遍路バス旅行 (1) (Bus trip for flower viewing 1)

 一昨6月24日、A社主催の「播州初夏の花遍路:紫陽花・花菖蒲・沙羅」というバス旅行に参加した 。大阪・天王寺に8時30分に、また、新大阪駅に9時20分に集合した参加者は総勢43名で、大型バスにほとんど満席であった。企画がよいことに加えて、4月下旬以来新型インフルエンザの影響で出控えていた人たちが、どっと参加したのかも知れない。

都麻乃郷あじさい園の一隅

 バスは中国道を走って、まず西脇市の西林寺 [1] へ11時過ぎに到着した。この寺は、別名あじさい寺といい、仁王門を入ってすぐ左手に、アジサイおよそ10万本が咲き誇る「都麻乃郷(つまのさと)あじさい園」(上の写真)を有する。見学するのはこのあじさい園で、十一面観世音菩薩(兵庫県指定重要文化財)を本尊とする西林寺の参拝は自由行動のうちである。あじさい園の名にある「都麻」とは、『播磨国風土記(はりまのくにふどき)』にある古い里名だという [2]。

カシワバアジサイ(柏葉紫陽花)

 あじさい園を出て参道を少し進んだ右側に西林寺庫裏へ通じる朱塗りの門がある。その内側にもカシワバアジサイなどが美しく咲いていた(上の写真)。集合時間まで余裕があったので、参道(下の写真)を歩いて本堂で参拝した。西林寺はインドから渡来した僧、法道 [3] によって、白雉2 (651) 年に開かれたと伝えられている。本堂は江戸時代の文化年間(1804~1818年)に再建されたものという [1]。(つづく)

西林寺の参道

文献

  1. 西林寺 (西脇市), ウィキペディア日本語版 [2009年1月31日 (土) 11:23].
  2. 都麻乃郷あじさい園 リーフレット.
  3. 法道, ウィキペディア日本語版 [2008年10月30日 (木) 15:29].

2009年6月25日木曜日

キョウチクトウ (Oleander)

 キョウチクトウ(夾竹桃):学名 Nerium indicum、シノニム N. oleander L. var. indicum (Mill.) O. Deg. et Greenwell、インド原産のキョウチクトウ科キョウチクトウ属の常緑低木もしくは常緑小高木。キョウチクトウの名は、葉がタケに似ていること、花がモモに似ていることからついた。白花は一重咲き、桃色は八重咲きが多い。(以上、文献1を参考にした)。花言葉は「危険な愛」「用心」「油断大敵」「危険」(文献2)。写真は2009年6月14日と17日、ウォーキング途中で。

文献

  1. キョウチクトウ, ウィキペディア日本語版 [2009年5月22日 (金) 22:30].
  2. キョウチクトウ, 花言葉事典.

2009年6月24日水曜日

ムラサキゴテン (Purple Queen)

 ムラサキゴテン(紫御殿): 学名 Tradescantia pallida 'Purpurea'、シノニム Setcreasea pallida 'Purple Heart'、ツユクサ科の園芸植物。別名パープルハート(園芸品種名で通用)。地上部全体が紫色をしており、葉は少し多肉。6月から9月頃に紅紫色の花が咲く。メキシコ原産で、原種はほはとんど栽培されることはない(以上、文献1。表題の英名は文献2)。花言葉は、いくつかのウエブサイトに「変らぬ愛」「優しい愛情」とある。写真は2009年6月14日、堺市・津久野南団地で。

文献

  1. ムラサキゴテン, ウィキペディア日本語版 [2009年4月13日 (月) 19:23].
  2. Tradescantia pallida, ITIS Report.

2009年6月23日火曜日

クチナシ (Cape Jasmine)

 クチナシ(梔子、巵子、支子): 学名 Gardenia jasminoides、アカネ科クチナシ属の常緑低木。東アジア(中国、台湾、インドシナ半島等)に広く分布し、日本では本州の静岡県以西、四国、九州、南西諸島の森林に自生する。園芸用として栽培されることも多い。10、11月ごろに赤黄色の果実をつける。果実の先端に萼片のなごりが6本、針状についていることが特徴である。この果実は熟しても割れないことが、「口無し」という和名の由来であるとする説がある。他に、クチナワナシ(クチナワ=ヘビ、ナシ=果実のなる木、つまりヘビくらいしか食べない果実をつける木という意味)からクチナシに変化したという説もある(以上、文献1を参考にした)。写真は2009年6月14日、堺市・笠池公園で。

文献

  1. クチナシ, ウィキペディア日本語版 [2009年2月6日 (金) 15:51].

2009年6月22日月曜日

『アラバマ物語』(To Kill a Mockingbird: film)

  さる6月19日の午後、NHK TV の BS2 チャネルで1962年のアメリカ映画『アラバマ物語』(原題 "To Kill a Mockingbird")を見た。見始めて驚いたことが二つあった。

 一つは、私はこの映画をこれまで見たことがなかったのに、幼いヒロインであるスカウトを演じたメアリー・バダムの顔を知っていたことである。それは、映画館の看板の記憶かと思ったが、雑誌『暮らしの手帳』に「アラバマ物語」が映画の場面の写真も入れながら連載されていたと知って、謎が解けた。『暮らしの手帳』はわが家でも以前購読していたのである(私は「アラバマ物語」を読んではいなかったが)。ただし、連載記事の写真の記憶に映画館の看板の記憶も重なっていたかと思う。

