2026年7月18日土曜日

題名『アナザーストーリーズ』の謎 (The Mystery behind the Title "Another Stories")

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イメージはNHKの関連番組紹介ページ https://www.nhk.jp/g/ts/VWRZ1WWNYP/ から
The image is from the NHK program information page: https://www.nhk.jp/g/ts/VWRZ1WWNYP/.

 NHK番組の『アナザーストーリーズ』という題名が以前から気になっていた。これについて、Google で尋ねてみると、再質問もした結果、納得のできる答えを得たので、その問答をここに紹介する。私の質問文は若干修正し、Google AI の回答中の引用文献は省略してある。また、回答中には随所に太字が使われていたが、ここでは、最後の結論の項中の太字だけを残した。



 問:NHK番組に『アナザーストーリーズ』という題名のものがあります。この題名は英文法的には間違いだと思いますが。

 答:英語の「another」の後に続く名詞は、文法上「単数形」が基本です。そのため「another stories」は一見すると文法上の間違いに思えます。
 しかし、この番組名は「別の複数の物語(another set of stories)」を意味する英語として許容されています。「another」は「an + other」が合わさった言葉ですが、日常会話やエンターテインメントの分野では、「複数形」の単語を修飾する使い方が定着しています。
 他にも、世界的に有名な作品のタイトル(例:映画『Another Stories』など)や日常会話でも、この表現が使われることがあります。したがって、間違いというよりも「慣用的な表現」として使われています。

 問:映画『Another Stories』は日本の作品のようです。英語圏で another + 複数名詞の著名な用例はありますか?

 答:英語圏において、数字などの修飾語を挟まずに another + 複数名詞(例:another stories)と直接つなげる表現は、文法的に明確な「間違い(誤用)」とみなされます。ネイティブスピーカーが日常会話やフォーマルな場でこれを使うことは基本的にありません。
 しかし、「特定の条件」を満たす場合、英語圏でも another の後ろに複数名詞が続く正しい用法が存在します。
1. another + 数詞 + 複数名詞(期間・金額・数量)
 another と複数名詞の間に具体的な数字や few などの数量を表す言葉を挟む場合、後ろに複数名詞を置くことができます。このとき、another は「もう一つの~」ではなく、「さらに~」「追加の~」という意味になります。
 • another two weeks(あと2週間)--Example: "The investigation will take another two weeks."(調査にはあと2週間かかる見込みだ。)
 • another ten dollars(あと10ドル)
 • another few days(あと数日)
 これらは「2週間という1つのひとかたまり(期間)」が「もう1つ追加される」というニュアンスになるため、another を使うことができます。
2. another + 集合名詞・単位(省略のニュアンス)
 「別の~の集まり」という意味で、本来あるはずの set of や group of などの単数名詞が省略され、結果的に複数名詞が続いているように見えるケースです。
 • another pair of shoes(もう一足の靴)--日常会話では省略されて another shoes と言ってしまう誤用が散見されますが、正しくは pair of が必要です。 
 結論:前述の通り、数字などを挟まない another stories や another pictures といった表現は、英語圏の著名な文学やメディアで「正しい表現」として使われることはありません。そのため、NHKの『アナザーストーリーズ』というタイトルは、英語圏の文法をそのまま持ち込んだものではなく、日本国内での響きの良さや「アナザー(別の)+ストーリーズ(複数の物語)」という意味を分かりやすく組み合わせた、日本独自の和製英語(造語)であると解釈するのが最も自然です。 

2026年6月28日日曜日

本ブログの紹介文 (Introductory Words to This Blog)

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本ブログの上部イメージ
Upper part image of this blog

 本ブログは『人気ブログランキング』サイト(文献1)に登録してある。参加カテゴリーは、「本、書籍」、「生活・文化(全般)」、「絵画」、「学問一般」、「物理学」の五つで、参加ブログの比較的少ない、後の三つのカテゴリーでのランキングは一桁台であるが、全体ランキングは、なんと四桁の数字である。ただし、これは更新頻度が最近極めて減っていることから考えて、不思議ではない。

