2018年12月31日月曜日

校閲さん、しっかりして! (Proofreaders, Be Careful!)

[The main text of this post is in Japanese only.]


『図書』誌 2018 年 12 月号と 2019 年 1 月号の表紙。
Covers of the December 2018 and January 2019 issues of the magazine Tosho.

 岩波書店が発行する月刊 PR 誌『図書』を私は長年愛読している。しかし、その連続する二つの号で、1ヵ所ずつだが、拙い日本語に出会った。各号の記事を全部読んでいるのではないが、このようなまずさに気づいたのは初めての経験である。

 気づいた 1ヵ所目の拙い日本語は、2018 年 12 月号 64 ページの「こぼればなし」と名付けられた編集後記の冒頭にあった次の文である。
年の瀬の慌ただしさのなかで本誌を手にとられていらっしゃる方も多いかと思います。
「とられていらっしゃる」は二重敬語という種類の、敬語の誤用である。

 2ヵ所目の拙い日本語は、2019 年 1 月号 6 ページから始まる磯田道史氏の記事「『伊丹十三選集』刊行に寄せて」中、9 ページ中段から下段にかけての次の文である。
やはり、伊丹さんの好奇心が的を得たところに向かっており、聞き手として非凡なのであろう。
「的を得た」は、しがちな間違いで、「的を射た」が正しい。

 これらが誤植でないとすれば、原文を書いた本人にも責任は当然あるが、校閲段階で容易に発見できるような間違いでもある。『校閲ガール』というシリーズ小説があり、それが 2016 年にテレビドラマ化して放映されたのを見た。校閲とはなかなか大変な仕事のようだが、それだけにやりがいもあろう。校閲の徹底ぶりはその出版社の品格にさえ関わる。「岩波の校閲さん、しっかりして!」といいたい。

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