2011年3月24日木曜日

福島原発事故の人災因子 1 (Human Factors of Accident at Fukushima Nuclear Power Plant - 1 -)


写真は後日掲載したもの。3月26日付け『しんぶん赤旗』が第3面(写真中央上部)に、また、同『朝日新聞』が第4面の「電源喪失 想定できぬ:保安院・安全委両トップ、過去に」という記事(写真右上部)に、本ブログ記事が記している吉井衆院議員の過去の原発質問を取り上げた。

[Abstract] Possible human factors of the accident at Fukushima Daiichi nuclear power plant the author have learned on the Internet are described. One is the fact that the Japanese government ignored the right questions made in the committees of the House of Representatives of Japan from 2005 to 2007. The other is the fact that the Tokyo Electric Power Company repeatedly missed safety checks over a 10-year period and allowed uranium fuel rods to pile up inside the 40-year-old facility. (The main text is given only in Japanese).

 東日本大震災がもとで発生した福島原発の事故について、メディアには「危機に対して国民が一致して立ち向かおう」という雰囲気があるが、国民はその言葉に惑わされて、責任の所在が曖昧になることを許してはならない。以下に述べる事実は、私が一昨日以来、インターネットで知り得たものである。それらは、今回の事故に人災の因子が大きいことを物語っており、今後はそのような事実についての厳しい反省の上に立って、事故による損害の補償、既存の原発の安全対策、今後のエネルギー政策などが進められなければならない。

 吉井英勝衆院議員(日本共産党)は2005〜7年に、衆院予算委員会等で原発の安全性について何度も質問したが、政府はその質問に誠実に対応して来なかった。文献 [1] は、このことを国会議事録を引用して論じている(国会議事録は、「国会会議録検索システム」によって、誰でも閲覧することが出来る)。質問の中では、「外部電源が得られない中で内部電源も、…(中略)…ディーゼル発電機もバッテリーも働かなくなったときに機器冷却系などが働かなくなるという問題」「最悪の場合には、崩壊熱が除去できなければ、これは炉心溶融であるとか水蒸気爆発であるとか水素爆発」など、今回起こったことが如実に指摘されている。

 東京電力は地震発生の9日前の3月2日、原子力安全・保安院から「…(略)…福島第一原子力発電所…(略)…の点検周期を超過した機器における保安規定違反について」という指示を受けていた [2]。指示文書には「保安規定第3条、107条」などとあり、原子力関係の規定を知らない私には、具体的な内容が分からない。しかし、文献 [3] は、東京電力が10年以上にわたって安全点検を怠り、使用済みウラン燃料棒を建設40年になる施設内に保存し続けていたことを報じており、これが保安規定違反の内容に関わっているかと思われる。また、それが安全な保管よりも経済優先の措置だったことが指摘されている。


  1. 福島第一第二原発事故を予見していた共産党吉井英勝衆院議員(京大工学部原子核工学科卒)の 2005〜07 の国会質問(その1); 同(その2); 同(その3), ブログ 天漢日乗 (March 16, 2011).

  2. "当社原子力発電所の点検周期を超過した機器に関する指示文書の受領について" 東京電力 プレスリリース (March 2, 2011).

  3. "Japan nuclear firm admits missing safety checks at disaster-hit plant" Guardian (March 22, 2011).


 追記:3月22日付け読売新聞は、"原発設計「想定悪かった」原子力安全委員長" と題する記事を掲載し、次のことを報じている。班目(まだらめ)春樹・原子力安全委員会委員長が同日の参院予算委員会で、東日本巨大地震による東京電力福島第一原子力発電所の事故に関し、社民党の福島瑞穂氏の質問に答えて、「(原発設計の)想定が悪かった。想定について世界的に見直しがなされなければならない。原子力を推進してきた者の一人として、個人的には謝罪する気持ちはある」と述べ、陳謝した。班目氏は2007年2月の中部電力浜岡原発運転差し止め訴訟の静岡地裁での証人尋問で、非常用発電機や制御棒など重要機器が複数同時に機能喪失することまで想定していない理由を問われ、「割り切った考え。すべてを考慮すると設計ができなくなる」と述べていた。福島氏はこの証言を取り上げ、「割り切った結果が今回の事故につながった」として謝罪を求めた。班目氏は「割り切り方が正しくなかったということも十分反省している。原子力安全委員会は…(中略)…抜本的な見直しがなされなければならないと感じている」と語った。

 また、3月24日付け読売新聞は、"「対処能力超えた」原子力安全委員長、反省の弁" と題する記事を掲載し、次のことを報じている。福島第一原発の事故後、23日夜に初めて、報道陣の前に姿を見せた班目・原子力安全委員会委員長は「電源の喪失は深刻で予想を超える早さでトラブルが次々発生、技術陣の対処能力を超えた」と述べ、津波という自然災害に極めてもろかった原発技術の限界を認め、「震災時にも電源を容易に確保できるなどの耐震機能が必要だ」と語った。さらに、事故や放射性物質の放出データなどを評価し、分かりやすく伝えるという委員長の役割について、会見を拒否してきた12日間を謝罪した。

 吉井衆院議員の予算委員会等での質問を含む議事録は、同議員オフィシャルホームページの「【緊急メッセージ】地震・大津波と炉心溶融にいたる原発事故は何度も警告してきた」と題する3月20日付け記事内にリンクされている。

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