 この度、上記のサイトでは各ブログについて、「このブログのここがポイント」という囲み記事が作られていることに気づいた。文章表現がいささか奇妙で、AI が作成したものらしく思われる。しかし、我がブログはこういうふうにまとめられるものかと、興味深く読んだので、ここに引用しておく。
自己表現と出身校のつながりを大切にした内容
作者の絵画活動や故郷の思い出、平和への願いを静かに綴る印象を与えます。写真や資料を通じて、個人の成長や芸術への情熱を伝え、伝統や未来を見つめる気持ちに温かさをもたらします。
 「出身校とのつながり」とあるのは、近年、出身高校同窓会関西支部の『一筆箋 関西そくさい便り』に掲載した文などをいくつも引用していることからきているだろう。「個人の成長」とあるのは、特に「抱いた大志に悔いなし (No Regrets for Unfulfilled Ambitions)」(文献2)の記事に関連していると思われる。「平和への願い」について最近特に書いた覚えはないが、上記記事の写真説明中にはその思いが出ており、また、古い記事には多く書いていたように思う。

 後日の追記:元日のブログ記事には、毎年「平和への願い」を書いていたのだった。年賀状に実際に使った文を載せていたので、ブログ記事として「平和への願い」を特に書いたという気がしていなかった。

文献
  1. 『人気ブログランキング』、ウエブサイト https://blog.with2.net
  2. 「抱いた大志に悔いなし (No Regrets for Unfulfilled Ambitions)」、本ブログの記事(2024年5月29日)https://ideaisaac2.blogspot.com/2024/05/i-dont-regret-my-not-completely.html

2026年3月4日水曜日

「哲学における鏡像反転論」を読んで (On Reading "Mirror Reversal in Philosophy")

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本文の掲載誌『學士會会報』No. 977 (2026) の表紙
Cover of the Gakushikaiho No. 977 (2026) in which this article was published

 以下は『學士會会報』No. 977, pp. 90–91(「会員ひろば」欄)(2026) に掲載された拙文の転載である(一部修正)。

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 本誌第 975 号 32 ページ掲載の加地大介氏による表記題名の文を拝読し、次のことをお知らせしたいと思いました。心理学分野において 1998 年以降に幾つもの鏡像反転の謎(なぜ鏡は左右を反転し、上下を反転しないか。以下で「鏡の謎」と略称)に関する文献が発表され、それらの中に、この謎に対する決定打と言える「新しい直交座標説」があることです(従来の直交座標説は、加地氏の文にある「反転しているのは前後」とするもので、一つの認識あるいは特定の一直交座標系の適用としては正しいのですが、それをもとに左右反転の認識を否定し去るのは間違いだと私も思います)。
 幾つもの文献が出る発端となったのは文献 1(以下で高野説と呼ぶ)でした。高野説は鏡の謎について、複雑な説明をしています(実は、同説は左右反転以外の認識をも併せて説明する、いわば「広義の鏡像問題」を扱っていましたが、そのことが不明瞭でした)。これに対して鏡の謎(「狭義の鏡像問題」)はもっと簡単に説明できるとする、文献 2 及び 3 が、文献 1 と同じ心理学専門誌に同時掲載されました(後者の筆頭著者は私。これを以下で多幡説と略称)。少し遅れて、同じ謎を一部分で扱った文献 4 が出版されました。さらに、文献 5 も高野説を批判しました(小亀説。従来の直交座標説に似る)。この段階で、『認知科学』誌が文献 6 の小特集を組みました。それは小亀、多幡、高野各自による自説紹介、他説批判、批判への回答を掲載したものです。そこでの多幡説は、高野説の取り扱い範囲と合わせるため、吉村と共著の文献 7 の内容を含めています。
 以上の経過中に現れた「新しい直交座標説」は、文献 2、3、4 が独立・共通に述べているものです。加地氏の円柱座標説は上下が反転しないで、水平方向が反転することを説明していますが、同じ水平方向のうち、なぜ前後でなく(この点は鏡の謎の表現にはないものではありますが)、左右が反転するのかの理由が不明確です。他方、「新しい直交座標説」では、左右自体が逆と認識され得る理由を以下の通り明確に述べています。
 鏡は鏡面に垂直な軸方向を逆に映し出す結果、あるモノとその鏡像の形は、右手と左手のような対掌体という形同士となります。対掌体の一方は、必ずしも直交座標軸のどれかの軸についてでなく、任意の方向について逆にしても他方の形になります。このことは、右手をどの方向から鏡に映しても、鏡の中の手が左手同様の指の付き方になっていることからも分かります。鏡映によるこのような形の変化を見るとき、私たちは無意識にながら、モノとその鏡像(以下、両者を共にモノと略称)のそれぞれに対して、固有の上下・前後・左右からなる直交座標系を当てはめているのです。この座標系において、3 軸のうち上下と前後はモノの外見的特徴から先に決まります(上下・前後の両方または一方が決められないモノには、固有の左右軸も決められません)。左右方向のどちらが左で、どちらが右かは、上下・前後の 2 軸に依存して最後に決まるので、鏡映で逆になったと認識される方向は、最後に決まる軸に押しつけられることになるのです。
 なお、鏡の謎を含む広義の鏡像問題の十分なご理解のためには文献 8 をお勧めします。

