『新潮世界文学 48:カミュ I』(1968) 冒頭のカミュの写真。
The photo of Albert Camus at the beginning of "Shincho Sekai Bungaku 48: Camus I" (1968).
新型コロナウィルスの影響で、カミュの小説『ペスト』がよく売れているというニュースを見た。そこで、私も先日、まだかなりの部分が応接間の本棚に積読になっている『新潮世界文学』中のその作品が入っている 1 冊を取り出して来た。
まだ少ししか読み進んでいないが、次のような言葉が出て来て、その通りと思った。
まだ少ししか読み進んでいないが、次のような言葉が出て来て、その通りと思った。
戦争が勃発すると、人々はいう——「こいつは長くは続かないだろう、あまりにもばかげたことだから」。そしていかにも、戦争というものは確かにあまりにもばかげたことであるが、しかしそのことは、そいつが長続きする妨げにはならない。愚行は常にしつこく続けられるものであり、人々もしょっちゅう自分のことばかり考えてさえいなければ、そのことに気がつくはずである。
ペストという、未来も、移動も、議論も封じてしまうものなど、どうして考えられたであろうか。彼らは自ら自由であると信じていたし、しかも、天災というものがあるかぎり、何びとも決して自由ではありえないのである。[宮崎嶺雄・訳]初めの引用文は、世界に何人もいる戦争好きの政治家たちに読ませたいものである。二番目の引用文は、「ペスト」を「新型コロナウィルス」に、「彼ら」(小説の舞台であるアルジェリアの要港・オランの人々を意味している)を「世界の人々」に置き換えると、いまの現実に当てはまりそうだ。