昨日、山崎豊子の "事実を小説的に再構築したフィクション小説"『沈まぬ太陽』(1999年)をもとにした同名の映画を見た。国民航空社員で同社の労働組合委員長を務めた主人公、恩地元(渡辺謙が演じる)が受けたカラチ、テヘラン、ナイロビへの不条理な配置転換を中心に、大航空会社の安全軽視、事故遺族への冷淡さ、そして経営陣の政治との癒着と腐敗などを描き出した3時間22分の大作である。
恩地の自己の信念をまげない生き方には心を強く打つものがある。日本航空元社員・小倉寛太郎(1930−2002)がモデルになっているという。小倉の「私の歩んできた道:駒場からナイロビまで」と題する、1999年の東大駒場祭での講演記録をウェブサイト [1] で読むことができる。
この映画に対して日本航空は、社内報の中で「『フィクション』と断っているが、日航や役員・社員を連想させ、日航と個人のイメージを傷つける」「作り話で商業的利益を得ようとする行為は遺族への配慮が欠けている」と批判し、法的な訴えも辞さない姿勢を見せているという [2]。この作品から謙虚に学んで、安全重視、人命尊重の経営へ転換することこそが重要であろう。
文献
「沈まぬ太陽」, ウィキペディア日本語版 [2009年11月10日 (火) 14:45].
0 件のコメント:
コメントを投稿