2017年12月8日金曜日

京丹後へのバス旅行 -5- (Bus Trip to Kyōtango -5-)

[The main text of this post is in Japanese only.]


旧川嶋酒造の酒蔵。
Sake cellar of old Kawashima Brewing Company.


井筒屋旅館。
Izutsuya Inn.


天神橋の欄干の模様。
Design of Tenjin Bridge railing.


旧加悦町役場庁舎。
Old Kaya Town Hall.

 [以下の記述は、 ウェブページ「ちりめん街道観光マップ」を同時に開いておいて、そちらと見比べながら読むと、分かりやすいであろう。そのマップでは、右側が北になっていることに注意されたい。]

 旧尾藤家住宅の少し北、右手に、旧川嶋酒造の酒蔵が残っている(1 枚目の写真)。酒造という生業と生活空間を組み合わせた昭和初期の建築として注目されているという。写真右上に見えるのは、換気・煙または蒸気出しなどのための「越屋根」で、普通は屋根の上の簡略な小屋根だが、この酒蔵ではガラス窓入りで部屋風の立派な造りになっている。

 街道をさらに北上すると、左手に井筒屋旅館がある(2 枚目の写真)。明治 23 年(1890)創業の老舗旅館で、建物は昭和 8 年(1933)に再建された。玄関は堂々とした構えになっており、昔ながらの街道の雰囲気を残し、今も営業している。井筒屋旅館の近くを流れる小川に昭和 9 年(1934)に架けられた天神橋があり、その欄干には、今の若い旅行者たちが喜びそうな模様がある(3 枚目の写真)。45 度傾斜したハート型の集まりと見られるものである。

 街道の最北端には、道の西側に旧加悦町役場庁舎が残る。丹後大震災後の昭和 4 年(1929)に完成したもので、甲子園球場を設計した、当時大林組設計部長の今林彦太郎が設計を担当したそうだ。私たちはここへ最後に到達したが、現在は「ちりめん街道案内・休憩所」として使用されており、個人的に観光するには、ここを出発点とするのが便利だろう。

 語り部の説明を聞きながら、同行の旅行客の見学の邪魔にならないように、また、同旅行客が写真中に大きくは入らないようにしながらの写真撮影で、被写体に対して絶好のアングルで狙えなかった場合が多かった。しかし、「ちりめん街道観光マップ」と照らし合わせてみると、大部分の観光ポイントをなんとか撮影できていた。帰途のバスは交通渋滞に会って、予定よりも 30 分ほど遅れて大阪に到着したが、充実した旅だった。なお、「ちりめん街道」の各観光スポットの説明には、同街道ウェブサイトにある記述を参考にした。(完)

2017年12月7日木曜日

京丹後へのバス旅行 -4- (Bus Trip to Kyōtango -4-)

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下村家住宅の機屋窓(はたやまど)。
Weaver window of Simomura house.


ちりめん街道内の記念撮影スポットとして知られている場所。
The place known as a spot for taking a commemorative photo of the crape street.


実相寺。
Jissōji Temple.


旧尾藤家住宅。
Former Bitō house.

 [以下の記述は、 ウェブページ「ちりめん街道観光マップ」を同時に開いておいて、そちらと見比べながら読むと、分かりやすいであろう。そのマップでは、右側が北になっていることに注意されたい。]

 吉祥寺の北の四つ角を西へ入ると、北側に、文化元年(1804)に建てられた街道筋で最も古い建物、下村家住宅がある。「機屋窓(はたやまど)」と呼ばれる格子付き中敷居窓がある(1 枚目の写真)。かつて、機屋は外から見えないよう、かつ外からの明かりがしっかりと取れるように設計されていて(写真の窓下の、斜め手前に突き出している板に注意)、機屋窓はその設計の名残である。

 この辺りは、ちりめん街道内の記念撮影スポットとして知られている(2 枚目の写真)。写真の右手に写っているのは、下村家住宅の続きで、その向こうの、私たちバス旅行客の一つの班が前で説明を聞いている土壁の建物は、下村家の一画に加悦郵便局舎として明治 20 年(1887)に建てられたものである。その電信事業は、価格の動きが激しい生糸相場の情報をいち早く知る手段として、多いに活用されたという。

 2 枚目の写真の奥、街道が右折して北上する角に、加悦谷で唯一の日蓮宗寺院、実相寺が風格ある石垣と山門を備えて建つ(3 枚目の写真)。北上する街道の左手に、江戸時代末期文久 3 年(1863)に建築された丹後ちりめん商家、旧尾藤家住宅がある(4 枚目の写真)。関西北部の大型農家を基本として、丹後ちりめん商家と昭和初期の洋風住宅建築の要素が付加されている貴重な建造物で、京都府指定有形文化財になっている。(つづく)

2017年12月6日水曜日

京丹後へのバス旅行 -3- (Bus Trip to Kyōtango -3-)

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「手米屋小右衛門(てごめやこえもん)」の本家・杉本家住宅。
The house of Sugimotos, the head family of "Tegomeyakoemon".