文献
  1. Takano, Y. Psychonomic Bulletin & Review, Vol. 5, pp. 37–55 (1998).
  2. Corballis, M. C. ibid., Vol. 7, pp. 163–169 (2000).
  3. Tabata, T. and Okuda, S. ibid., Vol. 7, pp. 170–173 (2000).
  4. McManus, C. Right Hand, Left Hand: The Origins of Asymmetry in Brains, Bodies, Atoms and Cultures (Wiedenfeld & Nicolson, London, 2002).
  5. 小亀淳. 『認知科学』, Vol. 12, pp. 320–337 (2005).
  6. 小特集-鏡映反転. 『認知科学』, Vol. 15, pp. 496-558 (2008).
  7. Yoshimura, H. and Tabata, T. Perception, Vol. 36, pp. 1049–1056 (2007).
  8. 吉村浩一. 『鏡の中の左利き:鏡像反転の謎』 (ナカニシヤ出版, 京都, 2004).
(京大・理博・理・昭33)
転載時の追記

 本文において「新しい直交座標説」と呼んだものを、高野は「左右軸劣後説」と名付けています[高野陽太郎『鏡映反転:紀元前からの難問を解く』(岩波、東京、2015)p. 204]。左右軸が後から決まることを特徴とするものではありますが、「劣」の文字が入ることを私は好みません。なお、左右軸が上下・前後が決まって初めて決まることを最初に述べた文献は意外に新しく、Miller, G. A., & Johnson-Laird, P. N. Language and Perception (Belknap Press of Harvard University Press, Cambridge, MA, 1976) p. 401 のようです。鏡の謎が長らく解けなかったのも無理はありません。
 鏡の謎について上下・前後・左右の直交座標系を使って説明する際に、私は一つの向きが逆になる意味で「反転」という言葉を使いたくなく、自らこの問題を論じる際には「逆になる」あるいは「逆転」という表現をします(英語では reversal が使われる)。3 次元直交座標系が出てくる文中で「反転」と言えば、右手座標系の一軸が逆向きになった結果、左手座標系になることを意味するからです(英語の inversion)。座標系のこの反転と同様に、実物とその鏡像は 3 次元的な反転関係にあると言えます。しかし、加地氏が一つの向きが逆になる意味で「反転」を使われていたので、本文中では私もやむなく、その意味で「反転」を使いました。
 なお、転載にあたっての変更点は、「鏡は鏡面に垂直な軸方向を...」の前(現第 4 段落先頭)で改行したこと、第 3 段落にある「円柱座標説」の前に「加地氏の」を付け加えたこと、第 4 段落で「モノとその鏡像のそれぞれ(以下、モノと略称)に対して」とあったところを「モノとその鏡像(以下、両者を共にモノと略称)のそれぞれに対して」に変えたこと、の 3 点です。
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2026年1月1日木曜日

2026年初めのごあいさつ (Greetings for the New Year of 2026)

[The main text of this post is in Japanese only.]妻の年賀状の挿絵として、彼女が登った思い出の山の一つである八ヶ岳(標高2,530m)を私が描いたもの。『週刊 日本百名山』No. 2(朝日新聞社、2001)の表紙写真を参考にした。
A picture I made for my wife's New Year card, showing Mt. Yatsugatake,
one of the mountains she climbed.

