2018年11月11日日曜日

ツルゲーネフ生誕 200 年 (Bicentenary of Ivan Turgenev's Birth)

[The main text of this post is in Japanese only.]


ツルゲーネフ著『父と子』岩波文庫版の扉と口絵。
Japanese translation of Ivan Turgenev's "Fathers and Sons", Iwanami-Bunko Edition.

 2018 年 11 月 9 日はイワン・ツルゲーネフの生誕 200 年ということで、その日の朝日紙「天声人語」は彼の作品『あいびき』に関わる話から始めて、『父と子』『初恋』『煙』『貴族の巣』と作品名を並べていた。私が 1970 年前後に丸善大阪支店に予約し職場へ配達してもらって集めた『新潮世界文学』にツルゲーネフの巻はなかっただろうかと、応接室の本箱へ見に行った。「天声人語」の記事から、まだ読んでいないツルゲーネフのどれかの作品を読んでみたいという気にさせられた文学青年ならぬ文学老年である。しかし、ツルゲーネフの巻は含まれていなかった。

 この文学全集に挟んであるリストを見ると、「集中的に選ばれた世界の文豪 24 人」という標語で売り出していたことが分かる。全 49 巻あっても、作家数は巻数の約半分に絞られていたのだ。この全集のケースとカバーを伴った一つの巻の写真がこちらにある。私は書棚に並べた時に荘厳な眺めとするためケースとカバーを廃棄したので、ケースとカバーの写真を見ると懐かしい思いもする。この全集中には未読の巻がまだ多い。全集として買った本は、読むのがどうしても後回しになるもののようだ。——話がツルゲーネフからそれてしまった。

 ところで、私の蔵書中のツルゲーネフの作品としては、『父と子』だけが中学 3 年から読み始めた岩波文庫のコレクション中にあるが、読んだ記憶は薄れてしまった(原題は父も子も複数形であるが、邦題ではそのことが分からない)。その本は金子幸彦訳、1959(昭和 34)年発行の第 1 刷である(上掲の写真)。高校時代に読んだ桑原武夫著『文学入門』(岩波新書、1950)の巻末の「世界近代小説五十選」に入っている作品なので、岩波文庫として新しく出たという新聞広告でも見てすぐに買ったのだろう。

 天声人語子紹介の『あいびき』は、インターネット上の青空文庫に二葉亭四迷訳が収められており、無料でダウンロードして読むことができる。『岩波文庫解説総目録 1927–1996(上)』p. 335 には、二葉亭四迷訳『あひびき/片恋/奇遇(他一篇)』として、かつて岩波文庫版が出版された記録があり、その解説中に「原作の妙味を新鮮な文体に移し、日本の近代文学に大影響を与えた。鷗外訳の『即興詩人』と並んで明治の二大訳業とたたえられる」とある。『あいびき』は短い作品だが、二葉亭の訳がそういう名訳ならば、まずは、これをゆっくり楽しんでみたい。

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