「縮緬発祥之地」の石碑。
Monument of "The birth place of crepe".


西山工場。
Nishiyama factory.


宝厳寺。
Hōgan-ji Temple.


天満神社。
Tenman Shrine.


吉祥寺。
Kisshōji Temple.

 [以下の記述は、 ウェブページ「ちりめん街道観光マップ」を同時に開いておいて、そちらと見比べながら読むと、分かりやすいであろう。そのマップでは、右側が北になっていることに注意されたい。]

 旧伊藤医院診療所の南隣には、丹後ちりめんの始祖「手米屋小右衛門(てごめやこえもん)」の本家・杉本家住宅があり(1 枚目の写真)、その正面には「縮緬発祥之地」の石碑が立っている(2 枚目の写真)。その南角を奥へ入ると、西山工場があり、第 1 工場から第 2 工場へ二階の廊下でつないでいた痕跡が見られる(3 枚目の写真)。

 向きを北へ変えて進むと、左手に宝厳寺(4 枚目の写真)、天満神社(5 枚目の写真)、吉祥寺(6 枚目の写真)とつづく。毎年春に行われる加悦谷祭では、天満神社参道の 137 段の石段を、大みこしを担いで登る人たちの勇壮な姿が見られるという。(つづく)

2017年12月5日火曜日

京丹後へのバス旅行 -2- (Bus Trip to Kyōtango -2-)

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旧加悦鉄道駅舎。
Former Kaya-railway station.


杉本家住宅。
Sugimoto family house.


旧伊藤医院診療所。
Former Ito clinic.


旧伊藤医院診療所玄関のレリーフ。
Relief at the entrance of former Ito clinic.

 「和久傳の森」の次に訪れたのは、「ちりめん街道」である(以下の記述は、 ウェブページ「ちりめん街道観光マップ」を同時に開いておいて、そちらと見比べながら読むと、分かりやすいであろう。そのマップでは、右側が北になっていることに注意されたい)。京都府北部・与謝野町加悦にあるこの街道は、江戸から明治・大正・昭和初期にかけて、高級織物「丹後ちりめん」が隆盛を極めた場所である。2005 年に重要伝統建造物群保存地区に指定され、ちりめん産業によって町を近代化した建物の多くが、現在も住宅として利用されながら残っている。

 私たちは 3 班に分かれて、それぞれ語り部の案内を聞きながら散策した。出発点には、今は丹後観光の玄関口として、その案内役をしている旧加悦鉄道駅舎がある(1 枚目の写真)。そこから少し南下したあと、西へ進むと、まず、明治中期に建てられた杉本家住宅(上之町)がある。防火壁の役割を果たす「うだつ」が見られる家として、街道唯一のものだそうだ(2 枚目の写真。撮影アングルが不適当で、右端にうだつの一部しか写っていない。人物は私たち 2 班の案内をして貰った語り部さん)。

 さらに南下すると、大正 6(1917)年頃に建てられ、この地域初の西洋医学の診療所として貢献した旧伊藤医院診療所がある(3 枚目の写真)。玄関上部に漆喰で造られたレリーフがあるのが特徴である。このレリーフは加悦の左官職人・萬吉が、神戸の洋館建築で修業した後に施工したと伝えられ、古代ギリシャ・ローマ建築の神殿などに見られる柱頭飾りやレリーフを範にした洋風意匠となっている(4 枚目の写真)。(つづく)

2017年12月4日月曜日

京丹後へのバス旅行 -1- (Bus Trip to Kyōtango -1-)

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「和久傳の森」の一部。
Part of Wakuden-no-Mori wood.


「森の中の家 安野光雅館」。
Mitsumasa An-no Museum.


工房レストラン wakuden MORI。
Studio and Restaurant.


工房レストラン内のテーブル。
A table in the restaurant.

 12 月 2 日(土)、妻と早朝に家を出て、「京丹後『和久傳の森』と ちりめん街道」と称する、日帰りバス旅行に参加した。行きのバスの走行中に一時雨が降ったが、到着後はずっと好天気に恵まれた。

 「和久傳の森」は京都の料亭「和久傳」が、安野光雅氏の絵画を展示する「森の中の家 安野光雅館」と工房レストランを、多くの植樹をした森の中に建てたもので、今年の6月に開いたばかりである。森は、植物生態学者・宮脇昭氏の指導で、2007 年から手がけられ、56 種類の木々 3 万本が育っているという。

 安野光雅館は、安藤忠雄氏が自然の光や風を取り込んで、独特かつシンプルな設計をした小規模なもので、期間ごとに入れ替えて展示する形式になっている。9 月 20 日から 12 月 21 日までは、『洛中洛外』の絵 58 点が展示されている。少数ながら見応えがあり、工房レストラン wakuden MORI(モーリ、桑の木のイタリア語にちなんでいるという)での食事後に再見学出来たのもよかった。

 食事は丹後や和久傳の森でとれた食材を使った、ヘルシーで美味なものだった。午後 1 時半に再びバスに乗り、ちりめん街道へ向かった。(つづく)