2012年4月29日日曜日

オランダ、ベルギー運河の船旅 2 (Cruise on Canals in the Netherlands and Belgium -2-)

 私たちの乗った船「セレナーデ II 号」は、4月15日 21:00 にアムステルダムを出港し、夜半過ぎにホールンへ入港した。ホールンは、アイセル湖に面していて、17世紀にはオランダ東インド会社の重要な港湾の一つとして栄えた都市である。

Our ship Serenade II, set sail from Amsterdam at 21:00 April 15, entered the port of Hoorn past the midnight. Hoorn is a city facing the IJsselmeer and in the 17th century flourished as one of the important port of the Dutch East India Company.


 4月16日の朝、船室から美しい日の出が見えた(上の写真、6:39 撮影)。クルーズの始まりにふさわしい光景である。地平線から少し浮き上がったところに長く横たわる黒雲とその下に帯状に見える空の明るい部分が、日の出前には、対岸の森と湖面の一部のように思われた。したがって、それらよりも手前のような位置から太陽が顔をのぞかせたのには驚いた。しかし、森と思ったものが実は黒雲と分かれば、なんの不思議もない光景である。

In the morning of April 16, a beautiful view of sunrise was seen from the cabin (the photo above, taken 6:39). This is a spectacular sight fitting to the beginning of the cruise. Before sunrise, a long line of dark clouds lying a little above the horizon and the clear portion of the sky seen below them in a band had looked like a forest on the opposite shore and part of the lake. So, I was first surprised to glimpse the scene as if the sun had come up in front of those earthly things. After my finding that what seemed to be a forest was actually clouds, however, it was no unusual sight at all.


 7:00 からの朝食を済ませて船室へ戻り、少し高くなった朝日の見える光景をスケッチした。

We had breakfast from 7:00, and after coming back to the cabin, I made a sketch of the harbor of Hoorn with the morning sun.


 9:00、旅の参加者たちは二つのグループに別れて、ホールン散策に出発した。上の3枚の写真は、ホールンの港付近の光景。(つづく)

At 9:00, participants of the tour went for sightseeing of Hoorn in two groups. The three photos above show the views near the harbor of Hoorn. (To be continued)

2012年4月27日金曜日

オランダ、ベルギー運河の船旅 1 (Cruise on Canals in the Netherlands and Belgium -1-)


 2012年4月15日から25日まで、妻と私はニッコウトラベルの企画による「10年に一度の花の博覧会を訪れるオランダ、ベルギー運河の船旅」に参加した。観光先は上図(ニッコウトラベルのパンフレットによる。地名等の英語は筆者が挿入)の通り。

From April 15 to 25, 2012, my wife and I joined a group tour organized by Nikko Travel Co. Ltd. The plan of the trip was of the name "Cruise on canals in the Netherlands and Belgium to visit the flower exposition opening once in 10 years." The destinations of the tour are shown in the above map (taken from a leaflet of Nikko Travel Co. Ltd.; English words for places etc. have been put by the present author).

 私たちは出発前夜、関西空港のホテルに宿泊し、15日10時30分発のKLM機で飛び立った。アムステルダム到着は現地時間の15日15時30分頃。空港からバスで港に待機するクルーズ船「セレナーデ II 号」(1,700トン)へ移動。

We stayed at the hotel by Kansai International Airport at the night of April 14 and took the KLM airplane that started at 10:30 nest morning. The time of arrival at Amsterdam was around 15:30 (local time) of the same day. Then, we moved by bus from the airport to the cruise ship, Serenade II (1,700 tons), which waited us at the canal port.

私たちの船室(上のスケッチ)は、2009年に同じ船でライン河・マイン河クルーズに参加したときとは異なっていたが、壁に飾ってある絵は同じだった。今回の旅の参加者は57名。

Our cabin was not the same as the one in which we stayed during the cruise on the Rhein and the Main in 2009, but the picture hung on the wall was the same. The number of participants of this tour was 57.

