2022年12月16日金曜日

過剰な「させていただく」(Excessive Japanese expression "sasete itadaku")

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誰に使役されているつもりなのか

 「〜させていただく」という言葉は、相手からの依頼、許可、厚意、恩恵などがあって「〜する」場合の丁寧表現としては妥当である(文献 [1])。そういう条件下でない場合に使うのは、いかにも過剰な表現であるが、最近、あまりにもよく耳にする。「させる」は使役の助動詞である。自発的に行なっていることについて、「〜させていただいております」というのを聞くと、「誰に使役されているつもりなのか。日本国憲法が主権在民主義の憲法であることをお忘れか」と問いかけたくなる。謙譲が行き過ぎれば、卑屈となる。過剰な「〜させていただいております」を使う人たちには、「卑屈」の意味も分かるまいから、文献 [2] からその意味を引用しておく。「自分をいやしめて服従・妥協しようとする、いくじのない態度」である。

 文献
  1. 井上明美、第10回「させていただきます」1、Web日本語:日本語マナーの歳時記 (2011) [https://www.web-nihongo.com/j_manner/jm_p010/]
  2. 西尾実ほか編、岩波国語辞典第5版 (1994)

2022年12月15日木曜日

「〜になります」の間違った使い方 (Wrong usage of the Japanese phrase "... ni narimasu")

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「これがコーヒーに成るのですか。じゃ、今は何なのですか。」

 「〜です」の丁寧な表現のつもりで「〜になります」という言い方が始まって久しい。私の幼友達だった故・Aさんは、高校の国語の先生だった。十数年前に会った時、次のような話をしていた。
 最近、喫茶店でコーヒーを注文すると、持って来た店員が「コーヒーになります」と言うので、わたしは、「これがコーヒーに成るのですか。じゃ、今は何なのですか」と言ってやるの。すると、店員はキョトンとしてるよ。
丁寧言葉のつもりでの「〜になります」は、この例のように、飲食店やコンビニのアルバイト店員が使い始めたらしく、バイト敬語とも呼ばれているそうだ。しかし、最近はテレビを見ていると、大学の教官でさえも使っているから驚く。文献 [1] を読んで学んで貰いたい。


 文献
  1. 「になります」は敬語ではない! 正しい用法を例文で解説、記事ブログ (2020) [https://記事作成代行.jp/ninarimasu/]

2022年12月14日水曜日

嫌いな言葉「スピード感を持って」(The phrase I dislike, "with a sense of speed")

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必ずしも迅速に行うことにはならない。

 「スピード感を持って」という言葉は、すでに安倍元首相・菅前首相の時代から、首相をはじめとする政治家たちの発言によく使われるとして批判されて来ている [1, 2]。しかしながら、政治家たちは今なお盛んにこの言葉を使っている。「感をもって」では、必ずしも実際に迅速に行うことにはならない。それをもって、迅速に進まなかったことの言い訳にしようという魂胆があるかのようである。また、カタカナ語を使うことが格好よいとでも思っているかのようである。政治家たるものは、「迅速に進めます」と、簡潔・正確な日本語でその決意をいい切るべきである。

 文献
  1. 道浦俊彦「スピード感をもって」、読売テレビ 道浦俊彦TIME (2020) [https://www.ytv.co.jp/michiura_time/contents/202004/5on9aksin1r4q5ra.html]
  2. 青沼陽一郎『「スピード感をもって」とは? 国語力疑わしい菅首相』、JBpress (2021) [https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/64286]

2022年12月10日土曜日

「~づらい」と「~にくい」 (Japanese words, "... zurai" and "... nikui")

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『広辞苑』第七版の「づらい」の項のある部分。

 最近テレビを見ていると、「~づらい」という言い方がしょっちゅう出てくる。似た意味での「~にくい」を聞くことは滅多にない。これは最近著しくなった傾向のように思われる。私は1935年生まれで、自分では「~づらい」を使ったことがない。濁音にラ行の音が続く「~づらい」は、日本語の中ではよくない意味を持つ、あまり美しくない言葉(同類に「ずるい」、「だらしない」、「焦らす」など)に属するような気がして、「聞きづらい」と言いたくなる。これは新しい傾向に「慣れにくい」高齢者のひがみだろうか。

