2006年2月5日日曜日

湯川・朝永両博士生誕100年へ向けて (Centenaries of Yukawa's and Tomonaga's Birth Are Coming)

 ノーベル賞物理学者の朝永振一郎と湯川秀樹両博士の生誕100年が、2006年3月31日と2007年1月23日にそれぞれ到来するのを機会に、両博士がともに学んだ京大や、その他の両博士に縁のある場所などで、記念行事等が計画されている [1, 2]。

 さる1月27日付けの朝日新聞夕刊は、湯川博士の魅力を市民の目で伝えたいとして活躍を始めたグループについて紹介していた [3]。このグループ「湯川秀樹を研究する市民の会」は、大阪市立科学館――湯川博士が講師をしていて、中間子の存在を予言した阪大理学部の跡地にある――の友の会を中心にして結成されている。博士の論文や著書を読んだり、ゆかりの人に話を聞いたりして、その業績、生い立ちや人柄などをシンポジウムで発表して出版し、科学館にも展示することを目指しているという。同会のホームページ [4] によれば、メンバーは、主婦、幼稚園・中学校・高校の先生たち、エンジニア、会社員、学生など、多彩である。私はその活動に共感を覚え、入会させて貰った。

 入会することになってから、ホームページを再度よく見ると、「科学者には書けないものを出版、これが夢です」とある。私は、湯川博士の専門だった理論物理学については、他のほとんどの会員の方がたと同じく、全くのしろうとであり、その意味では、この場合の「科学者でない者」の仲間といってもよいだろう。しかし、放射線物理学を仕事にしてきたという意味では、一応、科学者のはしくれなので、どのようにお手伝いするのがよいか、慎重に考えなければならない(後日の注記:科学館の方の提案で、正会員でなく、アドバイザーの一人ということになった)。それはともかく、私にとって、ノーベル賞受賞効果によって物理の道へいざなって下さった恩人であり、量子力学の恩師でもある湯川博士について、幅広い市民の方がたと語り合えることは、大きな楽しみである。

 このブログをご覧になった方々からも、湯川博士の、科学から文化や平和運動にもおよぶ幅広い活躍への思いを、コメント欄に寄せていただければありがたい。

 (表題に「湯川・朝永両博士」と書きながら、本文は湯川博士中心になってしまった。これは、朝永ファンの方には悪かったが、私が元同僚とともに書いた論文「鏡映逆転は心理過程に依拠せずに簡単に説明される」中に朝永博士の『鏡の中の世界』を引用し、湯川博士の著作は何も引用しなかったことによって許されるであろう。)

  1. 湯川・朝永両博士 生誕100年で記念行事:京大、企画展や式典開催へ, 京都新聞電子版 (2006年1月11日).
  2. 朝永、湯川博士が生誕100年:出身の京都大など記念事業, Yahoo!ニュース - 共同通信 (2006年1月18日).
  3. 湯川博士はナニワの誇り:魅力伝承へ市民グループ発足, asahi.com (2006年01月27日).
  4. 湯川秀樹を研究する市民の会

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