 上の2枚の写真は船から見たアムステルダム港の様子で、2枚目は夕食後の20時過ぎに撮ったものだが、まだこのように明るかった。(つづく)

Above two photos are the views of canal port. The bottom one was taken after dinner at a little past 20:00, indicating the lateness of sunset in this area. (To be continued)

2012年4月14日土曜日

セイロンベンケイ (Air Plant)


 セイロンベンケイ(ベンケイソウ科)、別名トウロウソウ(灯籠草)。葉から芽が出る無性生殖の性質を持つため、「はからめ(葉から芽)」の俗称もある。2012年4月8、12、13日、わが家で撮影。昨年は二つの植木鉢にこの植物の花が咲いたが、今年は5鉢に増えた。背の高いものは、私の身長を越えた(一番上の写真)。

Air plant, also known as life plant, miracle leaf and Goethe plant; botanical name, Kalanchoe pinnata (Lam.) Pers.; family, Crassulaceae. This plant has a distinctive nature of producing miniature platelets on the margins of its leaves. Photos were taken in our home, on April 8, 12 and 13, 2012. Last year, we had flowers of this plant on two flower pots; and this year, on five. One with the tallest stem exceeded me in height (the top photo).

 お知らせ (Notice): 次の記事の掲載は4月25日以後になります。(The next post will appear on April 25 or later than that.)

2012年4月13日金曜日

シデコブシ、コブシ、モクレン、ハクモクレン、ベニスモモ (Star Magnolia, Kobushi Magnolia, Mulan Magnolia, Yulan Magnolia and Purple-Leaf Plum)


 写真は上から、シデコブシ(幣辛夷/四手拳、別名ヒメコブシ)、コブシ(辛夷)、モクレン(木蓮/木蘭、別名シモクレン/ハネズ/モクレンゲ)、ハクモクレン(白木蓮)(ここまで、すべてモクレン科)、ベニスモモ(別名ベニバスモモ/アカバザクラ、バラ科)。2012年4月2日、堺市・鳳公園とその近くで撮影。掲載し遅れているうちに10日あまり経ってしまった。光陰矢の如し。

Photos show, from the top, star magnolia, kobushi magnolia, mulan magnolia, yulan magnolia and purple-leaf plum; all taken in and near Ōtori Park, Sakai, on April 2, 2012. While I had no time to post these pictures, more than ten days have passed. Time flies like an arrow.

2012年4月11日水曜日

笠池公園のサクラ (Cherry Blossoms in Kasaike Park, Sakai, Osaka)


 ガーディアン紙のウェブサイトに昨日付けで、世界13ヵ所のサクラの写真が掲載されているのにきょう気づいた。そこで、あす掲載予定だった近隣の笠池公園(堺市)のサクラの写真(昨10日撮影)を急きょ載せることにした。きょうの雨で、あすは、どうなっていることやら。

Today, I have noticed that the Web site of The Guardian carried an article entitled "Cherry blossom season around the world - in pictures." So, I am posting the photos, taken yesterday, of cherry blossoms in Kasaike Park, Sakai, hurriedly. It is raining today. What will these blossoms be tomorrow?

2012年3月分記事へのエム・ワイ君の感想 (M.Y's Comments on My Blog Posts of March 2012)

[In Japanese only]

 M・Y 君から "Ted's Coffeehouse 2" 2012年3月分への感想を2012年4月10日付けで貰った。同君の了承を得て、ここに紹介する。




1. 東北地方太平洋沖地震から1年

 「未来への希望を象徴するかのような赤い色をしたツバキの花の写真(さる3月8日に撮影)をここに飾る」と哀悼の意を表した上で、脚注に、

 メディアには「[東日本大震災]発生の午後2時46分」という表現が見られる。[「東日本大震災」の法律的な定義に]従えば、このメディアの表現はおかしい。法律の定義に従わなくても、午後2時46分という瞬間的な時刻をもって「震災」(地震による災害)が発生したというのは変である。