 もう一つは、原題をベストセラー本の題名として、『アラバマ物語』の原作とは知らないままに、知っていたことである。これは私が購読しているイギリスの図書紹介誌 "The Good Book Guide" のお陰かと思う。原作 [1] は、1961年にハーパー・リーによって書かれた小説で、ピューリッツァー賞を受賞しており、また、作者は2007年に、アメリカの文民向けの最高位の勲章 Presidential Medal of Freedom(大統領自由勲章)を受けている。

 Mockingbird は、それが会話で登場する場面の日本語字幕では「マネシツグミ」となっていた。大阪弁では「真似する人」ということをからかい気味にいうとき、「真似しぃ」という。そこで、「マネシツグミ」は大阪弁のようでおかしく思ったが、ちゃんとした名前なのである [2]。「マネシ」の「シ」がサ変動詞「する」の連用形ならば、それが体言「ツグミ」につながるのは奇妙で、方言的な感じがする。だからといって、「マネツグミ」では愛らしさが減るようであり、「マネスルツグミ」では、まったくさまにならない。いや、「シ」は教師、漫才師などの「師」で、「マネシ」は「真似の専門家」の意であろうか。

 文献3に「スカウトを演じたメアリー・バダムは、共演者の台詞を口真似してしまうという悪癖があった。そのため朝食のシーンを35回、昼食のシーンを23回も撮り直すことになった」という撮影の逸話が書いてある。バダムは、この作品で見せた演技で助演女優賞にノミネートされた(授賞式時点で彼女は10歳141日であり、1974年にテータム・オニールが10歳106日で受賞するまで、この分野における最年少ノミネート)そうだが、題名に「マネシツグミ」のある映画のヒロイン女優がマネシさんだったのである。

 グレゴリー・ペック演じる弁護士アティカス・フィンチは妻に先立たれながら、家庭ではよい父親であり、白人女性への暴行容疑で訴えられた黒人、トム・ロビンソン被告(ブロック・ピーターズが演じる)を裁く法廷においても、鋭い洞察と熱弁を発揮する。しかし、人種差別意識と先入観にとらわれた陪審員たち(すべて白人)は、無実の被告に有罪の判決を出した。落胆した被告は悲惨な死を遂げる。——間もなく日本で実現する裁判員制度において、そのような判決が出るようなことがあっては決してならないと思ったことである。——

文献

  1. Harper Lee, To Kill a Mockingbird, Reprint edition (Grand Central Publishing, 1988).
  2. マネシツグミ, ウィキペディア日本語版 [2009年5月19日 (火) 14:08].
  3. アラバマ物語, ウィキペディア日本語版 [2009年6月2日 (火) 01:59].

ブッソウゲ (Chinese hibiscus)

 ブッソウゲ(仏桑花、扶桑花、朱槿、桑槿): 学名 Hibiscus rosa-sinensis、英名 Chinese hibiscus、China rose、shoe flower。アオイ科フヨウ属。ハイビスカスと呼ばれることが多いが、これは本来、この属の低木の総称である。ブッソウゲは、もともと雑種植物であるため、変異に富み、近年ハワイでの交雑種を含めてハイビスカスと呼ばれるようになり、州花にもなっている(以上、文献1)。花言葉は「常に新しい美」「勇ましさ」「勇敢」「新しい恋」「繊細な美」「上品な美しさ」「華やか」(文献2)。

 写真は2009年6月14日、堺市・津久野南団地で。わが家にも赤い花のブッソウゲの植木鉢が一つあるが、二、三年前の冬、屋内へ入れることを怠って以来、花が咲かない。回復を祈っているのだが…。

文献

  1. ハイビスカス, ウィキペディア日本語版 [2009年6月14日 (日) 18:43].
  2. ハイビスカス, 花言葉事典.

2009年6月21日日曜日

アゲハチョウ (Swallowtail butterfly)

 アゲハチョウ(揚羽蝶・鳳蝶): チョウ目・アゲハチョウ上科・アゲハチョウ科(Papilionidae)に分類されるチョウの総称。あるいはその中のナミアゲハ (Papilio xuthus) の和名のひとつ。日本で「アゲハチョウ」といえばアゲハチョウ亜科(Papilioninae)のチョウを指すことが多いが、広義のアゲハチョウ科はギフチョウやウスバシロチョウなども含む(以上、文献1)。

 写真のアゲハチョウはウォーキングの途中で、下に掲載の、白い花のアベリアを撮ろうとしていたとき、たまたま飛来したもの(2009年6月14日写す。なお、同日づけの記事には、先に撮ったピンクの花のアベリアを掲載した)。

文献

  1. アゲハチョウ, ウィキペディア日本語版 [2008年12月20日 (土) 05:19].

