2009年6月4日木曜日

イロハモミジの翼果

 イロハモミジ(いろは紅葉): 学名 Acer palmatum、カエデ科カエデ属の落葉高木。果実は翼果、長さ 1.5cm 程度の翼があり、夏から初秋にかけて熟すと風で飛ばされる。(以上、文献1)。

 写真は2009年5月24日、堺市・鈴の宮公園で。翼果が種子を遠くへ飛ばすための、流体力学的に絶妙な形をしているらしいことに感心して、このところ毎年撮影している。果実部分が黄色く翼部分が赤い実が、若葉の中に散在する彩りも美しい。

 余談ながら、私のブログを読んで貰った元同僚のF氏から昨日、感想のメールが届いた。「どんな小さな花でも、近づいてよく見ると、あっと驚くほど綺麗なことがありますね」として、次の句を引用してあった。
  よく見れば薺(なずな)花咲く垣根かな  芭蕉
小さな花の美しさに「あっと驚く」見方は、この句の「よく見れば」よりも微視的で、進んだ見方ともいえよう。ただ、その驚きを言葉に表すことは難しく、芭蕉にはかなわない。

 後日の追記:6月12日発行の Sience 誌に、オランダとアメリカの科学者たちが、カエデの種子が飛ぶ様子を風洞実験で観測したことが報告されている [2]。種子の落下中にその各翼の上部に空気の安定な渦ができ、それが浮力を生じて種子を長い時間空気中に浮かせる原因になっていることを見出したという。

文献

  1. 「イロハモミジ」, ウィキペディア日本語版 [2008年12月17日 (水) 05:50].
  2. D. Lentink, W. B. Dickson, J. L. van Leeuwen and M. H. Dickinson, "Leading-edge vortices elevate lift of autorotating plant seeds," Science Vol. 324, No. 5933 pp. 1438−1440 (2009).

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