と付記しています。なるほど、そうだと思いました。

 福島第一原発事故の環境汚染のもたらす影響は、深刻さを増しています。4月から食品に含まれる放射性セシウムの食品基準は、暫定基準から大幅に引き下げられた新基準が適用されます。朝日紙3月26日の社説は、

 新基準では1 kg 当たりの放射性セシウムは、一般的な食品では、従来の500 Bq(ベクレル)から100 Bq に、牛乳や乳製品は、200 Bq から50 Bq に、飲料水は、200 Bq から10 Bq になる。問題は、高精度の検査をするには時間と手間がかかり、その分検査のできる点数が減ってしまうことだ。各自治体は、機器や職員を増やしたり、外部に委託したりするというが、対応しきれないところも出てくるだろう。検査の仕組みの点検とともに実態を調べ、見直しを進める必要もある。

と問題点を指摘しています。

 また、2012年2月4日付けの朝日紙には、「放射能標準試料やっと入手:IAEA 提供、21施設、国際標準目指す」という記事があり、計測システムの校正について次のよう記されていました。

 放射能測定値は、放射性物質から出るγ線の値をもとに計算して求めるが、一定の方向のγ線しか測れず、水や土などに一部吸収される。実際に何%のγ線が測れるのか事前に考慮しておく必要がある。これまで日本には、国際標準になっている IAEA の標準試料がほとんどなく、十分な校正ができなかった。IAEA は福島復興支援の一環として、土壌、水、草などの標準試料を無償で提供した。筑波大を通じて、日本原子力研究開発機構や大学などの21施設に配布し、各施設での測定結果を4月中旬までに IAEA に送る。IAEA 側は「正解」を各施設に通知した上、担当者が5月以降に来日し、技術指導を行う。

この結果を踏まえ、日本原子力研究開発機構などが中心となって、放射性セシウムの食品新基準を食品が満たしていることを効率的に保証する検査システムを早急に構築する必要がありましょう。

2. 別刷り請求の古きよき時代同2

 やましたひでこさん提唱の生活術である『断捨離』(「モノへの執着を捨てて、身の周りをキレイにするだけでなく、心もストレスから解放されてスッキリする」ことを目的とする)ということが流行している。私もこのところ、現役時代の、古くて不要になった書類などを捨てつつある。処分すべきものの中に、われわれの論文の別刷りを請求して来た葉書の大きな束があった。

以上のように述べて、これらの葉書を2回にわたって整理しています。そして、

 いまや、別刷りは手早くメールで請求するか出版社のウェブサイトからダウンロード出来ることになり、このような葉書は古きよき時代の遺物となった。

 便利な葉書が出来たものだと思ったが、20年ほどで eメール時代になり、これらもいまでは過去の遺物になったであろう。

など、時代の画期的な進歩に対する感慨を記しています。一部にせよ、色々の国の切手がはられた美しい思い出の葉書の写真も残るので、ブログにこのような文を掲載するのはよい整理法だと思います。思い切って捨てるこができるでしょう。

3. 早春の花々

 掲載された花々の咲いた時期について昨年との比較があるので、今年の春の訪れが遅かったことがよく分かります。「昨日になって、ここ堺でも一時雪が降った。けさもよく冷えたが、よい天気になって来た。これからようやく暖かくなるのだろうか。写真は一昨日、ウォーキングの途中で見つけた一輪のタンポポの花」(「そろそろ遅い春か」)は鮮やかで印象的でした。土佐ミズキと日向ミズキの違いが分かりました。色々な早春の花や風景を楽しみ、丹念に写真に記録されていることに、生活のゆとりを感じます。

2012年4月10日火曜日

ウォーキング・コースはサクラに満ちて (My Walking Course is Full of Cherry Blossoms)


 写真はいずれも、2012年4月8日、鈴の宮公園を目的地とした私のウォーキング・コースで撮影。ソメイヨシノの他に、ヤマザクラとオオシマザクラもある。

All the above photos, including not only blossoms of Yoshino cherry but also those of hill cherry and Oshima zakura, were taken on my walking course to Suzunomiya Park, Sakai, on April 8, 2012.

