2012年11月27日火曜日

算数の問題作り、作問 (Problem-Posing in Math)


[Abstract] The evening edition of Asahi-shimbun dated November 16, 2012, carried an article entitled "Pleasure of making problems." Using its outline as an introduction, I quote three problems I made in the math lesson, in the sixth grade of the elementary school. Those are problems to apply the use of fractions and a problem related to the calculation of circular areas. (Main text is given in Japanese only.)

 さる 11 月 16 日付け朝日紙夕刊の「窓:論説委員室から」欄に「問題を作る楽しみ」という文があった(執筆者は各務滋氏)。私が小学 6 年生のときに作った算数の問題を残してあったので、それを近日中に紹介しようと思っていた矢先、これはありがたい文である。私の問題を書く導入として、その文の紹介から始めよう。

 各務氏はまず、映画にもなった冲方丁(うぶかたとう)氏の小説『天地明察』に登場する算額について述べている。算額とは、江戸時代の日本で、額や絵馬に数学の問題や解法を記し、神社や仏閣に奉納したものである。青山学院大の坪田耕三・特認教授は、小学校の先生をしていた頃、算額を算数の授業に生かしたそうである。次いで「窓」欄は、「作問」という授業方法は明治期からあったが、一人ひとりの作った問題を読んで評価するのが大変で、次第に減っていったことや、いまの小学校の学習指導要領にも「算数的活動」があり、教科書の例題を応用して新しい問題を作る活動がその一つであることを述べている。そして、「聴くだけの授業よりも算数が好きになれそうだ」との感想を記している。

 私が小学 6 年生だったのは、敗戦後間もない 1947〜48 年である。当時の学習指導要領に作問があったかどうかは知らないが、少なくとも私たちの担任の A 先生は、問題作りをさせた。私はそれを大いに楽しんだ児童であった。私が算数の「問題作成帳」から書き抜いて残していた問題は、「分数応用雑題」という部類のもの 10 問と、「円の問題」1 問である。前者の第 9、10 問と、後者の問題、そして、それらに対する解答を以下に引用する(このような問題に慣れていないと、説明の言葉のない解答を見ても、式の意味を理解するのにやや時間を要するだろう)。円の問題は、自分で考えたにしては出来過ぎているような気もする。当時私は、母が知人から貰って来てくれた旧制中学入学試験準備用の算数問題集を楽しんでいたので、その中にあった問題を参考にしたのかもしれない。


分数応用問題

[9]紙を甲と乙に分けるのに、甲には全体の 5/8 をやった。残りを乙とすると、甲は乙の分より 5 枚多いという。初め何枚あったか。

[10]ある人がお金を 57 円もらって本を買い、その 1/3 を使った。残りの 3/19 で鉛筆を買った。あとでまた、いくらかお金をもらった。それは初めもっていたお金の 2/3 にあたる。鉛筆を買った残りと、あとでもらったのと合わせていくらもっているか。



円の問題

 上の図で、斜線の部分の面積は 865.07 cm2 である。黒い部分の面積を求めよ。[円周率は 3.14 として計算する。]

解答

[分数応用問題 9]
5/8 − 3/8 = 2/8
5 ÷ 2/8 = 5 × 8/2 = 20
答 20 枚

[分数応用問題 10]
57 × (1 − 1/3) × (1 − 3/19) = 32
32 + 57 × 2/3 = 70
答 70 円

[円の問題]
(10 ÷ 2)2 × 3.14 = 78.5
865.27 × 2 + 78.5 = 1808.64
1808.64 ÷ 3.14 = 576
1808.64 ÷ 4 = 452.16
576 − 452.16 = 123.84
答 123.84 cm2

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