2009年6月20日土曜日

ユリ (Lilies) (6)

 ユリのシリーズの最後に、ウォーキング途中、堺市・鳳東町の「こなすび公園」で撮影した大輪のユリの花の写真を掲載する。撮影は2009年6月17日。わが家でも、いつ求めた球根だったか、カサブランカが 二、三年前に突然、植木鉢で大きな白い花を咲かせたが、その後は葉も出ない。植物の振る舞いもいろいろと不思議である。

2009年6月18日木曜日

ユリ (Lilies) (4)

 わが家のユリ。2009年6月2日と4日に撮影。咲き終わったユリの花の始末にも忙しいこの頃である。

2009年6月17日水曜日

ユリ (Lilies) (3)

 先月「ユリ (1)」「ユリ (2)」 と題する記事を掲載したが、その後わが家で咲いたユリの写真を、また連載する。昨秋、何種類かの球根を新しく植えたので、今年はいろいろな色彩のユリの花が賑やかに咲いている。上の写真は、2009年6月1日と2日に撮影した。

2009年6月16日火曜日

デンドロビウム

 デンドロビウム:学名 Dendrobium、ラン科セッコク属を意味し、日本ではセッコクなど数種があるが、通常この名で呼ばれるのは、この属のうちで洋ランとして栽培されているもの。東南アジアを中心に世界各地に広く分布している多年草。11から4月頃に開花。原種が1000以上あるといわれ、色や形、特徴も多岐にわたる。デンドロビウムは、ギリシア語の「デンドロ(木)」と「ビウム(生ずる)」に由来し、野生では木に着生する。特徴は、茎が多肉の棒状になって立ち上がることで、そこから節ごとに数枚の葉を並べる。花は、蘭の花としては、比較的特徴の少ない形をしている。花言葉は「わがままな美人」(以上、文献1を参考にした)。

 写真は2009年6月4日、わが家の植木鉢に咲いたものを撮影。8年ほど前に一鉢貰い、その後株分けをしたところ、どの株にも花が咲かなくなってしまっていたが、今年、久しぶりに一輪だけ咲いた。こういうときには、いとしさがひとしおである。

文献

  1. デンドロビウム, ウィキペディア日本語版 [2009年5月21日 (木) 07:37].

M.Y. 君からの感想(2009年5月分)

 M.Y. 君から "Ted's Coffeehouse 2" 2009年5月分への感想を6月15日づけで貰った。同君の了承を得て、ここに紹介する。青色の文字をクリックすると、言及されている記事が別ウインドウに開く。

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 1.『日本語で読むということ』、『日本語で書くというと』(1)同 (2)

 水村美苗と夏目漱石の愛読者である筆者の上記著作に関する感想は興味深いものでした。『日本語で読むということ』については、

 水村の作品や随筆を読んでいると、彼女自身の体験、特に中学生時代に家族と渡米して学校や友人たちになじめず、下校後は家で日本文学に読み耽っていたという体験がしばしば登場する。それで、彼女の生い立ちが手に取るように分かり、頭のよい知人の女性の話を聞くかのような思いでページを繰ることが出来る。…(中略)…「作家を知るということ」と「『個』の死と、『種』の絶滅——加藤周一を悼んで」は、どちらも評論家・加藤周一への賛辞である。彼の評論を好み、彼を尊敬して来た私にとっては嬉しい文章である。

と快調に読み進めています。

 『日本語で書くというと』については、著者の意図を理解するため格段の注意力を要するとともに、場合によっては、理解できないままに読み終えなければならないという重さがあるとして、「筆者が身をおいて来た自然科学分野においては、繰り返して読まなければ趣旨が把握出来ないような論文は落第である」といい、チャールズ・P・スノーの「二つの文化」についての講演に触れ、文学分野と自然科学分野の論文の書き方がもっと接近することを望んでいます。

 同書第 II 章中の「『男と男』と『男と女』——藤尾の死」については、次のように述べています。

 作中の説明が論理性を欠くことが、作品の欠陥のように述べられている。しかし、アルベール・カミュは文学作品において不条理そのものを描いた。…(中略)…科学の方法は論理的でなければならないが、文学作品が論理的でなくてよいということは、スノーが歎いた二つの分野の隔絶には当たらない。彼が指摘したのは、両分野相互間の無理解である。

 同書第 III 章のポ-ル・ド・マンについての評論については、彼が水村のイェール大学在学中の恩師であることをインターネトで調べています。また、彼の文学論全般の評論「リナンシエイション」のもとになった英文の論文は、彼女の最も若いときの著作であって、文章のいたるところに才気が感じられはするものの、「もっと分かりやすい文で書いてはどうか」と思わずにはいられない、など、厳しくはありますが建設的な批評をしています。愛読者の意見として著者の目に留まれば、と思います。

2.「やけくその救済策」:パウリのニュートリノ説 (1)同 (2)

 「湯川秀樹を研究する市民の会」(湯川会)での、湯川のノーベル賞論文の翻訳結果はシンポジュウム報告集にまとめられました(2008年9月発行)。現在、解説、注釈、その他学んだことを整理してまとめ、本として出版しようという計画が進められています。整理する注釈の一つに、パウリがニュートリノを、その存在を提唱した手紙の中で、"desperate remedy"(やけくその救済案)と呼んだという話題があります。このことは、朝永の『スピンはめぐる』に書かれており、同書の英訳版から、イェンゼンのノーベル受賞講演に引用した手紙のその部分のドイツ語は "ein verzeifelter Ausweg"(すてばちの逃げ道)となっていることまで分かっていました。

 パウリは、原子核のベータ崩壊によって出て来る電子のエネルギ-分布が、エネルギー保存則を破っているように思われたことから、これを救うために、エネルギーを持ち逃げしているはずの未発見の粒子の存在を、あえて論文にすることなく、上記の手紙によって1930年に提案しました。筆者は「やけくその救済案」は名訳なので、てっきり朝永の訳だと思っていましたが、湯川会会員間のメール交換によって、『スピンはめぐる』の日本語原書には "desperate remedy" という英語のまま記されていたので、それを紹介した会員が直訳を付記していたことが分かりました。