2012年4月8日日曜日

エンドウ、ヒヤシンス、フサザキスイセン、レンギョウ (Pea, Common Hyacinth, Tazetta Narcissi and Forsythia)


 写真は上から、エンドウ(豌豆、マメ科)、ヒヤシンス(風信子、飛信子、ユリ科)、フサザキスイセン(房咲き水仙、ヒガンバナ科)、レンギョウ(連翹、モクセイ科)。2012年4月1日、エンドウはウォーキング途中で、他はわが家の庭で撮影。

From the top: pea (botanical name, Pisum sativum; family, Fabaceae), common hyacinth (botanical name, Hyacinthus orientalis; family, Liliaceae), tazetta narcissi (botanical name, Narcissus tazetta; family, Amaryllidaceae) and forsythia (botanical name, Forsythia suspensa; family, Oleaceae). The photo of the pea was taken on my way of walking exercise; and the others, in our yard; on April 1, 2012.

2012年4月6日金曜日

ボケとサンシュユ (Flowering Quince and Japanese cornel)


 ボケ(木瓜、バラ科)とサンシュユ(山茱萸、ミズキ科、別名ハルコガネバナ、アキサンゴ、ヤマグミ)。2012年3月29日、ウォーキング途中で撮影。

Flowering quince (botanical name, Chaenomeles speciosa; family, Rosaceae) and Japanese cornel (botanical name, Cornus officinalis; family, Cornaceae). Photos were taken on my way of walking exercise, on March 29, 2012.

2012年4月4日水曜日

文学の文、科学の文 (Literary Writing and Scientific Writing)

[Abstract] Literary writing can include ambiguous expressions that might be understood in different meanings by different readers. Scientific writing, on the other hand, should be unambiguous all through the work. Such differences are explained by comparing an essay written by the Nobel-prize winning author Kenzaburo Oe and the outline of the same essay written by me in a scientific style. (Main text is given in Japanese only.)

 文学作品中の文は、読者によって解釈が異なるような多義性をはらんでいることが許される。あるいは、そうした表現を多く含む作品ほど、優れているということがあるかも知れない。他方、科学論文の文章は、一貫して一義的でなければならない。二義にまたがるあいまいな表現をとりあえずしておき、後の文でそのうちのどちらと解すべきかが分かるような書き方さえ、慎まなければならない。他の研究者が文を行きつ戻りつしながら理解しなければならないような論文は、よい論文とは見なされず、無視される結果となる。大江健三郎氏の『図書』誌に連載中のコラム「親密な手紙」の2012年4月号分「心ならずも」(p. 31) を読んで、文学の文と科学の文の、この相違をしみじみと感じた。

 「心ならずも」に書いてある話を、私の科学論文調の要約で紹介すれば、次のようになる。

 さる二月半ば、加藤周一と凡人会による読書会記録の本『ひとりでいいんです』(講談社)の第二刷見本が送られて来た。私がその本の第一刷を買って読んだとき、編集者に葉書を出し、気づいたことを指摘しておいたからである。

 指摘したのは、加藤氏が戦中に出入りしていた渡辺一夫先生宅の玄関にあるラテン語の詩句の木彫りレリーフ([木彫りは]渡辺先生の製作)を解読した文中の、少しズレた解釈の部分についてであった(その箇所は、加藤氏の説明をノートした人の文であり、氏はゲラを見ていないので、ズレたままになったのであろう)。