 また、「~づらい」は感情に関わる形容詞「辛い」から来ている(上掲のイメージ参照)ので、感情を持たない主語に対して使うのは奇妙に思われる。例えば、「これこれの事態は起こりづらい」というような使い方である。

 さらに、客観的な情勢があって「~することが困難である」場合に、「~しづらい」と言えば、その情勢を作り出した政治なり社会的状況なりが免罪されて、問題が単に個人的に「~することが困難な気がしている」ことに矮小化されてしまう恐れがある。したがって、こういう場合に、私は「~づらい」を絶対に使いたくない。

 論じれば長くなるが、表記の二つの表現について書いたものは、すでにインターネット上に多数ある。その中の3編のみを、読者のご参考までに以下に引用して、終わりとする。以後「~づらい ~にくい」で検索すれば、この記事も末席に仲間入りすることになろうか。なお、文頭に掲げたイメージにある『広辞苑』第七版の「づらい」の項は、残念ながら「~づらい」と「~にくい」の意味の異同を考える参考には、あまりならない。


2022年12月14日最終改稿

2022年6月14日火曜日

水彩画『北岳』 (My Watercolor "Mt. Kitadake")

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水彩画『北岳』
My watercolor "Mt. Kitadake"

 私の出身高校は 10 年間「金沢菫台高校」の名だったが、その前の旧制中学時代には「金沢商業」で、後には「金沢商業高校」となった。そこで、同窓会は「金商菫台同窓会」の名を持つ。先日、その関西支部から、総会、懇親会、年会費徴収を廃止し、「一筆箋・関西そくさい便り(仮題)」を小冊子にまとめて会員に送付することで、会員交流のツールにしたいとして、議案書等の書類と返信用ハガキが送られて来た。コロナ禍が続いた影響である。ハガキ表面下部に議案への賛否回答欄があり、裏面が「一筆箋 . . . 」原稿記入欄になっているが、書類によれば、絵・写真などもよく、文章の長短も気にすることなく送って欲しいとのことだ。そこで、返信用ハガキとは別便の封書で、私が最近「美交会展」に出品した絵の写真とそれに関する文を投函した。以下は、その文を若干修正したものである。


 私は堺市内で毎年 1 回開催されているアンデパンダン方式の美術展「美交会展」に、不透明水彩画 1 点を出品することを趣味の一つにしている。この展覧会の開催時期は昨年まで秋だったので、作品を 7、8 月頃にゆっくり準備していた。現場での写生でなく、写真を参考にして細かく描くため、F6 サイズ(410 mm × 318 mm)という小さな作品ながら、制作に 1 ヵ月程度かかる。

 ところが、今年は開催期間が 6 月 7 日から 12 日までと急に変更になり、あわてて 4 月から取り掛かった。かねがね写実的な描き方から脱皮したいと思っていたので、「細部ポスター化手法」(私的命名。実は写真をコンピューター加工した結果の真似)を新しく試みた。その結果、例年より長い制作期間を要し、画材屋に額装を依頼する時間的余裕がなくなり、家に飾ってあった過去の作品の額に代入して出品することとなった。

 ここ数年は、山岳写真家たちが撮った日本百名山の写真の中から気に入ったものを選び、それをもとに描いている。妻が 2011 年に百名山の全山登頂を達成しており(妻の山行の日々、私はもっぱら留守番をしていた)、その苦労をせめて作画で味わいたいという思いと、彼女の思い出を助けたいとの考えもあってのことだ。

 上掲の写真は、今回の出品作『北岳』である。『朝日ビジュアルシリーズ 最新版日本百名山 No. 13 北岳 間ノ岳』(朝日新聞出版、2008 年)の表紙に使われている、中西俊明氏の写真をもとにした。ロシア軍のウクライナ侵攻や長引くコロナ禍による最近の暗い気持ちを吹き飛ばそうと、中西氏の写真よりも色彩をぐっと明るく変えた。画材としては、ホルベイン不透明水彩絵具とホルベイン ウォーターフォード水彩紙を使っている。

 着彩をしながら、「近くで見ると、色の塊の奇妙な並びのようだが、遠くから見れば、立体感が出ている」と思っていた。このたび美交会展の世話人代表役につくことになった H・T 氏からも、「遠くから見るのが良いという絵になっている」と評されたのは嬉しかった。
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