 さらにメール交換して、パウリの著書『物理と認識』中の「ニュートリノの新しい話、古い話」の項に手紙の全文が引用されていること知りました。そこで、「やけくその救済案」に相当する言葉が出て来る最も古い文献を知るため、『物理と認識』の原書をインターネットで探して、それを見つけました。前述のイェンゼンの講演より古く、一応目的を達成しました。『物理と認識』原書中の、公開書簡掲載のページナンバーまでは分からなかったというとでした。意味ある古い事実の確認の苦労、湯川会会員間の連携の様子や、パウリのニュートリノ説を取り巻く当時の核物理学界の状況など興味深く拝読しました。

2009年6月15日月曜日

トキワツユクサ

 トキワツユクサ(常磐露草): 学名 Tradescantia fluminensis、ツユクサ科ムラサキツユクサ属の多年草。南アメリカ原産。日本には観賞用として持ち込まれ、帰化植物として野生化している。やや湿っている日陰に生える。草丈は50cmほど。初夏に白い花弁の三角形の花を咲かせる(以上、文献1)。英名 Wandering Jew (文献 2)。花言葉は「尊敬」。写真は2009年6月1日、堺市・鈴の宮公園で。

文献

  1. トキワツユクサ, ウィキペディア日本語版 [2008年12月26日 (金) 13:08].
  2. Tradescantia fluminensis, Wikipedia, the free encyclopedia [4 May 2009, at 09:10 (UTC)].

2009年6月14日日曜日

アベリア

 アベリア (Abelia):スイカズラ科ツクバネウツギ属 (Abelia) に属する植物の総称。または、ツクバネウツギ属の常緑低木の交配種、アベリア(Abelia x grandiflora)のこと。園芸的には、後者をこの名で呼ぶのが普通である。 ハナツクバネウツギあるいはハナゾノツクバネウツギとも呼ぶ。低木で、春から秋のかなり長期にわたって、鐘形の小さい花を多数咲かせる。花の香りは非常に強い。公園などの生け垣によく使われる(以上、文献1)。英名 Glossy abelia(文献2)。花言葉は「強運」「謙譲」(文献3)。

 写真は2009年6月1日、ウォーキング途中で撮影。よく見かけるのは白い花のアベリアで、このようなピンクのものは珍しいようだ。

文献

  1. 「アベリア」, ウィキペディア日本語版 [2009年5月23日 (土) 06:42].
  2. Abelia x grandiflora, Consumer Horticulture, North Carolina University.
  3. FFJ 今日の誕生花

2009年6月13日土曜日

シモツケ

 シモツケ(下野): 学名 Spiraea Japonica、バラ科シモツケ属の落葉低木。別名キシモツケ(木下野)。北海道から九州にかけての日本各地、朝鮮および中国の山野に自生する。成木の樹高は1mほどであり、初夏に桃色または白色の集合花を咲かせ、秋には紅葉する。古くから庭木として親しまれてきた。和名は下野国に産したことに由来するという。同じシモツケ属の仲間にはコデマリ、ユキヤナギがある(以上、文献1)。英名 Japanese meadowsweet(文献2)。花言葉は「無駄」「無益」(文献3)。花にとって、なんとも、かわいそうな花言葉である。写真は2009年6月1日、ウォーキング途中で。

文献

  1. 「シモツケ」, ウィキペディア日本語版 [2009年5月1日 (金) 14:17].
  2. Spiraea japonica L. f., Natural Resources Conservation Service, United States Department of Agriculture.
  3. ウェブサイト 花言葉 Floword.

2009年6月12日金曜日

タチアオイ

 タチアオイ(立葵): 学名 Althaea rosea、シノニム Alcea rosea、アオイ科の多年草。以前、中国原産と考えられていたが、現在はビロードアオイ属(Althaea)のトルコ原産種と東ヨーロッパ原産種との雑種(Althaea setosa × Althaea pallida)とする説が有力。日本には、古くから薬用として渡来したといわれている(以上、文献1)。花言葉は「大きな志」「大望」「野心」「気高く威厳に満ちた美」「高貴」、(黄)「率直」「開放的」(文献2)。

 写真は2009年5月30日、わが家の庭で。近所から苗を貰ったのは一昨年だったか。今年はずいぶん背が高くなった。

文献

  1. 「タチアオイ」, ウィキペディア日本語版 [2008年8月17日 (日) 17:01].
  2. ウェブサイト 花言葉事典.

2009年6月11日木曜日

タイサンボク

 タイサンボク(泰山木、大山木): 学名Magnolia grandiflora、モクレン科の常緑高木。北米中南部原産。花期は5~7月頃。葉の表面には光沢があり、裏面は毛が密生しており錆び色に見える。(以上、文献1)。花言葉は「前途洋々」「威厳」(文献2)。英名は Southern magnolia または bull bay(文献3)。写真は2009年5月30日、堺市・津久野南団地で。

文献

  1. 「タイサンボク」, ウィキペディア日本語版 [2009年6月3日 (水) 13:16].
  2. ウェブサイト 花言葉事典.
  3. Magnolia grandiflora, Wikipedia, the free encyclopedia (22 May 2009 at 19:15).