 詩句の解釈は「できれば憎みたい/さもなければ/反対に/愛するだろう」となっていたが、「反対に」に対応するラテン語の単語を、渡辺先生は「心ならずも」と訳されたことがある。それは、私の所有するラテン語・英語辞書にそのような訳のあることを[私があるところに]書いて、渡辺先生がそれを受け入れて下さったことによる[のであり、この本でもそうすべきと思ったのである]。

 渡辺先生がこの一節に何を託していたか、つまり何を憎み何を愛そうとしていたのかについて、「当時の先生を知っている」加藤氏は、「日本」あるいは「日本人」だと思う、と説明している。[この意味でも、「心ならずも」が適切であろう。]

 [さらに、次のこともぜひ付記しておきたい。]この本のタイトルは、加藤氏が広く深い経験に基づいて、外国に本当の友人が一人おれば、抽象的でない強いつながりが開けると確信したことをいい表している。


 原文には、話題になっている本の始めにある「十五年戦争」の要約に加藤氏の語り口がいかに優れているかが現れていることの紹介と、「いま私の仕事部屋におあずかりしている」渡辺先生のレリーフの詳細との、二つの話が含まれているが、私の概要では省略した。[]内の部分は要約にあたっての補充である。この程度の補充部分は、省略されていても理解は出来るが、科学論文では、相続く文の間での論理的関連性が重要であり、省略してはいけない。より大きな相違は、私が大江氏の文を二、三回読み返して初めて理解し得た内容を分かりやすい形に書き直したいくつかの箇所などにある。それらについて、原文の構成をたどりながら、以下に説明する。

 大江氏の原文は、「二月半ば、届いた郵便物のなかに、すでに寄贈されて読んだ記憶の確かな本があり」と始まる。この直後の長いカッコ内の文で、実は寄贈されたのでなく、買って読んだことが、「反・原発のデモが渋滞に進めなくなった道の脇の書店に平積みされていた三冊を買って、周りに配ったほど感銘していた」と明かされる。これは文学としては面白いが、科学の文の場合には、理解の到達点で整理した形で書くべきで、個人的な思い違いの歴史などを含めるべきでない。

 カッコ入りの説明に続いて、「発送の重複かと包み直しているとカードがこぼれ落ちた」とあって、ここで最初の文が終わる。買って読んだことをカッコ内で明かした後で、「発送の重複」の言葉が出て来て、しかもカッコ内には「周りに配った」という言葉もあるので、読者は、氏から誰か一人宛の発送が重複していたので一冊が戻って来たということかと一瞬思わされる。しかし、「発送の重複」はカッコの前の言葉に続くものであることから、これは、大江氏宛の寄贈が重複したことを意味しているはずである。科学の文ならば、このような戸惑いを読者に与えることは禁物である。

 大江氏の第二の文は、こぼれ落ちたカードに、「指摘された箇所を訂正しました、二刷の見本です、とある」というもので、これで第一段落が終わる。本の著者と題名という、話題の中心についての重要な情報は、第二段落にいたって初めて示される。私の要約では、最初の文にこれらをまず書き込んだ。これも文学の文と科学の文の相違である。

 第二段落は、「加藤周一・凡人会の名が対等に並ぶ書名の、読書会の記録『ひとりでいいんです』(講談社)に、私が何を指摘しえたかと、アワテて読み直すうち、見当はついたが、」と始まる。そして、要約では省略した加藤氏の語り口の優れている例までが、一つのセンテンスにつながっている。続いて、その例の現れている文の引用があって、第二段落が終わる。一つのセンテンスに、直接的には無関係な二つの内容を盛り込んで、横道へそれることも、科学論文では避けなければならない。

