2020年2月8日土曜日

『チコちゃんに叱られる!』で知った「しっとり感」の研究 (Learned the Study of "Shittori Feel" from NHK TV Show "Chiko-chan Scolds You!")

[The main text of this post is in Japanese only.]


野々村教授らによる「しっとり感」のオンライン研究論文のトップ部分。
Top part of an online paper on "shittori feel" by Prof. Nonomura and others.

 2020 年 2 月 8 日(土)午前 8:15~午前 9:00 に再放映された NHK 番組『チコちゃんに叱られる!』を見た。チコちゃんの出題中に「『しっとり』という感触の正体は?」というのがあり、チコちゃんの回答は「2 段階の摩擦力」だった。その取材に番組スタッフが訪れたのは山形大学の野々村研究室である。野々村教授らは昨年、イギリスの科学雑誌に「しっとり感」についての論文を発表したのである。

 その論文では、「しっとり」とは、「ベタッとしてスルーッ」とする、2 つの感触が組み合わさることで感じるものと説明しているそうだ。番組では、野々村研究室オリジナルの摩擦評価装置「バイオミメティック触感センシングシステム」のセンサーで評価対象に触れ、そしてさらに、なでる時の摩擦抵抗の変化を記録する実験を見せた。「しっとり感」のよい表面では、最初に「ベタッ」に相当する高い摩擦力を示し、そのあと「スルーッ」に対応する低い摩擦力が続いた。

 「しっとり」に完全に等価な言葉は外国の言語にはなく、日本人独特の感覚であるらしいという。そういう感覚の物理的原因について研究し、国際的に読まれる専門誌に発表したとは、すばらしいことである。寺田寅彦が生きていたならば、さぞ喜んだであろう。

 インターネットで調べると、野々村教授らの研究が掲載されたのは文献 1 であり、2019 年 9 月に朝日新聞でも紹介されていた[文献 2]と知った。また、山形大学の広報誌にも、かなり詳しい紹介がある[文献 3]。

 文献
  1. K. Kikegawa, R. Kuhara, J. Kwon, M. Sakamoto, R. Tsuchiya, N. Nagatani and Y. Nonomura, "Physical origin of a complicated tactile sensation: 'shittori feel'." Roy. Soc. Open Sci. Vol. 6, 190039. http://dx.doi.org/10.1098/rsos.190039
  2. 「しっとり感の正体は? 水分量影響せず、山形大解明」, 朝日新聞デジタル(有料会員限定記事)(2019年9月28日). https://www.asahi.com/articles/ASM955ST6M95UZHB00J.html
  3. 「オリジナル摩擦評価装置を 開発し、『しっとり感 』 の メカニズムを解明」, 山形大学広報誌『みどり樹』(Yamagata University Semiannual Magazine Midori-gi), Vol. 76, p. 8 (2019). https://www.yamagata-u.ac.jp/jp/files/7115/6982/8800/mid76p.pdf; 同じ記事は『山大に集うひととつながるウェブマガジン ひととひと』2019.11.30号にも掲載. https://www.yamagata-u.ac.jp/jp/hitotohito/research/20191130/

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