2009年6月10日水曜日

デイリリー

 デイリリー:「ユリ科キスゲ属の多年草、別名ヘメロカリス」としているウエブサイトがあるが、正確にいえば、ヘメロカリス (Hemerocallis) は「ワスレグサ属」という属の学名である。また、文献1によれば、これが属するのは以前はユリ科だったが、いまは Hemerocallidaceae 科であるという。この科名を説明した日本語のウィキペディア・ページはまだないようである。花言葉は「宣言」「媚態」(文献2)。写真は2009年5月30日、ウォーキングの途中で。

 気象庁は昨6月9日、九州から東海の各地方が梅雨入りしたと見られると発表した。近畿地方の梅雨入りは、平年より3日遅いという。

文献

  1. Daylily, Wikipedia, the free encyclopedia (31 May 2009 at 16:43).
  2. ウェブサイト ペットと花図鑑.

2009年6月9日火曜日

キンシバイ、ビヨウヤナギ

 [訂正]コメント欄で OHMY さんから、花の名前が間違っているとのご指摘があった。本文の記述の参考にした引用文献 1、3 も、その後修正されている。ご指摘の内容に加えて、ウィキペディアの「キンシバイ」の新しい記述[2010年5月4日 (火) 05:08]と同「セイヨウキンシバイ」の項[2009年9月13日 (日) 01:14]を参考にして、次の通り訂正する(ただし、各写真の下の元記事はそのままにしてある)。

 「キンシバイ」としたのは「タイリンキンシバイ (大輪キンシバイ、Hypericum patulum cv. Hidcote)」

 「ビヨウヤナギ」としたのは「セイヨウキンシバイ(西洋金糸梅、ヒペリカム・カリシナム、Hypericum calycinum L.)」


 キンシバイ(金糸梅): 学名 Hypericum patulum、オトギリソウ科オトギリソウ属の半落葉小低木。中国原産で、江戸時代の宝暦10年(1760年)に渡来したといわれる。花の形が良く梅に似ており、色が黄色であることが名前の由来である。(以上、文献1)。花言葉は「きらめき」(文献2)。英名は Goldencup St. Johnswort。写真は2009年5月29日、堺市・笠池公園で。ここのキンシバイの一隅に「ビヨウヤナギ」と書いた札が立ててあったが、これは間違いである。次の写真と説明を参照されたい。

 ビヨウヤナギ(美容柳): 学名 Hypericum monogynum、オトギリソウ科オトギリソウ属の半落葉低木。別名マルバビヨウヤナギ。中国原産。花期は6、7月頃で、黄色の5枚の花弁のある花を咲かせる。(以上、文献3)。花言葉は「多感」「幸い」など(文献4)。写真は2009年5月30日、ウォーキング途中で。

 キンシバイとビヨウヤナギの相違は次の点にある。前者の花は下垂性で、花弁はオシベと長さがあまり変わらず、あまり大きく開かない。これに対し、ビヨウヤナギの花のオシベは、長く多数あって、よく目立つ(文献1、3)。

文献

  1. 「キンシバイ」, ウィキペディア日本語版 [2009年5月14日 (木) 12:12].
  2. ウェブサイト 365日の花言葉と.
  3. 「ビヨウヤナギ」, ウィキペディア日本語版 [2008年1月5日 (土) 11:30].
  4. ウェブサイト 花言葉事典.

2009年6月8日月曜日

アジサイ

 アジサイ(紫陽花): 英名・学名 Hydrangea、アジサイ科アジサイ属の植物の総称。学名は「水の容器」という意味で、そのまま「ヒドランジア」あるいは「ハイドランジア」ということもある。日本原産。最も一般的に植えられている球状のアジサイはセイヨウアジサイであり、日本原産のガクアジサイ (Hydrangea macrophylla) を改良した品種である。「あじさい」の名は「藍色が集まったもの」を意味する「あづさい(集真藍)」が訛ったものといわれる。漢字表記に用いられる「紫陽花」は唐の詩人・白居易が別の花(ライラックか)に名づけたもので、平安時代の学者・源順がこの漢字をあてはめたことから誤って広まったといわれている(以上、文献1)。花言葉は「移り気」「高慢」「辛抱強い愛情」「元気な女性」「あなたは美しいが冷淡だ」「無情」「浮気」「自慢家」「変節」「あなたは冷たい」(文献2)。

 写真は、上の2枚がわが家の庭で、2009年5月27日と6月6日に撮影。3枚目は近くの中の池公園で、5月29日に撮影。

文献

  1. 「アジサイ」, ウィキペディア日本語版 [2009年6月6日 (土) 01:39].
  2. ウェブサイト 花言葉事典.

2009年6月7日日曜日

ロベリア、コエビソウ

 ロベリア:学名 Lobelia erinus、キキョウ科ミゾカクシ属の多年草。和名はルリチョウソウ(瑠璃蝶草)、ルリミゾカクシ(瑠璃溝隠)、ルリチョウチョウ(瑠璃蝶々)。英名は Edging Lobelia、Garden Lobelia または Trailing Lobelia。原産地は南アフリカ。本来は多年草の性質を持つが、日本では秋蒔き一年草として扱うことが多い。開花期は春。暑さにも寒さにもあまり強くない。(以上、文献1、英名については文献2)。花言葉は「いつも愛らしい」「謙遜」「人目につく」「悪意」(文献3)。写真は2009年5月27日、わが家のプランターに咲いているものを撮影。

 コエビソウ(小海老草): 学名 Justicia brandegeana (シノニム Beloperone guttata) 。キツネノマゴ科。メキシコ原産。日本では道ばたの雑草としてごく普通のキツネノマゴと同属(Justicia)。名前の由来は、花のつく穂が苞に覆われていて、その形が小海老の尻尾に似ていることによる。花はその苞の間から顔を出す。別名ベロペロネ。花期は春から晩秋。繁殖は挿し木で行う。(以上、文献4)。花言葉は「機知に富む」(文献5)。英名は、学名でインターネット検索すると、英文のいろいろなサイトから Shrimp Plant と分かる。写真は2009年6月5日、わが家の庭で。

文献

  1. 「ロベリア」, ウィキペディア日本語版 [2008年9月26日 (金) 06:45].
  2. "Lobelia erinus", Wikipedia, the free encyclopedia (12 May 2009 at 16:14).
  3. ウェブサイト 花言葉事典.
  4. 「コエビソウ」, ウィキペディア日本語版 [2008年1月5日 (土) 10:38].
  5. ウェブサイト 花の図書館.

