さる2月4日、山田洋次監督の映画『おとうと』を見た。1月30日に東京都内の映画館で行なわれたこの映画の初日舞台あいさつで、同監督の第60回ベルリン映画祭の功労賞「ベルリナーレ・カメラ」受賞が明らかになったとの、めでたいニュースを聞いたばかりのときだった。以前は邦画をほとんど見なかった私だが、「寅さん」シリーズを TV で見てから、山田ファンになっている。
ユーモアたっぷりの場面と、しんみりとさせられる場面のどちらにも、観客を力強くとらえるものがあると思った。笑福亭鶴瓶の演じる弟は、寅さんの再来を思わせ、吉永小百合の演じる姉は、いかにも理想的に描かれている。幸田文・原作、市川崑・監督の『おとうと』を、たまたま昨年10月にテレビで見たが、それにオマージュを捧げる形で作られたということで、終盤に類似の場面が設けられている。
映画を見ながら、私と時間を共有することなく幼時に逝った姉が生きていたならば、私とどういう関係だっただろうかと思わないではいられなかった。残っている姉の唯一の写真は当然、幼時のものだが、その姿をいかにも姉という気持ちで思い浮かべることが出来るのは妙なものである。
なお、『おとうと』という絵本が出版されている [1]。画家いわさきちひろの孫、松本春野のデビュー作で、山田洋次監督の監修のもと、映画『おとうと』の主人公たちの子ども時代の「ちょっぴりおかしくも、心あたたまる物語」を描いているという。
松本春野・著・イラスト, 山田洋次・監修, 絵本 おとうと (新日本出版社, 2009).
松本春野さんですか、見てみたくなりました。
返信削除今度、本屋さんで探してみます。映画も観たいと思ってます。
松本春野さんの本を見たくなられたとは、最後にひとことつけ加えた甲斐がありましたか。
返信削除いわさきちひろの孫がデビューしていたとは知りませんでした。私も映画だけでなくその本も見てみたいです。
返信削除実は私も、松本春野さんのことは15日づけ新聞でちょうど知ったばかりでした。
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