わが家の庭のシュウメイギクの花の数がまたまた増えた。2019 年 10 月 20 日撮影。
More and more flowers of Japanese anemone bloomed in my yard; taken on October 20, 2019.
N・T 氏へのメール -5-:英書のことなど
2019 年 10 月 5 日
N・T さん
「物理学書の英語,英語の物理学書」中の疑問提示について、肯定的なお返事をいただき、ありがとうございました。
K 先生に電話した話から、無口な私ながら、Freeman Dyson の Disturbing the Universe という本が面白かったことや「"Dirac" とは何の単位かご存知ですか」などということを貴殿にお話したことを思い出しました("Dirac" の話は自分の無口ゆえの話題でした)。
Dyson の本はその後出た
Infinite in All Directions (1988)
Imagined World (The Jerusalem-Harvard Lectures) (1997)
The Scientist as Rebel (2006)
なども読み、どれも学ばされることが多かったですが、最初に読んだ Disturbing … が最も面白かったような気がしています。歳を取るとともに感激する気持ちが衰えるからでしょうか。
単位 "Dirac" については、2010 年に G. Farmelo の The Strangest Man: The Hidden Life of Paul Dirac, Quantum Genius (Faber and Faber, London, 2009) を読み始めた頃に英語のブログ記事を書きました。
https://ideaisaacjoking.blogspot.com/2010/01/unit-dirac.html
読み返してみると、その冒頭に上記の、かつて貴殿(one of my colleagues かつ a competent physicist としてあります)に質問したことが書いてありました。ご笑覧いただければ幸いです。
私は 1935 年生まれなので、高校生になったのは 68.5 年前の 1951 年 4 月、約 70 年前はよい近似です(先生は何年のお生まれで、何年まで府大にいらっしゃったのでしたか)。駄弁、妄想も歓迎です。楽しみにしています。
T・T
2019 年 10 月 7 日
N・T さん
貴殿は私と一回りと 1 歳お若いのですね(これでご年齢を覚えやすくなりました)。貴殿が仙台へ戻られたのは私の定年退職の 1 年前だったのですね。私の名誉教授辞令も山田知事の名です。彼が事件を起こしたのは、その後まもなくの 2 期目の知事選においてでした(いつのことか忘れていたので、『ウィキペディア』で確認しました)。
From Eros to Gaia をご紹介したのでしたか。Dyson の本は先のメールに書きました以外にも、
The Sun, the Genome, and the Internet: Tools of Scientific Revolutions (1999)
The Scientist As Rebel (2006)
A Many-Colored Glass: Reflections on the Place of Life in the Universe (2010)
Dreams of Earth and Sky (2015)
も読んでいました。Makers of Patterns はまだ入手もしていませんが、面白そうですね。ハーディといえば、名著の一つと言われている A Mathematician's Apology を以前に読みました。(短いものです。本文の 1/3 強にも上る C. P. Snow の Foreword がついています。)
Farmelo による Dirac の伝記は分厚過ぎますね。ノーベル賞受賞あたりの話までくると、もう結構という気にさせられます。私は読んでいる途中でいくつもの間違い(主に文献リスト中の誤記など)を見つけて、ツイッター経由で著者に伝えました。そのうちに彼からメールが来て、近く 2nd printing を出すので、もう他に間違いはないだろうかと尋ねられました。まだ読了できていませんでしたが、その後見つけた少数の間違いを伝えたか、もうありませんと答えたか忘れました。実は、その後さらに読み続けると、なお 2、3 の間違いに気づきましたが、もう遅いだろうと思い、知らせませんでした。彼はノースウェスタン大学の理論物理学教授をやめて科学関係のノンフィクション作家になった人です。近くスチーブン・ホーキングの伝記も出版する予定だと、彼の Facebook ページで知りました。
シュリーファーといえば、バーディーン賞を受賞した私の同期生・真木君が先生の先生でしたね。彼を府大へ講義に招いて下さって、夕食を共にしたのも良い思い出となりました。私は彼と年賀状あるいはクリスマスカードをずっと交換していましたが、卒業後彼に会ったのは、彼が東北大教授になって間もない年の春の物理学会が阪大で開催された折(1968 年だと思います)と、府大へ来てくれた時の 2 度だけでした(カナダへの出張の帰途、アメリカで彼のところへ寄りたいと思いましたが、その頃あいにくヨーロッパへ出かけているという返事だったと思います)。私は大放研での研究による論文博士の取得が 1967 年で、その論文を Phys. Rev. に発表したので、彼はそれをちらりと見てくれていたようです。阪大でひょっこり出会った時、彼は「Phys. Rev. に載っていましたね。中性子の輸送問題でしたか」というようなことを言いました。実は、その論文が扱ったのは電子の後方散乱の実験でしたが、電子が原子核との散乱を繰り返して物質への入射時の方向性をほとんど失った状態を指す "diffusion" の語がアブストラクト中にあったため、中性子の輸送問題を連想したのでしょう。