新年おめでとうございます

 「帰馬放牛」という熟語は 戦争で使った馬や牛を野に帰し放つことから 二度と戦争はしないということも表しているそうです

 我が国は自衛の名の下に大幅な軍備拡張をすることをやめ 憲法第九条に沿ったこの熟語の順守をこそ続けて行かなければならないと思います

 皆様のご健康とご幸福をお祈りいたします

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2025年9月4日木曜日

2025年の美交会展 (Bikokai Exhibition 2025)

[The main text of this post is in Japanese only.]写真1. 水彩画『赤石岳』。不透明水彩絵の具を使用。F6サイズ(409mm×318mm)。
Watercolor painting "Mt. Akaishi." Gouache. F6 size (409 mm x 318 mm).

 以下は私の出身高校(石川県立金沢菫台高校、現・石川県立金沢商業高校)の同窓会関西支部が発行する『一筆箋:関西そくさい便り』第4号(2025年8月発行)に掲載された私の文である。

×     ×     ×

 毎回その年に描いた趣味の水彩画作品の写真を投稿するつもりでしたが、昨年は本誌への投稿締切日のみでなく、原作を出品する予定の美交会展(素人・玄人を含む、油彩、水彩、切り絵、書、写真、工芸など美術多分野の会員によって、堺市内で毎年1回開催されている無審査の展覧会)にも、作品の完成が間に合いませんでした。その作品は、昨年9月になってようやく完成し、今年の展覧会に出しましたので、今回はそれをご覧に入れます(写真1)。

 この作品は、『最新版 週刊日本百名山、No.15』(朝日新聞出版、2008年)の表紙になっている赤石岳の写真(中山秀幸氏撮影)を参考にして描きました。赤石岳は赤石山脈の長野県と静岡県にまたがる標高3,120.5mの山です。上記の冊子は、この山を、「威厳と風格を兼ね備えた南アルプスの宗家」と紹介しています。山名の由来は、同冊子に引用してある深田久弥の『日本百名山』の文に、「この山の南面から発して東流する沢に、赤褐色の岩石が大崩壊して押し流された。そこでその沢が赤石沢と呼ばれ、それが頂の山の名になった」と述べられています。深田はまた、その山頂の姿について、「私の記憶にあるあらゆる頂上のなかで、赤石岳のそれほど立派なものはない」とも書いていて、この山は百名山中でも格別容姿の優れた山のようです。私の絵は、写真をコンピューター加工したものを真似る手法を使い、元の写真よりいくらか明るく描きました。
写真2. 今年の美交会展会場内の、私の水彩画と長女のキルト作品が取り上げられた特別展示場所。(展示設定直後の、観覧者のまだいない時間に撮影。手前の台上にある作品は別の会員のもの)。
The special exhibition area in this year's Bikokai Exhibition featured my watercolor paintings and my eldest daughter's patchwork quilts. (The photo was taken just after the exhibition was set up, when there were no visitors yet. The work on the platform in the foreground belongs to another member.)

 なお、美交会展では数年前の展覧会以来、毎回一人の会員の過去からの作品を集めた特別展示コーナーを設けています。私は、本誌前号に記しましたように、長女(私と一緒に美交会会員になっています)のパッチワークキルト作品と合わせた親子作品集を昨年作りました。その一冊を美交会会長に進呈してあったことも影響して、今回は、私と長女の作品が合わせて特別展示の対象に選ばれました。そこで、写真1の作品の他、私の過去の水彩画5点と、長女のキルト作品(壁掛けの5点と壁際の卓上に置いた小物2点)が、さる5月20日から25日まで堺市立文化会館内の2室を使って開催された美交会展の一部を飾りました(写真2)。4月17日に卒寿を迎えた私にとって、良い記念行事ともなりました。