2015年6月30日火曜日

どちらも正しかった議論 (Discussion in which both sides were right)

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わが家の古い散水ホース。
Old watering hose in my yard.

 わが家では長年、上掲の写真の散水ホースを使ってきたが、散水後の巻き取りが不便だった。最近、形状記憶型の散水ホースを買ったものの、こちらは、家の南側と北側の両方に散水するには長さが不十分で、古いホースをまだ残してある。先日来、古いホースの巻き取り機への接続部分から水漏れがしていたので、けさ、一度抜いて締め直した。

 ホースを巻き取ると、その接続部分が圧迫されるのがよくない、巻き取り機上部の把手の上を一度通してから巻くようにしては、と妻がいう。私は、一度そこを通すということは、後続部分もみなそこを通ることになって、うまく巻き取れないだろうというのだが、妻は、一度通った後は回転ドラムに巻きつくようにできるはずだという。私が、そうはいかないといっても、妻は納得しないで、そういうふうに通してみるという。

 私もふしょうぶしょう少しばかり手伝って、ホースを巻き取り部分の左右へ三度も引っ張り回すと、妻のいう状態が実現した。しかし、ホースが常に把手の上をこすり通ってから回転ドラムに巻かれることになるので、ハンドルがスムーズには動かない。

 側面図を描いてみれば簡単に分かることだったが、私の主張の「後続部分もみな把手の上を通る」と、妻の主張の「回転ドラムに巻き取れる」は、どちらも正しいながら、お互いに相手の主張が理解できていなかった。

 私は旧大放研勤務時代に、共同研究者だった故・I 君とよく研究上の議論をした。彼の声は大きかったので、普段の声の小さいことで知られていた私も負けずに大声で論じた(I 君の居室は所長室に近かったので、あるとき、大放研最終代所長の故・M 氏から、「多幡君と I 君は喧嘩をしているのかと思った」といわれた)。たいていの場合、どちらの主張も正しかったのだが、相手の観点を見落としていたため、議論になったのだと最後に分かったものである。

 いま、国会では安全保障法制という名の戦争法案をめぐって、与野党の議論が盛んである。この議論では、とても双方ともが正しいとは思えない。憲法に違反している与党論理にはどう見ても無理がある。速やかに廃案にすべきである。

2015年6月28日日曜日

広島原爆、断定の原資料が荒勝京大元教授の遺品から発見される (Original Data of Hiroshima Atomic Bomb Study Found in Articles Left by Bunsaku Arakatsu)

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アガパンサス(ムラサキクンシラン)。2015 年 6 月 22 日、わが家の庭で撮影。
African Lily (Agapanthus praecox); taken on June 22, 2015 in my yard.


わが家のプランターに今年も花咲いたネジバナ(モジズリ)。2015 年 6 月 27 日撮影。
Flowers of Chinese Spiranthes (Spiranthes sinensis) also bloomed this year in planters in my yard; June 27, 2015.

広島原爆、断定の原資料が荒勝京大元教授の遺品から発見される

 2015 年 6 月 26 日、表記のニュースを各メディアが伝えた。中でも毎日紙の報道が詳しく、9 枚の写真からなる写真特集もオンライン版で見ることが出来る。

 毎日紙の記事は、1945 年 8 月、広島に原爆が投下された直後に現地で調査した京都帝国大学(現京都大)教授の荒勝文策氏(故人)が、「新型爆弾」が原爆だと初めて科学的に断定した分析資料の原本が、氏の遺品から見つかったことを伝えるものである。「荒勝氏らが現地調査し、科学的に原爆だと突き止めたことは知られていたが、データの原本が明らかになったのは初めて」として、核開発史に詳しい政池明・京大名誉教授(素粒子物理学)が、「原爆開発に関与した当時の日本の科学者が、どのように原爆と特定したかが分かる貴重な資料だ」と評価していることも述べている。資料は現在、荒勝氏の家族から政池氏の手を経て、京大総合博物館に保存されており、学習院大大学院生の久保田明子さんが内容を分析しているとのことである。

 私の今年 4 月 5 日付けブログ記事第2パラグラフ中の「原データ」とは、毎日紙記事などが報じている「原本」の一つの、ベータ線半減期計測のグラフである。ブログ記事中にある M・A 君とは、実は政池明君である。上記ブログ記事の末尾にも、今回のメディア報道について「後日の注記」として短く書いておいたが、過去の記事の注記はあまり人目に触れないだろうと思い、ここにも記すことにした。

2015年6月21日日曜日

諏訪と磯部への旅 (Trip to Suwa and Isobe)

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高島公園。
Takashima Park.


