一昨日、映画『ヴィヨンの妻』を見た。太宰治・原作の小説を、彼の生誕100年にあたって根岸吉太郎監督が映画化し、2009年8月27日から9月7日まで開催された第33回モントリオール世界映画祭で最優秀監督賞を受賞した作品である。人気作家の大谷(浅野忠信が演じる)は、生きることに苦しみ、酒や女に溺れる。その妻・佐知(松たか子)は、夫が酒代を踏み倒した上、現金も盗んで来た小料理屋で働き、放蕩を続ける夫を愛し続ける。——このような夫婦の暮らしが、心に響く調子で描かれている。太宰の生涯を彷彿とさせる。
小説「ヴィヨンの妻」は、青空文庫で公開されている [1] ので、斜め読みしたが、ずいぶん短いものである。ウェブサイト [2] に、
映画化にあたって、ベースとなる「ヴィヨンの妻」に「思ひ出」「灯籠」「姥捨」「きりぎりす」「桜桃」「二十世紀旗手」などの太宰作品のエッセンスを絶妙なバランスで融合。
とあり、納得した。
「ヴィヨン」とは何であるのかも気になっていたが、同じウェブサイトに次の説明があった。
「ヴィヨン」とは…高い学識を持ちながら悪事に加わり、逃亡・入獄・放浪の生活を送ったフランスの、中世末期の近代詩の先駆者フランソワ・ヴィヨンのこと。無頼で放蕩な人の例として使われている。
フランス人の名前ならば、"Villon" とつづるに違いないと思い、これでインターネット検索をすると、ウィキペディア英語版のページ [3] が見つかった。「1431年頃に生まれ1463年頃に死んだフランスの詩人、盗人、放浪者」である旨が記されているのに続いて、長い説明がある。日本語版にも記載されている [4] が、英語版ほど詳しくはない。
文献
太宰治, ヴィヨンの妻, 青空文庫 (新潮文庫版, 1992, 第79刷による).
"François Villon," Wikipedia, the free encyclopedia (6 October 2009 at 02:48).
フランソワ・ヴィヨン, ウィキペディア日本語版 [2009年10月4日 (日) 15:18].
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