2015年2月26日木曜日

科学論文執筆の今昔 (Past and Present of Writing Scientific Papers)

[The main text of this post is in Japanese only.]


Duplicate copy of my paper typewritten and submitted to The Physical Review (published in 1967; this paper was also accepted as my thesis at Kyoto University) Red letters, typewriten later, show corrections made at the editorial office.
(和文説明は本文末に記載。次のイメージについても同じ。)


Post-print of the above paper recently made by LaTeX.

 投稿中の論文原稿のコピーはプレプリントと呼ばれ、それを出版前に同じ分野の研究者たちに配布する場合が多い。他方、閲読者による修正示唆などを取り入れた最終原稿の形のものはポストプリントと呼ばれる。学会や出版社は著作権上、印刷版そのもののコピーを著者自身といえどもウェブサイトで公開することを許可していない場合が多いが、ポストプリントの掲載はたいてい許可されている。

 最近、研究者の交流サイト ResearchGate を通じて、時折古い論文のコピーを請求される。しかし、それらの別刷りの残部は、いずれも紙が変色してきているので、スキャンしても、あまり綺麗なデジタル・コピーは作れない。そこで、LaTeX ソフト(高度な数式などを美しく書き出せるように開発されたもの。いまや、本やリポート、あらゆる分野の論文作成などにも広く利用されている。このソフトは、かつては有料だったが、いまは無料でダウンロードできる)によって、美しい PDF ファイルとして、ポストプリントを作り、それを ResearchGate サイトに載せておけば、読みたい人はダウンロードして、心地よく読めることになる。また、そうすることには次のような利点もある。昔は論文に挿入する図を烏口やレタリングセットを使って時間をかけて作成したので、論文印刷後に返却されたそれらの原図は、紙のままで保存してあった。それらをスキャンして、PDF ファイル作成に利用すれば、専門誌上に縮小印刷された図より見やすい。さらに、私自身、紙の原図を保存することも以後不要になる。

 いまは投稿自体が LaTeX あるいは Word と作図ソフトで執筆した PDF ファイルを電子メールで送付する時代だから、原稿はそのまま、デジタル・ファイルとして手元に残る。したがって、現今の研究者たちがポストプリントを作成するには、投稿後の修正点を書き換えるだけで済む。他方、私の研究初期の頃は、論文の文章をタイプライターで打ったので、文章のデジタル・ファイルもない。そこで、ポストプリント作成には、印刷された論文別刷りをスキャンしてデジタル化することから始めなければならない(現役の研究者ならば、所属機関が購入している専門誌の論文のデジタル・ファイルは、出版社のウェブサイトから無料でダウンロードできるのだが)。原稿をタイプライターと烏口で作った時代は、いまや遠い過去の話となった。

 上掲のイメージ 1 枚目は、いまから 48 年前の 1967 年に フィジカル・レビュー誌に掲載された私の論文(学位論文となった)のタイプ打ち原稿、第 1 ページ(アブストラクト部分。表題、氏名、所属は表紙としてページ番号なしで打った)のコピー。2 枚目は、その論文の、最近作成したポストプリント(こちらからダウンロードできる)。タイプ打ち原稿に赤字でのちにタイプ打ちしたのは、編集部で修正された箇所。英語は丁寧な修正を受けたので、自分の拙い癖がよく分かり、以後の論文執筆に大いに役立った。

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