2009年6月6日土曜日

映画『天使と悪魔』

 昨6月5日、ロン・ハワード監督の映画『天使と悪魔』(Angels & Demons) を見た。原作はダン・ブラウンの同名小説 [1] で、同じ作者による小説『ダ・ヴィンチ・コード』[2] を映画化した2006年作品の姉妹編である。私は『ダ・ヴィンチ・コード』を見なかったが、主人公のハーバード大学・宗教象徴学者ロバート・ラングドンと、それを演じるトム・ハンクスも前作品と同じだそうだ。

 冒頭にまず欧州原子核研究機構(CERN)の場面が登場する。私はCERNに匹敵するアメリカのフェルミ国立加速器研究所を見学したことがあり、また何よりも、私の研究歴の前半では、規模はCERNのものの百万分の一程度ながら、加速器を使っていたので、懐かしい気のする場面である。ヒロインの女性科学者ヴィットリア・ヴェトラ(扮するのはアイェレット・ゾラー)がCERNの加速器で反物質を製造するが、その1ケースが何者かに盗まれる。司祭兼CERNの科学者で、ヴィットリアの父でもあるレオナルド・ヴェトラを、犯人は殺害し、その眼球を加速器室へ入るための人物同定装置を通過する目的に使っている。レオナルドの胸にガリレオ・ガリレイ時代の秘密結社名 "Illuminati" が烙印されていたことから、ラングドンが捜査への協力を依頼される。…

 現実にはCERNで10個程度の反水素原子は作られているが、この映画で爆発が恐れられているほどの量の反物質はとても作れない。仮に危険な量の反物質が作れたとすれば、終わり近くの場面はいささか不自然ではないかと思われる(その詳細を書けば、筋の一部を明かすことになるので、書かないでおく)。ヴィットリアは、「反物質は "God particle" (神の粒子)とも呼ぶ」という説明をしているが、本当は、 "God particle" とは反物質や反粒子のことでなく、CERNで間もなく見つかるだろうと期待されているヒッグス粒子のあだ名である。また、日本語字幕で登場人物の一人をいうのに「カメルレンゴ」の語が出て来て、固有名詞のような感じを与えるが、これは枢機卿(すうきけい)という訳語のある普通名詞(教皇に次ぐ高位聖職者の称号)である。

 これらの難点はともかく、科学と宗教の対立を描いたように宣伝されているこの映画の最後に、両者の和解が見られるのはよいことである。私は、両者は対立するものでなく、目的を異にしていて、互いに協力し合うべきものと思うからである。場面として使われているローマのいろいろな名所からは、イタリア旅行の記憶が呼び覚まされた。さらに、危機がせまる場面では、思わず身を乗り出さんばかりにしながら、楽しく鑑賞した。「土」「空気」「火」「水」の英単語のアンビグラム(対称形デザイン)が登場する。その細部までは映画では分からないが、チラシに印刷してあるのを見ると、よく考えたものと感心する。

 なお、先日の朝日紙の記事 [3] に、CERNがこの映画の作成に協力した裏話が紹介されていた。CERNは、映画と実相の違いを非難するか、無視するか、これを逆手にとって研究の真の姿を伝える好機にするか、の三つの選択肢の中から、三つめをとった、ということである。その記事の著者は、それを一方的なPRで終わらせないで、専門外の人びととの対話につないでほしい旨を述べている。ついでに、『天使と悪魔』に関するウエブサイト [4, 5] を紹介しておこう。[4] の著者は東大教授で、CERNの反物質研究グループのリーダーであり、先般、CERNにおける反物質研究の業績によって第62回中日文化賞受賞者に選ばれている。[5] はCERNが提供している解説である。これらのサイトも、専門家と専門外の人びとの対話のきっかけとして役立つであろう。

 [追記]『天使と悪魔』の科学的背景についての講義(英語)のビデオを集めてあるサイトもある [6]。

文献

  1. Dan Brown, Angels and Demons, Paperback edition (Simon &Shuster, 2006).
  2. Dan Brown, The Da Vinci Code, Paperback edition (Anchor, 2006).
  3. 尾関章,「天使と悪魔」: 科学の対話を娯楽映画から, 朝日新聞 (2009年6月4日).
  4. 早野龍五, 物理学者とともに読む「天使と悪魔」の虚と実 50のポイント.
  5. European Organization for Nuclear Research, Angels & Demons: The Science behind the Story.
  6. Virtual Lectures, Angels & Demons Lecture Nights: The Science Revealed.

