2007年10月2日火曜日

ポアンカレ予想

 昨夜午後8時から10時近くまでNHKハイビジョンで放映された「世紀の難問に挑んだ天才たち:宇宙の形のなぞに迫る」を見た。「単連結な3次元閉多様体は3次元球面S3に同相である」というポアンカレ予想(Poincaré conjecture、1904年に提出)を解こうとして、この難問に取り憑かれてきた数学者たちの苦闘が興味深く描かれていた。

 ポアンカレ予想はのちにn次元に拡張され、n≧5 の場合がスティーヴン・スメールによって(1960年)、n=4 の場合がマイケル・フリードマンによって(1981年)証明されたこと、さらに、3次元ポアンカレ予想について、ウィリアム・サーストンが幾何化予想(3次元多様体の分類に関するもので、3次元ポアンカレ予想を含む)を出したこと、2002年から2003年にかけてロシアの数学者グリゴリー・ペレルマンが リッチ・フロー (Ricci flow) の理論を利用して、サーストンの幾何化予想を解決し、その結果としてポアンカレ予想を解決したことなどの専門的な内容も分かりやすく紹介されていた。

 世紀の難問を解き、2006年のフィールズ賞を受賞しながら辞退したペレルマンは、目下隠遁していて、何か新しい目標を見つけたとのみ、最近アメリカの数学者にもらしたとか。趣味はキノコ狩りだそうだ。

 (この記事を書くに当たっては、『ウィキペディア』の「ポアンカレ予想」の項によって、記憶の確認・追補を行った。)

 追記:上記テレビ番組の副題「宇宙の形のなぞに迫る」と同様な副題は、ポアンカレ予想について書かれた英書 [1] にも使われている。

  1. Donal O'Shea, The Poincare Conjecture: In Search of the Shape of the Universe (Walker & Company, 2007).

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