2005年6月21日火曜日

北吸トンネル / ヘルシンキでの日本水上選手のよう


北吸トンネル

 京都府北部への小旅行の最終日、東舞鶴駅付近を散策した。まず見たのは、レンガ積みの北吸トンネル(写真)。舞鶴線から分岐して、鎮守府のあった余部地区へ向かっていた軍港引き込み線跡に、そのまま整備され、残されている。この線は戦後、中舞鶴線と呼ばれ、市民の足として活躍したという["舞鶴・加悦:汽車旅の追憶" JR 西日本ジパング倶楽部『旅の雫』誌 Vol. 21, No. 6, p. 5 (2005) による]。

 上記雑誌の記事には、トンネル内の美しい写真が掲載されていて、内部もすべてレンガ積みであることがよく分かる。そのような写真を撮るには、大型の照明装置が必要だろう。

ヘルシンキでの日本水上選手のような

 高校時代の交換日記から

(Ted)

1952年9月11日(木)曇りのち雨

 ヘルシンキでの日本水上選手のような自分を感じる。試験でのわずかの差は、限られた1時間中の少しばかりの頭のひらめきの差かも知れないが、とにかく、女生徒に負けたのは悔しい。SN 君の国語のレッスン・クラスに96点と94点がいたと聞いたのだ。94点のVicky にはどうか分からないが、96点の FR さんという、われわれと同じく奨学金を受けている女生徒には、負けているに違いない。オリンピック風にいえば、この種目の金メダルは昨年通り取れるものと思っていたが、日本人が古橋選手にかけたような期待を自分自身にかけていたようなことになった。

 HM 君から葉書が来ている。昨日の不在の詫びと、日曜日に来てくれということが書いてある。「わが生涯の最も華やかなりしときのことを思い出して話したい*」だと! それは好ましくない。断然いけない。第一、そういうバカなことがあるものですか(これは新聞部先輩 KN 君の口癖だ)。彼に KW 君の「われら若人には、とやかくいう過去はない」という言葉を聞かせたい。はなはだしい考え方の相違だ。そして、KW 君の考え方に従えば、HM 君は「現在と将来に対する不忠実な」人間だ。われわれ(HN 君とぼく)は、彼の招待に応じる代わりに、彼のこの考え方を改めさせたいものだ。

 「リンゴの歌」よりも意外 [1] なものは、英単語のアクセントだ。中学生時代、AR 先生に習った instrument という単語は、第2音節にアクセントをおいて豪も怪しまなかったのだが、第1音節におくのが正しいのだった**。校長先生は、きょうも traverse を 第2音節にアクセントをおいて読んでおられたようだった。Twelve が持っていた大きな辞書でも調べたが、確かにアクセントは第1音節にある。

(Samの欄外注記)
* 映画「思春期」の春雄のような感じがする。ぼくならば、一応聞きに行くね。頭ごなしに捨ててしまってはだめだ。実際に聞いて見なければ。Ted のエマーソンの言葉の適用は、好き嫌いがあるらしいね。
** ぼくは初めから、そう聞いて、そう思っていた。


 引用時の注

  1. 作詞:サトウ ハチロー、作曲:万城目 正
    1.赤いリンゴに 口びるよせて
      だまってみている 青い空
      リンゴはなんにも 云わないけれど
      リンゴの気持ちは よくわかる
      リンゴ可愛や 可愛やリンゴ
     この歌の「リンゴの気持ちは」の節回しにおいてだけ、「リ」が長く、「ゴ」が短いのが意外に思われる、という趣旨のことを以前に書いたのである。


 [以下、最初の掲載サイトでのコメント欄から転記]

Y 06/21/2005
 このように、明確な点数でひそかに惜しい思いをする時代が懐かしい、というよりは、あれはあれで厳しい毎日ですよね。いまは自分で抱える厳しい基準がありますし。
 どうして、「わが生涯の最も華やかなりしとき」について思うまま語らせてあげるのはよくないと思われたのでしょう? そんな一人舞台は、目の前で聞いていても楽しいと思うのですけれど。「若人にはとやかくいう過去はない」とのことなんですが、幼少期のときめく思い出を語るのが得手な作家は私は高く評価しているんです。

Ted 06/21/2005
 私は、HM 君が高校生の年齢で、中学生時代(その頃、彼は勉強のかなりよくできる少年でした)あたりのことを「わが生涯の最も華やかなりしとき」という表現をするのは、警察の厄介になっているらしいことも考え合わせれば、将来に向かって自分を向上させる意欲をなくしているのではないかと思い、それを反省させたいものだという気持を書いたのです。彼の話を聞きたくない、ということではなかったのですが、Sam にも、話を聞きたくないという意味に取られました。「招待に応じる代わりに」と書いたので、無理もありませんが。

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