ドクダミ、アスチルベ

 ドクダミ(蕺草): 学名 Houttuynia cordata、ドクダミ科ドクダミ属。別名、ドクダメ(毒溜め)、ギョセイソウ(魚腥草)、ジゴクソバ(地獄蕎麦)(以上、文献1)。花言葉は「白い追憶」「野生」(文献2)。さる6月1日づけ朝日新聞「天声人語」欄に、この月の始まりの象徴として次のように記してあった。

 名前の響きで損をしているが、ドクダミはかれんな花である。毒々しい『ドク』から、だみ声の『ダミ』と続く。だが花(実際は苞)は白い十字形をし、木の下闇などに星を散らしたように咲く。

私は幼い頃に親しんで以来、この植物を長らく見なかったが、9年前に建て替えをした後のわが家の庭に現れ、繁殖している。

 アスチルベ (Astilbe): ユキノシタ科アスチルベ属の多年草植物。ショウマ(升麻)、アワモリソウ(泡盛草)、アケボノショウマ(曙升麻)の別名を持つ。アスチルベの語源は、ギリシャ語の「a」(~がない)と stilbe(輝き)の合成であり、地味なことを意味しているといわれる。環境への適応能力が高いが、湿り気のある土壌と半日陰を好み、耐寒性を持つ。日本でも数種が自生する。普通、園芸でアスチルベと呼ばれるのはドイツのゲオルク・アレンズが育成し1908年に発表した Astillbe × arendsii である(以上、文献3)。花言葉は「自由」「落ち着いた明るさ」「恋の訪れ」(文献2)。

 一昨年5月、弘前城植物園で赤みがかったオレンジ色のじゅうたんのように生えている植物を見た。そこに「アスチルべー」と書いた札があった。「明日散るべぇ」と覚えて帰り、秋にその苗を購入してわが家の庭に植えた。

 写真はどちらも、2009年5月25日に撮影。

文献

  1. 「ドクダミ」, ウィキペディア日本語版 [2009年4月29日 (水) 22:28].
  2. ウェブサイト 花言葉事典.
  3. 「アスチルベ」, ウィキペディア日本語版 [2009年4月3日 (金) 11:53].

2009年6月5日金曜日

ハナズオウの花と豆果

 ハナズオウ(花蘇芳): 学名 Cercis chinensis、ジャケツイバラ科(またはマメ科ジャケツイバラ亜科)の落葉低木 。中国原産。3、4月頃、葉に先立って開花する。花は紅色から赤紫(白花品種もある)で、長さ1cmほどの蝶形花。開花後、長さ数cmの豆果をつけ、秋から冬に黒褐色に熟す(以上、文献1)。写真は2009年5月24日、堺市・鈴の宮公園で。花期が終わり、実がたくさんなっている中に花が残っているのが珍しくて写した。

文献

  1. 「ハナズオウ」, ウィキペディア日本語版 [2008年10月2日 (木) 08:14].

2009年6月4日木曜日

「日本:今すぐ高い削減目標を!」

 私がメール配信の登録をしている Avaaz.org から、きょう6月4日、"Japan on the tipping point?" と題するメール(英文)が届いた。同趣旨の文は Avaaz.org のウェブサイト [1] で和文でも読めるので、それをここに紹介する。なお、Avaaz とは、ヒンディー語、ウルドゥー語、ファルシー語、ボスニア語、トルコ語、ネパール語、ダリー語を含む多くの言語で「声」または「歌」を意味するという。Avaaz.org の団体概要は [2] で見ることができる。

   日本:今すぐ高い削減目標を!
 麻生首相は、来週にも2020年の日本の温室効果ガス削減目標を定めます。気候変動の悲劇を避けるためには、科学は最低限 −25% という目標が必要と示しましたが、この削減目標についての議論が内閣で巻き起こっています。
 昨日、日経新聞に Avaaz は全面広告を掲載しました 。日本の63%の有権者は25%かそれ以上の削減目標を望んでいるという世論調査の結果を示したものです。斉藤環境大臣はこの広告を支援した全ての市民に心から感謝をし、メッセージを内閣に提示すると約束してくれました。
 ここでさらに、気候変動問題における責任ある国際的リーダーシップについて、日本国民がいかに強い思いを抱いているかを、急いで麻生総理に世論調査以上に伝えなければなりません。麻生首相が最終決定を下すまで、あと数日しかありません。もしそれまでに10万人の署名を集めることができたら、斉藤大臣は会合でより力強いメッセージを報告できることとなります。下記をクリックして、緊急署名にご協力ください。パートナー団体から協力を得て、Avaaz は政策決定者に届けます。
  https://secure.avaaz.org/jp/japan_on_the_edge/


 私は、日本の政府が財界のわがままな要求を入れて低い削減目標を決めたのでは世界に恥をかくと思い、早速署名した。この文を読まれた皆さんも、ぜひ署名にご協力下さい。

  1. Avaaz.org.
  2. Avaaz.org 団体概要.

イロハモミジの翼果

 イロハモミジ(いろは紅葉): 学名 Acer palmatum、カエデ科カエデ属の落葉高木。果実は翼果、長さ 1.5cm 程度の翼があり、夏から初秋にかけて熟すと風で飛ばされる。(以上、文献1)。

 写真は2009年5月24日、堺市・鈴の宮公園で。翼果が種子を遠くへ飛ばすための、流体力学的に絶妙な形をしているらしいことに感心して、このところ毎年撮影している。果実部分が黄色く翼部分が赤い実が、若葉の中に散在する彩りも美しい。

