2013年9月21日土曜日

第56回新象展 大阪展 (The 56th Shinsho Exhibition in Osaka)

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 快晴の一昨日、大阪市立美術館で開催中の「第 56 回新象展 大阪展」を見に行った。大連の小学校での私の同期生、S・Y さんが新象作家協会の会員で、毎年、招待葉書(東京、京都、大阪の各地での展覧会に共通)を貰うのである。

 天王寺公園内の大阪市立美術館に通じる道は「フェルメールの小径」と名づけられている。その道の傍らに、今年初めて、ヒガンバナの花を見た(1 枚目の写真)。美術館入り口には、ハイビスカスも咲いていた(2 枚目の写真)。

 新象展は、看板(3 枚目の写真)に「未来アート 実験」とあるように、抽象絵画を中心に、抽象造形作品も含む展覧会である。作品の題名が、なるほどそういうものをイメージして描いたのかと思わせるものもあれば、これがなぜそういう題名になるのだろうかと思わせる作品もある。題名と作品を無理に結びつけて鑑賞する必要はなく、各人それぞれの思いをもって眺めればよいのであろう。

 S・Y さんの作品は "DAIREN - (FUKUSHIMA) 2013" と題されている(彼女のブログ記事「新象展都美術館」に作品の写真がある)。"DAIREN" は彼女の出生の地への思いを込めて、毎年の作品の題名に含まれている。そこへ、東日本大震災のあと、"(FUKUSHIMA)" が加わるようになった。彼女は震災の直接の災害には会わなかったが、原発事故で屋内退避勧告の出た相馬市に住む。絵のモチーフは毎回、円や長円の組み合わせで、以前は暖色系が多く使われていたが、近年寒色系が多くなったり、赤や黒が鋭く混じったりしていた。

 今回は、寒色も混じるものの、比較的穏やかな色合いという感じがした。中心付近の小円は深く沈み込んでいる趣きがあり、そこから左上にかけて尖った先端部を持つ曲線が、飛翔しているかのように描かれていた。そこで、中央の円形が溶融炉心を連想させ、左上へ延びる曲線は、溶融した炉心からの放射性物質というよりは、原子炉事故の失敗を補う、わが国のロケット技術を象徴するかのように思われたということと、私の思いは勝手なものかも知れないが、いろいろな想像を楽しくめぐらせて貰える作品と見受けたことを感想としてメールで書き送った。合わせて、目下、漱石の『草枕』を再々読して、抽象絵画のまだ現れていなかった時代に漱石の描いた主人公が、「抽象的な興趣」を絵にしたいと望んだことを興味深く思っていることを記した。S・Y さんからの返信には、そういう意図で描いたものではないが、そういう思いを抱いたことはある旨のことが書かれていた。

 美術館の地階出口を出ると、天王寺公園と「フェルメールの小径」との間にある道へ導かれる。妙なことに、その道はすでに公園外であって、帰途に美術館裏にある慶沢園を散策したいと思っても、再入園しない限り、それが出来ないことになる(4 枚目の写真は、その道から見た「あべのハルカス」のビル)。慶沢園散策のためには、入館した地階展示室への入口の方へ戻るべきであることを覚えておかなければならない。

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