福泉・鳳地域憲法9条の会が毎月9日に行っている宣伝・署名活動が、残念ながら雨天のため中止になった。マイク宣伝で使う予定だった文の一部をここに記す。
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さる6月、「海賊対処法」が国会で成立しました。この法律は、ソマリア沖での「海賊対策」を口実に、海上自衛隊の派兵と武器使用を強化し、また、防衛大臣の権限を拡大し、さらに、自衛隊の海外派兵に国会の事前承認を不要とまでするものです。
詩人のアーサー・ビナードさんは、これをずばりと批判する言葉を述べています。それは、「海賊対処法」とは日本国憲法の生き血を抜いて形骸化する法律になりかねないもの、という言葉です。
軍隊の派遣が海賊問題の解決に効果がないことが、現場の事実で示されているにもかかわらず、憲法9条を持つ日本が、なぜ、軍事的対応を進めるのでしょうか。政府と与党には、これによって、自衛隊の海外での武器使用に国民を慣れさせ、その先で、海外派兵恒久法を作ろうという魂胆があるのです。
海外派兵恒久法とは、「海賊対処法」をさらに進めて、自衛隊の派遣に、目的や武器使用への制限もはずし、アメリカ政府の要求に従って、自衛隊をアメリカ軍とともに海外で戦える軍隊にすることを、憲法改悪に先だって実現しようとする、いわば憲法ねじ曲げの手法です。
また、政府の「安全保障と防衛力に関する懇談会」はさる4日、防衛計画大綱の改訂に向けた報告書をまとめて首相に提出しました。その報告書は、米国に向かう北朝鮮ミサイルの迎撃を可能にすることや、「敵基地攻撃」の方策も必要であることなどを述べ、「これまでの防衛政策から一歩踏み出す」ことを強く打ち出しています。
このような一連の動きは、憲法9条を無視して、国民を戦争にまきこむ道をまっしぐらに進もうとするものであり、派兵や武装強化のための軍事費によって、福祉は圧迫され、昨今の著しい経済不況の中で、一般国民の生活を、いっそう苦しめるだけのものです。
きょう9日は、長崎に原爆が落とされて64年目にあたります。さる6日は広島に原爆が落とされた日でした。爆心地から遠く離れた場所で原爆の影響を受けた人々が、いまもなお原爆症認定も受けられないで苦しんでいます。戦争とは、多くの国民を悲惨な目に合わせるものです。
アメリカのオバマ大統領は、さる4月、プラハで行った演説で、「核兵器を使用した唯一の核保有国であるアメリカには、核兵器のない世界の実現に向けて行動すべき道義的責任がある」と述べました。歴代政権が、広島・長崎への原爆投下を正当化し続けてきたアメリカでさえ、このように平和へ向けて国の政策を変えようとしているときに、日本がもしも憲法を平和に反する方向に変えて、海外で戦争をする国になるならば、それは歴史の歯車を逆転させる、まことに愚かな行為といわなければなりません。
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参考:8月6日、秋葉・広島市長が読み上げた「平和宣言」に以下の一節があった。引用文中の「日本国憲法」は、ここでは当然、同憲法の9条を中心とした平和理念を指すものである。
…それにこたえて私たちには、オバマ大統領を支持し、核兵器廃絶のために活動する責任があります。この点を強調するため、世界の多数派である私たち自身を『オバマジョリティー』と呼び、力を合せて2020年までに核兵器の廃絶を実現しようと世界に呼びかけます。その思いは、世界的評価がますます高まる日本国憲法に凝縮されています。
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