 余談ながら、私のブログを読んで貰った元同僚のF氏から昨日、感想のメールが届いた。「どんな小さな花でも、近づいてよく見ると、あっと驚くほど綺麗なことがありますね」として、次の句を引用してあった。
  よく見れば薺(なずな)花咲く垣根かな  芭蕉
小さな花の美しさに「あっと驚く」見方は、この句の「よく見れば」よりも微視的で、進んだ見方ともいえよう。ただ、その驚きを言葉に表すことは難しく、芭蕉にはかなわない。

 後日の追記:6月12日発行の Sience 誌に、オランダとアメリカの科学者たちが、カエデの種子が飛ぶ様子を風洞実験で観測したことが報告されている [2]。種子の落下中にその各翼の上部に空気の安定な渦ができ、それが浮力を生じて種子を長い時間空気中に浮かせる原因になっていることを見出したという。

文献

  1. 「イロハモミジ」, ウィキペディア日本語版 [2008年12月17日 (水) 05:50].
  2. D. Lentink, W. B. Dickson, J. L. van Leeuwen and M. H. Dickinson, "Leading-edge vortices elevate lift of autorotating plant seeds," Science Vol. 324, No. 5933 pp. 1438−1440 (2009).

ネズミモチ

 ネズミモチ(鼠黐): 学名 Ligustrum japonicum、モクセイ科イボタノキ属の樹木。和名は、果実がネズミの糞に、葉がモチノキに似ていることからついた。暖地に自生するとともに、公園などに植えられている(以上、文献1)。写真は2009年5月24日、堺市・鈴の宮公園で。花はかなり強い香りを放つが、その香りは人によって好き嫌いがあるかも知れない。

文献

  1. 「ネズミモチ」, ウィキペディア日本語版 [2009年4月29日 (水) 16:14].

2009年6月3日水曜日

シシリンチウム・イエローストーン

 シシリンチウム・イエローストーン: アヤメ科ニワゼキショウ属、耐寒性多年草、原産地はアメリカから西インド諸島。写真は2009年5月22日、わが家の植木鉢に咲いたものを撮影。

カンパニュラ・アルペンブルー(ホシギキョウ)

 カンパニュラ・アルペンブルー(ホシギキョウ): キキョウ科ホタルブクロ属、原産地はセルビア。写真は2009年5月19日、わが家の植木鉢で育てているものを撮影。

2009年6月2日火曜日

ヤマボウシ

 ヤマボウシ(山法師、山帽子): 学名 Benthamidia japonica、ミズキ科ミズキ属ヤマボウシ亜属の落葉高木。高さ5~10メートル。花は6、7月に開き、淡黄色で小さく、多数が球状に集合し、その外側に大形白色の総包片が4枚あり、花弁のように見える(以上、文献1)。花言葉は「友情」(文献2)。写真は2009年5月18日、堺市・鳳公園で撮影。

文献

  1. 「ヤマボウシ」, ウィキペディア日本語版 [2009年4月13日 (月) 02:05].
  2. ウェブサイト 季節の花300.

トケイソウ

 トケイソウ(時計草): トケイソウ科・トケイソウ属(Passiflora)に分類される植物の総称。狭義には Passiflora caerulea という種の和名。中央アメリカや南アメリカの熱帯・亜熱帯域が原産地であるが、世界中で観賞用に広く栽培される。和名は3つに分裂した雌しべが時計の長針、短針、秒針のように見える特徴のある花を咲かせることに由来する。英名の Passion Flower は、キリストの受難(Passion)を意味する。16世紀に原産地に派遣されたイエズス会の宣教師たちがこの花をかつてアッシジの聖フランチェスコが夢に見たという「十字架上の花」と信じ、キリスト教の布教に利用したことによる(以上、文献1)。花言葉は 「信心」「宗教」「信仰」「宗教的熱情」「聖なる愛」(文献2)。

 写真は2009年5月18日、堺市・中の池公園で。左の写真の花は、雌しべがまだ分裂しきっていない、咲いたばかりのもののようである。手前にハチのような虫がとまっている。右の写真、とくに下の花では、「3つに分裂した雌しべが時計の長針、短針、秒針のように見える」のがよく分かる。

文献

  1. 「トケイソウ」, ウィキペディア日本語版 [2008年12月25日 (木) 15:23].
  2. ウェブサイト 花言葉事典.

2009年6月1日月曜日

シラン

 シラン(紫蘭、学名 Bletilla striata Reichb. fil.)とはラン科シラン属の宿根草。日本、台湾、中国原産の地生ランで、日向の草原などに自生する。野生のものは準絶滅危惧種。しかし栽培品として広く普及しており、種子が飛散して栽培逸出することもあるため、野生状態のものも本来の自生個体かどうか判別は難しい。花は紫紅色で、30から50cm程度の花茎の先に数個つく。花弁は細長く、あまり開ききらないような感じに咲く。観賞用に、花の色が白色のもの、斑入りのもの、淡色花、花弁が唇弁化した「三蝶咲き」などがある(以上、文献1)。花言葉は「あなたを忘れない」「お互い忘れないように」「変わらぬ愛」「薄れゆく愛」(文献2)。

 写真は2009年5月18日、わが家の植木鉢で育てているものを撮影。文献1の記述からすれば、これは観賞用の栽培品種ということになる。「あまり開ききらないような感じに咲く」という表現がその通りであり、面白い。花言葉は、初めの三つはよいが、4番目の意味もあるとすれば、うっかり好きな人に贈れない。

文献

  1. 「シラン」, ウィキペディア日本語版 [2009年5月17日 (日) 02:02].
  2. ウェブサイト 花言葉事典.