一日小雨の降り続いた昨日、こんなことを考えた。
♪雨がふるふる 城ヶ島の磯に 利休鼠の 雨がふる …♪ という歌がある(「城ヶ島の雨」、作詞・北原白秋、作曲・梁田貞)。利休鼠とはどんな色か。『広辞苑』(第三版)でその説明を見ると「利休色のねずみ色を帯びたもの」とある。「利休色」を見ると「緑色を帯びた灰色」とある。そこで後者の説明を前者の説明に代入すれば、「利休鼠」とは「緑色を帯びた灰色のねずみ色を帯びたもの」となる。
「ねずみ色」の説明を見ると、「青ばんだ淡い黒色、灰色」である。とすれば、「ねずみ色」は「灰色」と等置出来るだろう。上に書き換えた「利休鼠」の説明中の「ねずみ色」へ「灰色」を代入すれば、「利休鼠」とは「緑色を帯びた灰色の灰色を帯びたもの」の説明を得る。つまり「わずかに緑色がかった灰色」であろうか。
ただし、「ねずみ色」の説明にある「青ばんだ淡い黒色」と「灰色」は完全には同等でない気もする。「灰色」の説明には「灰のような薄黒い色」とあって、「青ばんだ」がないからである。「ねずみ色」の含む「青ばんだ」を考慮して、正確を期せば、「利休鼠」とは、「わずかに緑青色がかった灰色」となろうか。
上の写真は昨日、雨雲のかかっている空を撮って、緑と青の中間の色をわずかに施す加工をしたものである[Pixelmator Version 1.5 Spider (Pixelmator Team Ltd., 2009) 使用]。城ヶ島の雨が利休鼠であるのは、雨や雨雲自体がその色をしているのではなく、雨滴を透して磯が見える情景の色であろうが、わが家にいて磯の写真は撮れないので、雨雲で表した次第である。
ここまで書いて、インターネットの辞書「goo 辞書」を見ることを思いつき、調べると、「りきゅう-ねずみ」の説明に「わずかに緑色を帯びた鼠色(提供元:「大辞林 第二版」)」とあった。同じ「大辞林 第二版」の「ねずみ-いろ」の第一の説明は、「鼠の毛のような青みがかった灰色」で、『広辞苑』の説明と同じく青を含んでいる。したがって、この辞書の「りきゅう-ねずみ」の説明には「青ばんだ」も入っていることになり、完ぺきなようである。しかし、「鼠色」が「青みがかった灰色」と理解している人は、どれくらいの割合いるだろうか。
なお、[1] によれば「利休鼠」の RGB 値(16進数および sRGB 色空間による、HTML の color 属性;インターネットで使用されるもの)は "#54745C" となっており、それを使って表したこの文の文字が「利休鼠」の近似色である(閲覧環境によっては、色が適切に表示されない場合がある)。
同じ『ウィキペディア日本語版』の「利休鼠」のページの説明では、「緑色がかった灰色」で、これでは『広辞苑』の「利休色」と変らない。そのページには、HTML の color 属性を「16進表記」の名で "#888E7E" としている。このパラグラフの文字の色がそれである。
色全般についての『ウィキペディア日本語版』の項目としては、[1] のほかに、[3]、[4] もある。[4] に相当する英語版のページ [5] には、日本語版にはない「歴史」の項目があり、日本語版では色名の「あいうえお順」で各色の説明ページがリンクされているのに対し、英語版では色シリーズごとに分けた表を同じページ内に入れて説明しているのもよい特色である。「利休鼠」はその英語版ページでは "Green/Blue Green Series" に入れられており、やはり「青み」が関わっていることが分かる。HTML の color 属性は "Hex triplet" の名で "#656255" としてある。このパラグラフの文字の色がそれである。同じ「利休鼠」でも見立てはいろいろであり、互いにかなり異なる。私が想像して写真に表した色は "#54745C" に近い。
文 献
♪雨がふるふる 城ヶ島の磯に 利休鼠の 雨がふる …♪ という歌がある(「城ヶ島の雨」、作詞・北原白秋、作曲・梁田貞)。利休鼠とはどんな色か。『広辞苑』(第三版)でその説明を見ると「利休色のねずみ色を帯びたもの」とある。「利休色」を見ると「緑色を帯びた灰色」とある。そこで後者の説明を前者の説明に代入すれば、「利休鼠」とは「緑色を帯びた灰色のねずみ色を帯びたもの」となる。
