2013年1月19日土曜日

映画『レ・ミゼラブル』(Film Les Misérables)


[Abstract] The day before yesterday, I went to the nearby cinema complex with my wife to see the 2012 British musical drama film Les Misérables. Yesterday, a friend of mine on Facebook happened to mention the Japanese version of the online article "Korean viewers touched by story of Les Misérables"* of the newspaper The Hankyoreh, and asked "If you were impressed by Les Misérables, what was the factor that moved you?" The article of The Hankyoreh reports opinions of experts in history, literature and music about the reasons for Koreans' passion for Les Misérables. I was also impressed by all of the three aspects reported by the article, but the deepest impression came from the historical aspect. [* Note: Passages of the English article with this title (dated January 5, 2013) are different from those of the Japanese version (dated January 11, 2013) and does not report about opinions of experts.] (The main text of this post is given in Japanese only.)

 一昨日、妻と近くのシネマ・コンプレックスへ、2012 年のイギリスのミュージカル映画『レ・ミゼラブル』を見に行った。たまたま昨日、フェイスブックの友人が韓国の The Hankyoreh 紙の日本語版オンライ記事「レ・ミゼラブル熱病に罹った韓国社会…:興行成功の秘訣は 'ヒューマニズム'」を紹介して、「ご覧になって感動を覚えられた方、どこに共感されましたか?」との質問を記していた。

 The Hankyoreh 紙の記事は、韓国人が『レ・ミゼラブル』に熱狂する理由について、歴史・文学・音楽の各専門家の意見を聞いている。歴史の側面では、チェ・カプス教授(ソウル大西洋史学科)が、「大革命以後にも依然として貧困と不平等が広がった 19 世紀フランス社会と、民主化以後にも貧富格差と経済的不平等が解消されなかった現在の韓国社会の類似点」を指摘している。文学の面では、イ・ヒョンシク名誉教授(ソウル大)が、「多様な人間群像と 19 世紀のパリの様子を忠実に描いた豊かな原作の力こそ、一部の階層に限定されず 440 万人を越える観客の心を泣かせた理由」と指摘し、また、原作に流れている深く広いヒューマニズムに触れている。音楽的には、ミュージカル 『レ・ミゼラブル』韓国語版公演音楽を総括するキム・ムンジョン音楽監督が、「ミュージカルと映画は主要テーマになる歌を伴奏とコーラスを通じて繰り返し観客の脳裏に植え付け、後に主要人物の歌を通じてさく烈させる方式で音楽を賢く展開している」ことを、成功の要因として挙げている。

 私も The Hankyoreh 紙が紹介している三つの因子のいずれによっても、見てよかったという印象を受けたが、最も関心を持ったのは歴史であった。『レ・ミゼラブル』といえば、子ども向けに書き直されたものを幼い頃に読み、冒頭のエピソードが記憶にあっただけである。そして、フランス革命の後になお貧困と不平等が広がっていたことや、それをヴィクトル・ユーゴーが『レ・ミゼラブル』の中で取り上げていたことを、不勉強にして知らなかったので、目を開かされた思いをしたのである。そこで、フェイスブックの友人の問いには、次のように答えた。
 私は昨日、『レ・ミゼラブル』を見たところです。チェ教授は1848年の「6月蜂起」(英語では June Days Uprising)に触れていますが、『レ・ミゼラブル』で描写されているのは、これに似た1832年の June Rebellion です。どちらも、1830年の、いわゆるフランス革命後に、民衆の不満がつのる状況がくり返されていたことを示すものですが…。June Rebellion も政府によって弾圧されてしまいますが、最終の場面で、いずれは民衆が勝利するという希望を抱かせるような歌と映像が続いたことに私は共感しました。
 日本の多くの人の関心も、[イ・ヒョンシク名誉教授が指摘し、記事の題名にも取り上げられているように、]許しや愛といったヒューマニズムに向うかと思います。私のように革命[に関わる歴史]に注目するのは、少数派ではないでしょうか。(角カッコ内はここに引用するにあたっての追加)

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