2009年1月14日水曜日

真木和美君を偲ぶ (3)

 真木和美君から私への 2007 年のクリスマスカードにある彼の言葉をここに紹介する。このカードは、彼からの最後の便りとなった。アマリリスの絵の入った二つ折りの、小さめのサイズのカードの内側に、"Season's Greetings" の印刷文だけを避けて、一杯にペン書きされている。


多幡様

 夏の前半には一ヶ月程入院していて、イスタンブール、ピサでの会議はミスしましたが、9 月になって Sinaia (Romania)、Khiva (Uzbekistan) 等の会議には出ることができました。特に Uzbekistan では pre-conference tour で Tashkent、 Samarkand、Bukhara をバスで通って、 Khiva に到達しました。

 Samarkand、Bukhara では monuments に深い感銘をうけ、また、Bukhara では昔の京都のように、civil life と religious life に調和のとれた共存をしているのに共感をおぼえました。そんなことで Islam のこと、Coran(フランス語版)等、かたひまに読んでいます。

 2008 年には、Porto de Galinhas (Brazil)、Poznan (Poland)、Cargese (Corsica) 等の会議があるので、そろそろ準備をしているところです。また、ブラジルではアマゾンの原生林、あるいは El Salvador の Bahia cooking 等、経験してみたいと思っています。

 それでは良い年を。
  真木和美
18/12/07


 真木君は亡くなる直前まで、毎年このように各国を飛び回り、超伝導物理学界で指導的な役割を果たし続けていたのである。そしてまた、コーランにまでもおよぶ、いろいろな国の文化について、旺盛な興味を抱いていたことが伺われる。珍しく、一か月ほど入院していたことが書かれていたが、その後すぐに国外の会議に出かけているということだったので、すっかりよくなったのだろうと思い、入院のことを忘れてしまっていた。彼の世界巡り便りが聞けなくなったこと、そしてなによりも、元気ならば、まだまだ学界に貢献できた彼が突然他界したことは、残念きわまりない。

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