2012年1月22日日曜日

2011年12月分記事へのエム・ワイ君の感想 (M.Y's Comments on the Posts of December 2011)

[In Japanese only]

 M・Y 君から "Ted's Coffeehouse 2" 2011年12月分への感想を2012年1月21日付けで貰った。同君の了承を得て、ここに紹介する。青色の文字をクリックすると、言及されている記事が別ウインドウに開く。




1. 『源氏物語 千年の謎』

 昨日、妻と近くのシネマ・コンプレックスで、鶴橋康夫監督による映画『源氏物語 千年の謎』を見た。私がこの映画を見たいと思ったのは、母が買い、そして読み残して逝った『潤一郎新々訳 源氏物語』全五巻を、私も二巻の途中で読み止めてあり、その続きを読みたいという気が少しでも起こればと思ってのことである。
 確かに、その気を起こさせられはしたが、それはこの映画の雰囲気的がよかったからではなく、書物からは映画と異なった味わいが多く得られるはずだという思いによる。

と述べられています。

 私も数年前、通しで2回、2回目は『潤一郎訳 源氏物語』(昭和14年中央公論社)を読みました。戦前でしたので、時代に相応しくない部分は抜かしてありましたが、潤一郎訳が原文に忠実であると思ったからです。源氏物語がなぜ世界的に認められたかということに関心が募り調べたところ、いくつかの名の通った翻訳がある中から、アーサー・ウェイリーの英訳 Tales of Genji にたどりつきました。その後、平川祐弘著『アーサー・ウェイリー「源氏物語」の翻訳者』が発行されました。引用されている英文も読み、天才ウェイリーの偉大さが分かりました。最近ドナルド・キーン氏が「日本文学との決定的な出会いは『源氏物語』でした、……タイムズスクエアの本屋で安価に売られていたアーサー・ウェイリーの訳本を見つけ、何となく手にとったのが、全ての始まりです(当時18歳)」(「なぜ今日本国籍を取得したか」文芸春秋2011年8月号)と述べているのを読み、やはりそうかと、ウェイリーの偉大さを再認識しました。

2. 16歳の少年が私に相対論などを質問:1~5

 「孫への贈り物」という文に

……その後間もなく、私の最年長の孫(当時大学一年生)の誕生日が来た。私はせめてもの贈り物として、近年恒例にしている誕生日祝いの英文メールに、自分の経験をもふまえた助言を書いて送った。…中略…それからしばらくして、ツイッターで知り合った海外の十六歳の少年が、アインシュタインを大いに尊敬していて、相対性理論について学校の先生に質問するのだが、相手にされないというので、どのような質問か私に聞かせて欲しいと書き送った。そして、その少年からの相次ぐよい質問に答え続けている。自分の孫ではないが、孫の世代への贈り物として。

と述べられていて、その問答がこのシリーズになっています。「1.ブラックホールの証拠」:見えないはずのブラックホールの存在がどうして分かるのか? 「2.アインシュタインとブラックホール」:アインシュタインはブラックホールの存在を信じていなかったと本で読んだが、それならどうしてブラックホールを予測する一般相対論を発表したのか? 「3.空間と時間」:もしも空間がないとしても、時間はあるだろうか? 「4.ニュートンとアインシュタイン」:アインシュタインがニュートンの重力理論に代る一般相対性理論を作り上げたのに、なぜ教科書には、いまでもニュートンの重力理論が書かれているのか? 「5.光の速度で動く物体の質量」:光速で飛んでいるものの質量はゼロだということだが、 質量はどこへ行ってしまうのか?と質問は続きます。それらは、容易に答えられるもの、漠然としたものなど、いろいろです。筆者は興味深い写真を選び、広い知見を交えて丁寧に回答しています。

 「1」では、T. Bunn の「ブラックホールの存在を示す証拠はあるか」という参考ウェブサイトを知らせ、「3」では、アーロン君の質問は物理学的によいものでないとしながら、一般相対論と量子論を統合する量子重力理論の研究では、空間と時間は基本的な量でなく、emergent phenomena(創発現象—構成要素間の相互作用の結果、予期しない振る舞いや構造が生じる現象—)である可能性が示唆されており、それが正しい場合にはアーロン君の「空間がない」という言葉がある種の物理的意味を持ってくるであろうという趣旨の説明を付加しています。また、「5」では、ニュートリノが光より早い速度で走っている可能性を示す実験について、後ほど説明するとも述べています。「相対論関連物理学の専門家ではないので、回答が間違っている場合もあろうかと思います。もしも間違いがあれば、少年と私のためだけでなく、他の読者のためにも、遠慮なくコメントして下さい」と筆者は謙虚に記しています。

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