2015年1月29日木曜日

2015 年 1 月 1 日までの記事へのエム・ワイ君の感想 3 (M.Y's Comments on My Blog Posts until January 1, 2015 -3-)

[The main text of this post is in Japanese only.]


「これは食べられるかな?」2014 年 12 月 28 日撮影。
"Is this eatable?"; taken on December 28, 2014.

2015 年 1 月 1 日までの記事へのエム・ワイ君の感想 3

 M・Y 君から貰った "Ted's Coffeehouse 2" 2015 年 1 月 1 日までの記事への感想の続きを紹介する。



2. K・F 氏へのメール

(2) K・F 氏へ:アメリカ旅行報告への返信
2014 年 11 月 2 日
K・F 様
 アメリカ旅行の詳しいお土産話[注(引用ブログ記事中の注)1]を書き送っていただき、ありがとうございました。「ちょっと大変な旅行」を奥様とご一緒に無事にこなされたとは、お二人とも、すこぶるお元気ですね。そしてまた、F さんは帯磁率を比較する装置を自作して持参されたとのこと、すばらしいです。
 10 月 9 日に東京学士会館で持った M・Y 君、A・M 君とのミニ同窓会は、なかなか有益でした。夕食前と夕食中の合計約 4 時間、楽しく語り合いました。M 君が、木村先生の偉大さがいまになって分かってきたということを、最も多く話しました。
 引用の途中ですが、A・M 君の話の内容は、彼から私への便りでも、具体的に以下のように述べられていたことを記しておきます。
「荒勝研究室の戦前、戦中の世界的な業績としてはつぎのことが挙げられのではないかと思っています。
  • 世界で二番目に台北大学でコックロフト加速器を完成し、人工的核反応を行った (1934)。(現在台湾大学にこの施設が博物館として保存されています)
  • 熱中性子によるウラン 235 の核分裂の際に放出される中性子の数が平均 2.6~2.7 個であることを発見した (1939、1945)。これは戦前、戦中の測定値としては最も精度が高いデータであった。
  • 中性子をウランに当てた時、中性子を放出しない中性子吸収反応の存在を初めて発見した (1945)。
これらの研究はいずれも木村先生が中心になって行われたものです。私達が存じ上げている 50 代の木村先生のイメージからは一寸想像出来ないような大活躍をしておられたことをあらためて知り、不明を恥じています。」

 以下、「K・F 氏へ:アメリカ旅行報告への返信」からの引用の続きです。
 お勧めした ResearchGate について宿題にしてくださいとのこと、承知しました。いろいろなことに興味を持ち続けておられるのは、すてきなことだと思います。若さを保つ秘訣でもありましょう。機会があれば、ゆっくりお目にかかりたいものです。
 錦秋の候、ますますお元気でお過ごしください。
 T・T
 P. S. 私が何年か前に Quora というウェブ上の質問サイトで鏡像の左右逆転について答えた文が、"Huffington Post" というアメリカの新聞の科学記事のウェブページに、10 月 30 日付けで引用されました(こちら)。Quora では、利用者がよいと思った回答に対して票を投じることができるようになっています。その投票では、必ずしも正解でなくても、一般の人たちにとって分かりやすい、あるいは、面白いと思われる答に票が集まるので、私の答は目下 1、2 位に大きく離されて、16 回答中、4 位程度でしかないのです。それにもかかわらず選んでくれた編集者は目が肥えていると思います。

 引用時の注
  1. F 氏からのメールには、アメリカの旅はヨセミテ公園から始まり、そこではエル・キャピタンと名付けられている高さ約千メートルの花崗岩の一枚岩を見ることを楽しみにしていたことや、その岩の直下に立ってハンマーで叩き、岩肌に触ってみたかったが、その機会はなかったことなどが書かれていた。そのメールをもらった少し後で、たまたま、私はテレビでヨセミテ公園を紹介する番組を見て、エル・キャピタンの名にも出会った。
 この F さんのアメリカ旅行土産話に対する返信は、簡単なものながら、地球科学を勉強した F さんが、かねてからの好奇心を満たし、すこぶる元気に大自然にふれた有意義な旅をしたことをよく伝えています。また、筆者に勧められた ResearchGate の利用を F さんが宿題にして下さいとの返事に対して、「いろいろなことに興味を持ち続けておられるのは、すてきなことだと思います。若さを保つ秘訣でもありましょう」と念を押していることを微笑ましく思いました[引用者の注:念を押したつもりではなく、F さんが他の種々なことに興味を持っていて、ResearchGate の利用に、すぐには手がつけられない様子に感嘆したものです]。

 Quora というウェブ上の質問サイトで鏡像の左右逆転について答えた文(Quora への投稿は 2011 年 1 月。その内容は、筆者が本ブログの 2014 年 8 月 11 日付け記事「鏡の謎について」で解説しています)が、"Huffington Post" というアメリカの新聞の科学記事のウェブページに、10 月 30 日付けで引用されたとのこと。投稿してから引用されるまで、2 年 10 ヵ月を経ていますが、筆者の説明が米国の科学担当記者には明解だったことの証となるでしょう。おめでとうございます。

 参考までに筆者の上記「鏡の謎について」から、答えの部分を以下に抜粋にします。
[…] 「鏡の謎」は,プラトン以来,若い日の朝永やファインマンの考察を経てなお,近年まで正解が出なかったものであるが,哲学と呼ぶほどの問題ではない.[…]
 「鏡の謎」で「鏡は左右を逆に映す」というのは,[…]「1 枚の平面鏡に非対称な物体を映すとき,物体と鏡像に,それぞれの固有座標系を適用(これを『固有座標系の個別使用』と呼ぶ)すれば,物体と鏡像の間で,左右非対称性の特徴が逆になる」ということである.ここで,物体の固有座標系とは,物体に基準をおいた「上」「前」の二つの向きに加えて,「右」の向きを,右・前・上の向きが右手座標系の x・y・z 軸の正の向きにそれぞれ対応するように定めた座標系である.鏡像の固有座標系も,これと同じ構造のもの(その鏡映でなく)である.[…]
 […]物体に固有の上下・前後は物体の外部的特徴によって決まるのに対し,左右は上下・前後が決まった後で,それらに関連づけて決まる(上下・前後軸のうちの 1 または 2 軸が決められない物体には,左右も決められない).例えば人体の場合,固有の下→上・後→前の向きは足→頭・背→腹の向きとして,まず決まり,鏡像においても同じ決め方がなされる.したがって,これらの方向の非対称性の特徴は逆になりようがない.そこで,対掌体同士で非対称性が逆になっている方向は,最後に決まる左右軸に,いわば押しつけられるのである.――以上が「鏡の謎」の答えである.なお,2 次元の形象である文字の鏡映による左右逆転も,文字とそれが書かれている媒体を合わせて考えれば,一般の物体の場合と全く同様に説明できる.
 この物理的説明による答えは、大学の教養課程の「代数と幾何学」の知識がある人なら容易に理解可能です。

 紹介した記事は、F さんの「ちょっと大変な旅行」を奥様とご一緒に無事にこなされたことに加え、ResearchGate の利用や Quora というウェブ上の質問サイトで鏡像の左右逆転について答えた文がアメリカの新聞の科学記事のウエブに引用されたことも取り上げられ、読者の興味をそそるものとなっています。(つづく)

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