2019年12月4日水曜日

N・T 氏へのメール -9-:南部さん、真木君、修論など (Email Messages to N. T. -9-: Y. Nambu, K. Maki, Master Thesis, etc.)

[The main text of this post is in Japanese only.]


わが家の秋色、ハナミズキ。2019 年 12 月 2 日撮影。
Autumn color of my home, flowering dogwood; taken on December 2, 2019.

N・T 氏へのメール -9-:南部さん、真木君、修論など

2019 年 10 月 16 日
N・T さん

 貴殿は団塊の世代に属し、中学の 1 学年が 7 クラスだったとのことですが、その数字にはあまり驚きません。私の中学時代は戦後の新学制に移行したばかり(3 期生)で、中学校校舎を増設する必要があった時です。そこで、旧制中学などの既存の校舎が当てられた新制中学では、新設校が出来ればそちらへ移る予定の小学校区からの生徒たちを暫定的に受け入れたので、私が入った中学では、1 年生の時の 1 学年は 10 クラスありました。

 しかし、各クラス 70 人強というご経験には、ちょっと驚きます[注 1]。私にもそれに似た経験がないではありませんが、大連で引き揚げ直前のごく短期間という、いわば非常事態でのことです。大連港から引き揚げ船に乗るために、旧満州の各地から大連へ来て滞在した家族の子供たちの転入を、大連の各小学校が受け入れたためだったと思います。教室は机でいっぱいになり、教室内の場所によっては、机の上を渡り歩かなければ行き着けない状態だったことを記憶しています。

 外国の方が講演で、「かの偉大な南部の出身地」と言われた「出身地」は英語ではどういう言葉だったでしょうか。北陸という意味よりも、外国から見ると小さな島国に過ぎない日本全体を指したのではないでしょうか。なお、南部さんを金沢に結びつけ、さらに四高にも結びつけておられたということなので、南部さんは実際にはどの旧制高校出身だろうかと、再度『ウィキペディア』を見ると、「一高に補欠合格」とありました。補欠合格とはどういう事情だったのか、興味が湧きます。

 なお、素粒子論の亀淵迪さんが石川県生まれ(県内の詳細な場所は不明)で、四高で学ばれたことを最近知りました。彼が岩波の PR 誌『図書』7 月号に「私の『二都物語』—金沢とコペンハーゲン」という文を載せていたからです。どちらの市でも、それぞれ所属した機関(四高とニールス・ボーア研究所)の関係で、「市民から特別視され親切にされた」そうです。また、雪の結晶の研究で知られる中谷宇吉郎も石川県(現・加賀市)生まれで、四高で学んだ人です。

 昨日いただいたメールの真木君の思い出に関連することも失せた返信に書いたのですが、その話などは次回にします。

 T・T


2019 年 10 月 26 日
N・T さん

 休メールの件、承知しました[注 2]。

 先日来、美交会展が開催されていたためもあり、失せたメールの後半に書いていたことを再現してお知らせすることが遅れていました。その中から、貴殿の先のメールにあった修士論文発表会に関連して書いたことだけを、間延びしないうちに以下にしたため、お返事はご無用とさせて貰います。

 どんな質量でもよいという意味で、真木君が月の質量を持ち出したのは、まことに奇抜ですね。貴殿が修士論文の段階からすでに「人びとに知られる」結果を出しておられたことを知り、改めて敬服いたしました。私の修士論文は、原子核が陽子を捕獲した際に放出する γ 線の測定によって、原子核の励起状態を調べるという、核分光学に属するものでした。指導を受けながら一緒に実験をした助教授と博士課程在学中の先輩の二人それぞれの学位論文になった仕事を、私の修士論文に兼用させて貰った形で(私が主に手伝った、peeling-off という方法による γ 線スペクトルの分析部分に力点を置いて発表しましたが)、発表会では特に質問もなく、形式的に終わったと記憶しています。私は核分光学が、医者が個々の患者の病状の変化を記録しているようなものに思えて、好きになれませんでした。

 では、お仕事のスムーズな進行を祈りながら、またのメール交換を楽しみにしております

 T・T

 [注]
  1. これに対して、N・T 氏からの 10 月 26 日付けメール(今回の最終メール)に、「前回のメールでクラスの人数を 70 強と云ったのは多少オーバーだったかもしれません」とあった。
  2. 注 1 にあるのと同じ最終メールに、「新たな講義を仙台でもやることに」なったなどの理由で、「しばらく休筆ならぬ休メールでいきたいのです」とあった。
(今回のシリーズ、完)

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