2011年5月26日木曜日

2011年4月分記事へのエム・ワイ君の感想 (M.Y's Comments on the Posts of April 2011)

[In Japanese only]

 M・Y 君から "Ted's Coffeehouse 2" 2011年4月分への感想を2011年5月23日付けで貰った。同君の了承を得て、ここに紹介する。青色の文字をクリックすると、言及されている記事が別ウインドウに開く。




1. 福島原発の事故に関して望むこと

 最近私が世話人の一人に依頼された「堺市民懇」の事務局から、さる4月23日開催の同会の総会で福島原発の事故についての声明を出すか決議をするかしたいので、その原案を作成して欲しいということだった。

との理由で書いた文案が紹介されています。原子力安全・保安院が遅まきながら、この事故が「国際原子力事象評価尺度」で最も重大な「レベル7(深刻な事故)」に当たるとの暫定評価を発表し、また、政府の初期対応に大幅な遅れのあったことが事故拡大のもとになったと国会でも指摘されている、との状況下で、政府、東電、その他関係機関に対して、次のような要請を記しています。

 1.東電による事故情報や生データの速やかな公表、政府の的確な評価による遅滞ない住民等への指示
 2.東電による原子炉の破壊状況の詳細な把握と、国内専門家ならびに海外専門家の英知と経験を広く活用した政府の事故解決の基本方針と長期見通の打ち出し
 3.東電と国による周辺住民および原発内作業員の安全を最優先した迅速な対応と住民等への被害補償
 4.原子力の推進と規制を分離した強力な権限を持つ規制機関の設定
 5.電力供給を原発に頼る国の方針を自然エネルギー利用の拡大へと転換するための根本的な議論を、国民的な規模で行なうこと

 これらは、事故の厳しさの的確な見通しに立つ、重要課題を網羅した要請だと思います。すでに長期化した事故収束の中、2、3、5についは、ようやく一定の進展の兆しが見え始めたようです[引用者付記:が、まだ問題は山積しています]。1については、わが国のみならず、海外からも不信感がもたれています。5月22日の朝日紙に、米軍が3月17日、技術支援や物資の提供、放射性物質の拡散対策などを詳細に列挙した「支援リスト」を日本政府に提出していたことが政府の内部資料で分かり、米側は危機感を抱いて原発対応への全面関与を打診していたことがスクープされました。

2. 文学者の原発責任に言及した文芸時評

 朝日紙の文化欄は、加藤周一の「夕陽妄語」が終わって以来、魅力が薄い。しかし、きょう、2011年4月27日の同欄は別である。「勇気を試される表現者:原子力村と文学村」と題して、文芸評論家・斎藤美奈子が書いている「文芸時評」は、大いに注目に値する。

とし、斎藤美奈子が、「文学の人は文学だけを追求してりゃいいんだよ、という態度」は「文学村」の内部の言語であり、「原子力村」と同質ではないかと指摘するに至る内容が簡潔に要約して紹介されている。そして、

この文芸時評は、文芸評論村からのナイス・シュートである。文学村で勇気が伝染すればまことに結構であるが、そこまで行かなくても、一人でも多くの作家が勇気ある発言をすることを期待したい。ちなみに、大江健三郎は文学村を超越した存在であろうが、『ニューヨーカー』誌への寄稿「歴史は繰り返す」(20011年3月28日付け)において、「原子力発電所を建設し、人の命を軽視するという過ちを繰り返すことは、広島の犠牲者の記憶に対する、最悪の裏切り行為」「福島の原発事故がきっかけとなり、いま再び日本人が広島や長崎の犠牲者とのつながりを復活させ、原子力の危険性を認識し、核保有国が提唱する抑止力の有効性という幻想を終わらせることを願う」と述べている。

と補足説明し、核廃絶への意識をも喚起しています。原子力村については、5月20日付け朝日紙の耕論欄が、「『閉鎖的な村社会』といわれる原子力産業界。住人たちは何を考え、行動してきたのか。村のしがらみや掟は、福島第一原発の事故にどう影響したのか」との観点で、この問題を取り上げました。元東京電力副社長・自民党参院議員・加納時男氏、前原子力委員長代理・田中俊一氏、立命館大名誉教授・安斎育郎氏が各界から、「『使い走り』とは失礼千万」、「実は縦割り 異論許さず」「『村八分』にされ助教授のまま」の表題のもとで、それぞれの思いを語っています。

 [引用者追記:加納氏は「原子力村」という言葉を否定しながらも、「事故は国と東電、業界全体の共同責任」と述べ、田中氏は自らを含む原子力専門家16人の緊急提言にもかかわらず状況が改善されていないことに言及し、「原子力村の問題は、日本社会全体の問題」と結び、安斎氏は「村の閉鎖性が事故を悪化させた一因」と指摘しています。]

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