2022年12月16日金曜日

過剰な「させていただく」(Excessive Japanese expression "sasete itadaku")

[The main text of this post is in Japanese only.]
誰に使役されているつもりなのか

 「〜させていただく」という言葉は、相手からの依頼、許可、厚意、恩恵などがあって「〜する」場合の丁寧表現としては妥当である(文献 [1])。そういう条件下でない場合に使うのは、いかにも過剰な表現であるが、最近、あまりにもよく耳にする。「させる」は使役の助動詞である。自発的に行なっていることについて、「〜させていただいております」というのを聞くと、「誰に使役されているつもりなのか。日本国憲法が主権在民主義の憲法であることをお忘れか」と問いかけたくなる。謙譲が行き過ぎれば、卑屈となる。過剰な「〜させていただいております」を使う人たちには、「卑屈」の意味も分かるまいから、文献 [2] からその意味を引用しておく。「自分をいやしめて服従・妥協しようとする、いくじのない態度」である。

 文献
  1. 井上明美、第10回「させていただきます」1、Web日本語:日本語マナーの歳時記 (2011) [https://www.web-nihongo.com/j_manner/jm_p010/]
  2. 西尾実ほか編、岩波国語辞典第5版 (1994)

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