2012年12月21日金曜日

2012年11月分記事へのエム・ワイ君の感想 (M.Y's Comments on My Blog Posts of November 2012)

[This post is in Japanese only.]

 M・Y 君から "Ted's Coffeehouse 2" 2012 年 11 月分への感想を 2012 年 12 月 19 日付けで貰った。同君の了承を得て、ここに紹介する。




1. 16 歳の少年が私に相対論などを質問:14. 宇宙の膨張、重力、相対性理論、ダークエネルギーの間の関係

 このシリーズでは、16歳の少年アーロン(仮名)からの、相対性理論など物理学に関する質問と、筆者テッド(仮名)の回答を紹介している。今回の質問は、なぜ宇宙は膨張しているの? 重力はどうなっているの? 相対性理論との関係は? 膨張はダークエネルギーのせいなの? というもの。

 筆者は今回で 14 回と回をかさねたアーロン少年の鋭くて難しい一連の「相対性理論など物理学に関する質問」に、調査し関連した事実も加えて、親切丁寧に適切な回答をしています。回答集(英文)はブログサイト IDEA & ISAAC Femto Essays の Label Physics Q and A の項に収録されています。引用文献を読みながらこれらを読むと、先進的な物理や宇宙物理の状況が概念的に把握できる優れた読み物になっています。以下に今回の回答の要点を紹介します。

 質問のうち、「なぜ宇宙は膨張しているの?」については、「多分宇宙が始まる原因となったビグバンの初期条件によるものと考えられています」と答えています。「重力はどうなっているの?」と「膨張はダークエネルギーのせいなの?」については、「1998 年に天文学者の二つのチームが Ia 型超新星の観測に基づいて、宇宙の膨張は加速していることを提唱しました。この発見の功績によって、米国のソール・パールムッターとアダム・リース、オ-ストラリアのブライアン・シュミットには 2011 年のノーベル物理学賞を授与されました。この発見以前には、物理学者は重力が宇宙の膨張速度を遅らせると信じていました。宇宙の膨張が加速されることを説明するために、重力に相反する力を生じさせているダークエネルギーというふしぎなものが提唱され、それが最も受け入れられた理論になっています。このように、ダークエネルギーは、加速膨張発見後に現れた概念なのです」という回答です。

 「相対性理論との関係は?」については、次のように説明しています。「これより先に発見された宇宙の膨張と相対性理論との関係には、面白い歴史があります。アインシュタインが一般相対性理論を仕上げた時、この理論が静的な解を与えないので(当時宇宙は静的であるというのが通説でした)、静的な解を得るための方法として、方程式に宇宙定数を取り入れました。ところが、ロシアの数学者アレキサンダー・フリードマンは、アインシュタインのこの取り扱いには誤りがあり、もとの一般相対性理論の式は、膨張の場合を含む、時間とともに変化する宇宙をも予測することを見出しました。そして、1920年代後半に、エドウィン・ハッブルの観測によって、宇宙の膨張が実際に観測されたのです。アインシュタインはガモフに、宇宙定数の導入は「私の生涯の最大の失敗」だと語ったそうです。ところが最近、宇宙の加速膨張を説明するダークエネルギーの根源の一つとして考えられているものは、この宇宙定数であり、もう一つはスケーラー場というものです。アインシュタインの最大の失敗が現代の宇宙論の中心概念になってきたのです。」

2. 山陽方面への旅 1~4

 11 月 20 日から 22 日まで、妻と山陽方面への旅に出かけた。広島県竹原市と山口県光市にある「かんぽの宿」の温泉に入って休養するのが主目的である。[…]三原城跡(本格的な水軍の城)を見物した。[…]城は、海に浮かぶような姿をしていたところから、「浮城」と呼ばれた。いまは、石垣と堀だけが昔をしのばせている。

 […]竹原市重要伝統的建造物群保存地区を見物して過ごす。白壁の土蔵、虫籠窓(むしこまど)、いろいろな意匠をこらした竹原格子などを持つ家々が、いまも暮らしの場となっている。

 […]ローカル線の旅で楽しいことの一つは、各駅の駅名表示板で次駅の平仮名表記を見て、その漢字表記を考えることである。これがかなり難しくて、次駅でしばしば予想外の漢字に出会うのが面白い。[…]沿線の山々の紅葉も満喫し、改めて日本は美しい国だと思った旅だった。しかし、美しい国といえば、来月の総選挙を控えて、沢田研二・作詞「我が窮状」の冒頭、「麗しの国日本に生まれ 誇りも感じているが/忌まわしい時代に遡るのは 賢明じゃない」が、しみじみと感じられる時期でもある。

 休養するのが主目的であるというゆとりの旅を、地図と写真を見ながら、私も楽しむことができました。写真に撮った竹原の宿の部屋の窓から見た、付近の湯坂温泉郷の中にある田園風景と、同じく光の宿から眺めた瀬戸内海の風景とを、写真より少し右に向けたアングルで眺めたスケッチは、作者の心象と描写技術を示す例として興味深く拝見しました。

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