2009年7月30日木曜日

言葉と政治 (Words and Politics)

 来日して19年になる詩人アーサー・ビナードさんは、日本で年々、言葉と現実のずれが深刻になっている気がすることを懸念している [1]。言葉のすり替えやごまかしが増加しているのである。言葉がむしばまれたとき、それを立て直すのも詩人の仕事だとして、ビナードさんは次のようなすり替えの例を挙げている。

  • 民営化:「官から民へ」と聞くと身近になる感じがするが、「民」は市民のことではなく、民間企業のことで、「官」よりも遥かに遠い。

  • 規制緩和:優しく響き、先によいことが待っているような雰囲気だが、大企業の利益のために規制を緩めた社会では、市民や自然環境が犠牲になる実態がある。

  • 国益:アメリカでは大手石油会社と軍事関連企業をもうけさせようとするときに使われてきたごまかしの言葉。日本でもこれから盛んに利用されるだろう。

  • 国際社会:日本の官房長官や外務大臣が使うときには、米政府のことを呼んでいるに過ぎない。

  • グローバリズム:一部の特権階級がいつでもどこでも何のしばりも受けないで、ぼろもうけする「ムサボリズム」。

  • サブプライムローン:低所得者たぶらかし餌食住宅ローン。

  • 海賊:実は追いつめられた漁民。

  • 海賊対処法:日本国憲法の生き血を抜いて形骸化する法律になりかねないもの。

 私も上記の各政治語についてビナードさんと同様の解釈をしてはいたが、このように巧みに真実を突いていて、しかも分かりやすい表現をすることは難しい。胸のすく思いのするウソ指摘ぶりである。ビナードさんは「言葉は人をだます道具にもなるけれど、ウソを見破る道具も言葉」と述べて、市民の言葉の力で社会を変えていくことを勧めている。まずは、一カ月後の衆議院議員選挙において、「二大政党」マニフェストの裏に隠れているウソを見抜いて投票しなければならない。

文献

  1. アーサー・ビナード, 「言葉の力で社会を変える:"ウソ" 発見の能力高めよう」, しんぶん赤旗, 学問文化欄 (2009年7月28日).

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