2009年7月8日水曜日

『愛を読むひと』(The Reader: Film)

 さる6月23日、2008年のアメリカ・ドイツ合作映画『愛を読むひと』(原題 "The Reader")を見た。原作はベルンハルト・シュリンク (Bernhard Schlink) のベストセラー小説 "Der Vorleser"(朗読者)で、"The Hours"(めぐりあう時間たち)のスティーブン・ダルドリー (Stephen Daldry) 監督が映画化したものである。第81回アカデミー賞では作品賞を含む5部門にノミネートされ、ケイト・ウィンスレット (Kate Winslet) が主演女優賞を受賞している。

 以前、近くのシネマコンプレックスにおいてあったチラシを持ち帰ってちらっと見たときには、たんにロマンチックな物語の映画かと思ったのだが、重いテーマが潜んでいた。法律家ミヒャエル・バーク(Ralph Fiennes が演じる)がティーンエージャーだった(David Kross)1950年代の末、年長の女性ハンナ・シュミッツ (Kate Winslet) と交際するが、彼女はとつぜん姿を消してしまう。そして、8年後に、ハイデルベルク大学の法学生としてナチスの戦犯裁判を傍聴したミヒャエルは、その被告席の一つにハンナの姿を見る。彼女は姿を消してから、アウシュヴィッツ強制収容所の看守をしていたのである。ハンナは自分の刑が軽くなるはずの筆跡鑑定を拒否する。交際の間にハンナに『オデュッセイア』や、チェーホフの『犬を連れた奥さん』などを読み聞かせていたミヒャエルは、彼女の鑑定拒否は自らの個人的な秘密を守るための行為と気づき、別の形で再度彼女への朗読者となる決心をする。…

 原作は1995年、英語版は1997年に出版され、ドイツの小説としては初めて New York Times のベストセラー・リストの1位になっている。さらに、37の言語に訳され、大学のホロコースト文学、ドイツ文学の教材にもなり、日本語版(現在、文庫版 [1] で入手できる)も海外文学としては異例のミリオンセラーを記録したという。私も多分、この本の英語版の紹介をイギリスで発行されている "Good Book Guide" あたりで読んだことがあるのだろう。前半でミヒャエルが朗読するエピソードのあらましを知っていたような気がするのである。それはともかく、この作品に潜んでいる重いテーマとは、ナチスによるホロコーストの歴史を後世に正しく伝える重要性を訴えていることといえよう。わが国においても、太平洋戦争の歴史を歪めて教えられるようなことがあってはならない。

 この記事を書くにあたって、文献 [2〜4] を参考にした。

文献

  1. ベルンハルト シュリンク・著, 松永美穂・訳, 朗読者 (新潮社, 2003).
  2. 愛を読むひと, ウィキペディア日本語版 [2009年7月4日 (土) 12:13].
  3. The Reader (2008 film), Wikipedia, the free encyclopedia (4 July 2009 at 16:09)
  4. The Reader, ibid. (6 July 2009 at 22:35).

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