高島城天守。
Takashima Castle Tower.


雨に煙る諏訪湖。
Lake Suwa in the rain.


碓氷川を挟む風景。
Landscape across the Usui River.

 6 月 18 日から 20 日まで、妻と「かんぽの宿」を利用する旅に出た。梅雨中にもかかわらず、雨傘を一度も使わないですんだのは幸いだった。

 初日の諏訪では、薄日も射す中を、駅から 15 分ほどケヤキ並木の通りを歩いて、高島公園を訪れた(1 枚目の写真)。 この公園は、かつては諏訪湖に突き出した水城で「諏訪の浮城」ともいわれた高島城の跡地に出来た公園で、1970 年に復元された天守がその一角にある(2 枚目の写真)。

 「かんぽの宿・諏訪」の部屋からは諏訪湖のよい眺望が得られた。4本の電線が前をよぎっていて、写真写りはよくなかったが、スケッチはそれらを無視出来るので、便利である(3、4 枚目のイメージ。二日目の朝描く。この時、諏訪湖は小雨に煙っていた。各スケッチの下に広がる空白部分は、宿の屋根で隠されていたところ)。

 二日目に磯部へ着いたときには小雨が降っていたが、小さな駅のすぐ前に、もう「かんぽの宿・磯部」の送迎車が来ていて、傘なしで走り込んだ。この日は「温泉マーク発祥の地」といわれる温泉にゆっくりつかり、碓氷川が眼下を流れる部屋で、たっぷりくつろいだ。翌朝スケッチブックを開いた時には青空が広がっていた(5 枚目のイメージ)。

 三日目には、東京回りで帰る途中、東京ステーションギャラリーで開催中の金沢出身の画家・鴨居玲の展覧会、『没後 30 年 鴨居玲展 踊り候え』(北陸新幹線開業記念)を鑑賞した。鴨居は抽象画に移りきれず、心臓の病気と創作に行き詰まったこととで、57 歳で自殺したそうだが、具象を超える具象の域に達したと思える作品は見応えがあった。

2015年6月7日日曜日

水彩画『草の根の力』(Watercolor "The Power of Grass-Roots")

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私の作品『草の根の力』。2015 年 6 月 6 日完成。
My work "The Power of Grass-Roots," completed on June 6, 2015.

  9 月に予定している長女との親子展に、親子共通の題材を扱った一組の作品を加えようということになった。そこで私は、長女のキルト作品『庭のドクダミ』に似た形で花の並ぶドクダミを描こうと、慣れない植物の絵に 1 月から取り組んでいたが、昨日ようやく出来上がった。

 ドクダミは、地下の根をどこまでも伸ばして、たくましく広がる。折しも、安保法制の名の戦争法案が国会で審議されている。9条を破壊するなという、人々の草の根からの運動が今こそ盛り上がらなければならないという思いもあって、この作品を『草の根の力』と名付けることにした。

 奇しくも、けさの朝日紙「天声人語」欄もドクダミを取り上げていた。同欄の文の題名は紙上にはないが、インターネット版(こちら)には「雨の季節の白い花」の題があり、冒頭の次の文に続いて、この季節のいろいろな白い花に触れている。
一輪挿しにして眺めて、ドクダミを見直した。濁った感じの名前に似ず、白い十字の花と見える苞(ほう)はひっそりと清楚だ。スペード形をした葉の濃緑が、白をきりりと引き立てる。はびこるだの、けちくさいだの、雑草呼ばわりが申し訳なくなる。
この植物の花弁のように見えるのは苞(つぼみを包んでいた葉)で、中央の棒状の花序に淡黄色の小花が密生しているのである。