 第三、四段落では、大江氏が講談社の編集者に葉書を出した理由を説明している。第三段落に次のようにある。「先生製作のレリーフがあって、とラテン語の詩句の解読がしてあるところについて。」このあと、ラテン語の詩句とその和訳が続く。ここで、「先生製作のレリーフ」とは、ラテン語の詩句も含めてのことかどうかがはっきりしない。ここよりもあとの文を読んでようやく、詩句は引用らしいと察せられる。話題の対象をいささかぼやかしたまま登場させることも、科学論文ではあってならない。そこで、要約では、レリーフの登場時点で、木彫りのみが渡辺先生によるものであることを明らかにした。

 第四段落において、大江氏の指摘点は第三句目であって、そのラテン語単語を渡辺先生が「心ならずも」と訳されたことがある、と述べる。この訳がなされた経緯として、「自分の小さなラテン語・英語辞書では、against one's will, reluctant. とある、とも書いて、それを受け入れてもらったのだ」という説明が続く(reluctantly が正しいかと思うが)。ここで私は、「自分の小さなラテン語・英語辞書」が、大江氏の所有する辞書のことか、あるいは氏が作成した辞書のことかと迷った。注意して読めば、「とある」の言葉が「所有する辞書」を示していると分かるのだが、「書いて」がどこに何を書いた折かが明示されていないので、ふと、"against …" は、辞書に大江氏自身が書いた意味かと思った次第である。要約では、読者にこのような迷いの出ない書き方にした。

 第五段落は要約で省略した木彫りレリーフの構造と文字の話で、第六段落は,要約では「(その箇所は、…ズレたままになったのであろう)」とカッコ内に収めた説明と、渡辺先生がこの詩句に何を託したかに関する『ひとりでいいんです』の文の引用の前置き、「本文にはこう語られている」とで構成されている。続く第七段落は、引用だけから成り立っている。これは段落の区切り方としては奇妙だが、随筆を一ページに収めるためのやむを得ない手段かも知れない。第八段落は、要約では「さらに、次のこともぜひ付記しておきたい」という導入文(論旨上の位置づけ)を加えて紹介した『ひとりでいいんです』の意味についての一センテンスからなっている。

 以上、大江氏の文が、科学論文としては落第であるような書き方をしたが、氏の文はあくまでも文学であり、この小論は、氏の文が文学分野のものとして欠陥を有することを意味するものでは決してない。ただ、大江氏の文はいささか読みづらいと思う読者がかなりあるとすれば、その一因として、例示したような、科学の文からの大きな隔たりを挙げることが出来るかも知れない。

2012年4月2日月曜日

ヤマブキ、ハナニラ、ユキヤナギ、アブラナ (Japanese Kerria, Spring Star, Thunberg Spirea and Rapeseed)


 写真は上から、ヤマブキ(山吹、バラ科)、ハナニラ(花韮、ヒガンバナ科)、ユキヤナギ(雪柳、バラ科)、アブラナ(油菜、アブラナ科、別名ナノハナ)。2012年3月27、29日、ウォーキング途中(ヤマブキとアブラナ)とわが家の庭で撮影。

From the top: Japanese kerria (botanical name, Kerria japonica; family, Rosaceae), spring star (botanical name, Ipheion uniflorum (Lindl.) Raf.; family, Amaryllidaceae), Thunberg spirea (botanical name, Spiraea thunbergii; family, Rosaceae) and rapeseed (botanical name, Brassica rapa L. var. nippo-oleifera; family, Brassicaceae). Photos were taken on my way of walking exercise (Japanese kerria and rapeseed) and in our yard on March 27 and 29, 2012.

2012年4月1日日曜日

サクラ開花 (Cherry Blossoms Begin to Bloom)



 わが家の近く、堺市西区草部にある日部神社のソメイヨシノの古木は、付近の公園のサクラよりも毎年一、二日早めに開花する。きょう、その開花を見た。

In front of Kusabe Shrine near here (Nishi-ku, Sakai), there is an old tree of Yoshino cherry, which begins to bloom one or two days earlier than Yoshino cherries in parks around the shrine every year. Today, I saw the first cherry blossoms of this year on that old tree.