先般、南部陽一郎博士についての過去の記事を見る必要があって、『日経ビジネス ONLINE』の無料登録をしたところ、ウィークデイには毎日、同紙記事の案内メールが届く。読みたい記事はあまりないが、2009年12月18日から週1回の連載で4回続いた「著者に聞く」コラムの「『ワタシの夫は理系クン』鼎談」という記事 [1] は、理系の私にとって少し面白く、斜め読みした。最終回の見出し「したくもない『雑談』をするスキルなんて、本当はいらないんじゃない?」は、まさに私がそう思って押し通して来たことを表しているかのようである。
鼎談者は『ワタシの夫は理系クン』[2] の著者でアニメ・コミックを専門にするカルチャー系フリーライター・渡辺由美子、日経ビジネス ONLINE 副編集長・山中浩之、自らも「理系クン」と自覚する科学技術振興機構研究員・福地健太の各氏である。三氏の結びの言葉の概略を以下に紹介するが、どれも、私自身が長年の経験で理解してきたことである。
渡辺:夫から聞いた「理系クン」的性分として、コミュニケーションに「100%完璧を求める」心理があるということに驚いたが、それは、私がつい考えてしまう「オールマイティであらねば」に近い心理だと思うと納得がいく。
山中:コミュニケーションのカギは、話し方でなく好奇心・興味と気づけば、「誰とでも話す」ことは、自分をだまさない限り無理と分かる。無理はしなくていいから「食わず嫌い」を直す感覚で、自分の「興味・共感エリア」を増やしていくと、楽しく話のできる相手が広がる。
福地:好きなこと最優先でかまわない。そもそもコミュニケーションは、100%でなくても失敗じゃない。
いま伝記 [3] を読んでいるイギリスのノーベル賞物理学者、P・A・M・ディラックは、会話によるコミュニケーション嫌いの最たる人であった。
文献
「『ワタシの夫は理系クン』鼎談」1, 2, 3, 4, 日経ビジネス ONLINE (2009年12月18日〜2010年1月15日).
渡辺由美子, ワタシの夫は理系クン(エヌティティ出版, 2009).
G. Farmelo, The Strangest Man: The Hidden Life of Paul Dirac, Quantum Genius (Faber and Faber, London, 2009).
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