先のメールに書き忘れましたが、私も最所フミの『日英語表現辞典』の方だけを、昨年末に買って、時折眺めています。
では、いずれまた。
T・T
2019 年 10 月 5 日
N・T さん
「物理学書の英語,英語の物理学書」中の疑問提示について、肯定的なお返事をいただき、ありがとうございました。
K 先生に電話した話から、無口な私ながら、Freeman Dyson の Disturbing the Universe という本が面白かったことや「"Dirac" とは何の単位かご存知ですか」などということを貴殿にお話したことを思い出しました("Dirac" の話は自分の無口ゆえの話題でした)。
Dyson の本はその後出た
Infinite in All Directions (1988)
Imagined World (The Jerusalem-Harvard Lectures) (1997)
The Scientist as Rebel (2006)
なども読み、どれも学ばされることが多かったですが、最初に読んだ Disturbing … が最も面白かったような気がしています。歳を取るとともに感激する気持ちが衰えるからでしょうか。
単位 "Dirac" については、2010 年に G. Farmelo の The Strangest Man: The Hidden Life of Paul Dirac, Quantum Genius (Faber and Faber, London, 2009) を読み始めた頃に英語のブログ記事を書きました。
https://ideaisaacjoking.blogspot.com/2010/01/unit-dirac.html
読み返してみると、その冒頭に上記の、かつて貴殿(one of my colleagues かつ a competent physicist としてあります)に質問したことが書いてありました。ご笑覧いただければ幸いです。
私は 1935 年生まれなので、高校生になったのは 68.5 年前の 1951 年 4 月、約 70 年前はよい近似です(先生は何年のお生まれで、何年まで府大にいらっしゃったのでしたか)。駄弁、妄想も歓迎です。楽しみにしています。
T・T
2019 年 10 月 7 日
N・T さん
貴殿は私と一回りと 1 歳お若いのですね(これでご年齢を覚えやすくなりました)。貴殿が仙台へ戻られたのは私の定年退職の 1 年前だったのですね。私の名誉教授辞令も山田知事の名です。彼が事件を起こしたのは、その後まもなくの 2 期目の知事選においてでした(いつのことか忘れていたので、『ウィキペディア』で確認しました)。
From Eros to Gaia をご紹介したのでしたか。Dyson の本は先のメールに書きました以外にも、
The Sun, the Genome, and the Internet: Tools of Scientific Revolutions (1999)
The Scientist As Rebel (2006)
A Many-Colored Glass: Reflections on the Place of Life in the Universe (2010)
Dreams of Earth and Sky (2015)
も読んでいました。Makers of Patterns はまだ入手もしていませんが、面白そうですね。ハーディといえば、名著の一つと言われている A Mathematician's Apology を以前に読みました。(短いものです。本文の 1/3 強にも上る C. P. Snow の Foreword がついています。)
Farmelo による Dirac の伝記は分厚過ぎますね。ノーベル賞受賞あたりの話までくると、もう結構という気にさせられます。私は読んでいる途中でいくつもの間違い(主に文献リスト中の誤記など)を見つけて、ツイッター経由で著者に伝えました。そのうちに彼からメールが来て、近く 2nd printing を出すので、もう他に間違いはないだろうかと尋ねられました。まだ読了できていませんでしたが、その後見つけた少数の間違いを伝えたか、もうありませんと答えたか忘れました。実は、その後さらに読み続けると、なお 2、3 の間違いに気づきましたが、もう遅いだろうと思い、知らせませんでした。彼はノースウェスタン大学の理論物理学教授をやめて科学関係のノンフィクション作家になった人です。近くスチーブン・ホーキングの伝記も出版する予定だと、彼の Facebook ページで知りました。
シュリーファーといえば、バーディーン賞を受賞した私の同期生・真木君が先生の先生でしたね。彼を府大へ講義に招いて下さって、夕食を共にしたのも良い思い出となりました。私は彼と年賀状あるいはクリスマスカードをずっと交換していましたが、卒業後彼に会ったのは、彼が東北大教授になって間もない年の春の物理学会が阪大で開催された折(1968 年だと思います)と、府大へ来てくれた時の 2 度だけでした(カナダへの出張の帰途、アメリカで彼のところへ寄りたいと思いましたが、その頃あいにくヨーロッパへ出かけているという返事だったと思います)。私は大放研での研究による論文博士の取得が 1967 年で、その論文を Phys. Rev. に発表したので、彼はそれをちらりと見てくれていたようです。阪大でひょっこり出会った時、彼は「Phys. Rev. に載っていましたね。中性子の輸送問題でしたか」というようなことを言いました。実は、その論文が扱ったのは電子の後方散乱の実験でしたが、電子が原子核との散乱を繰り返して物質への入射時の方向性をほとんど失った状態を指す "diffusion" の語がアブストラクト中にあったため、中性子の輸送問題を連想したのでしょう。
先のメールに書き忘れましたが、私も最所フミの『日英語表現辞典』の方だけを、昨年末に買って、時折眺めています。
では、いずれまた。
T・T
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