「ねずみ色」の説明を見ると、「青ばんだ淡い黒色、灰色」である。とすれば、「ねずみ色」は「灰色」と等置出来るだろう。上に書き換えた「利休鼠」の説明中の「ねずみ色」へ「灰色」を代入すれば、「利休鼠」とは「緑色を帯びた灰色の灰色を帯びたもの」の説明を得る。つまり「わずかに緑色がかった灰色」であろうか。
ただし、「ねずみ色」の説明にある「青ばんだ淡い黒色」と「灰色」は完全には同等でない気もする。「灰色」の説明には「灰のような薄黒い色」とあって、「青ばんだ」がないからである。「ねずみ色」の含む「青ばんだ」を考慮して、正確を期せば、「利休鼠」とは、「わずかに緑青色がかった灰色」となろうか。
上の写真は昨日、雨雲のかかっている空を撮って、緑と青の中間の色をわずかに施す加工をしたものである[Pixelmator Version 1.5 Spider (Pixelmator Team Ltd., 2009) 使用]。城ヶ島の雨が利休鼠であるのは、雨や雨雲自体がその色をしているのではなく、雨滴を透して磯が見える情景の色であろうが、わが家にいて磯の写真は撮れないので、雨雲で表した次第である。
ここまで書いて、インターネットの辞書「goo 辞書」を見ることを思いつき、調べると、「りきゅう-ねずみ」の説明に「わずかに緑色を帯びた鼠色(提供元:「大辞林 第二版」)」とあった。同じ「大辞林 第二版」の「ねずみ-いろ」の第一の説明は、「鼠の毛のような青みがかった灰色」で、『広辞苑』の説明と同じく青を含んでいる。したがって、この辞書の「りきゅう-ねずみ」の説明には「青ばんだ」も入っていることになり、完ぺきなようである。しかし、「鼠色」が「青みがかった灰色」と理解している人は、どれくらいの割合いるだろうか。
なお、[1] によれば「利休鼠」の RGB 値(16進数および sRGB 色空間による、HTML の color 属性;インターネットで使用されるもの)は "#54745C" となっており、それを使って表したこの文の文字が「利休鼠」の近似色である(閲覧環境によっては、色が適切に表示されない場合がある)。
同じ『ウィキペディア日本語版』の「利休鼠」のページの説明では、「緑色がかった灰色」で、これでは『広辞苑』の「利休色」と変らない。そのページには、HTML の color 属性を「16進表記」の名で "#888E7E" としている。このパラグラフの文字の色がそれである。
色全般についての『ウィキペディア日本語版』の項目としては、[1] のほかに、[3]、[4] もある。[4] に相当する英語版のページ [5] には、日本語版にはない「歴史」の項目があり、日本語版では色名の「あいうえお順」で各色の説明ページがリンクされているのに対し、英語版では色シリーズごとに分けた表を同じページ内に入れて説明しているのもよい特色である。「利休鼠」はその英語版ページでは "Green/Blue Green Series" に入れられており、やはり「青み」が関わっていることが分かる。HTML の color 属性は "Hex triplet" の名で "#656255" としてある。このパラグラフの文字の色がそれである。同じ「利休鼠」でも見立てはいろいろであり、互いにかなり異なる。私が想像して写真に表した色は "#54745C" に近い。
文 献
- 「色名一覧」, ウィキペディア日本語版 [2009年12月13日 (日) 02:41].
- 「利休鼠」, ウィキペディア日本語版 [2007年11月9日 (金) 17:24].
- 「色」, ウィキペディア日本語版 [2010年1月8日 (金) 17:56].
- 「日本の色の一覧」, ウィキペディア日本語版 [2009年10月23日 (金) 12:55].
- "Traditional colors of Japan," Wikipedia, the free encyclopedia (21 December 2009 at 22:27).
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