2004年12月27日月曜日

2004年の物理学重要発見:日本からも複数の寄与

 12 月 23 日、Institute of Physics(略称 IOP、ヨーロッパ合同の物理学協会)は物理学における今年の重要発見を発表した。来年、物理学界はアインシュタインの相対論、光の量子論、そしてブラウン運動についての重要論文発表の100周年を祝おうとしている。これに先立ち、今年の重要発見は、アインシュタインの 1905 年の業績につながるものを多く含んでいる [1]。

 IOP は今年の重要発見を次の 10 項目に分けて述べている。
  1. 純粋および応用量子力学
  2. 一般相対論の検証
  3. 惑星についての発見
  4. 超固体ヘリウム
  5. 超冷フェルミ気体
  6. ウィルスの物理学的研究
  7. 電子のスピンの研究
  8. 液体の変わった性質
  9. 最小原子時計
  10. 素粒子物理学の発展
 ほとんどの項目は、それぞれ複数の発見からなる。項目 3 には、サイエンス誌が今年最大の発見とした、火星の古代に水があった証拠の見つかったことが含まれる。項目 7 は、磁気共鳴撮像法と原子間力顕微鏡法を組み合わせて、個々の電子のスピンが撮像されたことを含む。これは American Institute of Physics(AIP、アメリカ物理学協会)の「物理学最新ニュース」でトップに選ばれたものである。なお、AIP では合計 30 の重要発見を挙げている [2]。

 日本での研究が、項目 8 に 2 件と項目 10 に 1 件取り上げられているのは、めでたい。項目 8 に引用されている成果の一つは、兵庫県シンクロトロン研究センターの片山ら、および東大の栗田らがそれぞれ発表した、液体が異なる 2 相に共存出来るという発見である [3]。項目 8 のもう一つは、強磁場が水の融点をわずかに上昇させるという、千葉大の稲葉らの発見である [4]。項目 10 におけるわが国からの寄与は、KamLAND チームが反ニュートリノ振動の確証を掴んだことである [5]。この発見は、ニュートリノに質量があることを示し、素粒子の「標準理論」の改定を迫る。

 各項目の詳細について学びたい方は、[1] とそこからのリンク先(いずれも IOP のニュース)を読まれたい。比較的分かりやすいことばで解説してある。

 IOP や AIP が、このように、重要発見のリストを発表しているのに対し、日本物理学会が同様の試みをしていないのは寂しい。

[後日の追記:以下のリンクは全てリンク切れとなった。]

[1] "Highlights of the year" PhysicsWeb (Dec. 23, 2004).
[2] "The top physics story for 2004" Physics News Update (Dec. 1, 2004).
[3] "Liquids double up" PhysicsWeb (Oct. 28, 2004).
[4] "Magnetic effects seen in water" PhysicsWeb (Dec. 6, 2004).
[5] "Neutrino oscillations are here to stay" PhysicsWeb (Nov. 17, 2004).

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