サイエンス誌125周年記念号表紙の一部
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アメリカで発行されているサイエンス誌が、この7月1日、125周年を迎えた。その記念号は、「われわれは何を知らないか」と題する特集 [1] を組み、来る四半世紀間に科学が直面する25の大きな疑問と、これに続く100の疑問を掲げて解説している(合計が記念の年数に等しい)。近い将来の科学の方向に関心のある方がたのために、「大きな疑問」のリストをここに引用する。私の専門外分野の疑問において、術語の訳に適切でないものがあれば、お許しを乞う。
- 宇宙の組成は何か
- 意識の生物学的基礎は何か
- ヒトはなぜ少数の遺伝子しか持たないか
- 遺伝の変動と個人の健康はどの程度関連しているか
- 物理学の法則は統一されるか
- ヒトの寿命はどれだけ延ばせるか
- 組織再生を制御するのは何か
- 皮膚細胞はどのようにして神経細胞になり得るか
- 単一の体細胞がどのようにして植物全体になり得るか
- 地球の内部はどのように動作しているか
- 宇宙に、生物のいる天体は他にもあるか
- 地球上の生命はどのようにして、どこから生じたか
- 何が生物種の多様性を決めるか
- どのような遺伝的変化がわれわれをヒトという特異な生物にしたか
- 記憶はどのようにして貯蔵され引きだされるか
- 協力の振舞いはどのようにして進化したか
- 生物学的データの集合から全体像はどのようにして現れるか
- 化学的自己集合はどこまで推し進められるか
- 在来型コンピュータの限界は何か
- 免疫反応を選択的に押さえることができるか
- 量子力学の不確定性と非局所性のもとになる深層原理はあるか
- 効果のあるHIVワクチンはできるか
- 温室効果で世界はどれほど暑くなるか
- 何が安い石油の代替となるか、そしてそれは、いつか
- マルサスの理論は間違いであり続けるか
皆さんは、どの疑問が最も興味深いと思われるだろうか。私は、物理屋として、1、5、21に、人間として、2と6に、地球上に生きる一員として、10、11、23、25に興味を引かれる。これに続く100の疑問についても、できれば紹介したいのだが…。
"What don't we know?" Science Vol. 309, p. 75 (2005).
[以下、最初の掲載サイトでのコメント欄から転記]
テディ 07/07/2005
私のベスト3は、1、12、2ですね。
数日前「ディープインパクト」が彗星に無事?衝突しましたが、これによる調査結果に興味あります:「ディープインパクト最新情報「衝突の閃光」を捉えた」
Ted 07/07/2005
私もディープインパクトの彗星への衝突による調査には興味があり、衝突のニュースと、何が分かる可能性があるかをブログに書きたかったのですが、折しもサイエンス誌125周年記念号が到着したので、そちらは天文関係のニュースにまかせることにしました。
Y 07/08/2005
ヒトなどの生物学的基礎を問うものが多いですね。私の関心もその分野にありますが。
こうしてみると、遺伝学の成立が科学的疑問にこたえてきて、さらにより基礎的な、あるいは高次の疑問を喚起するという功績は大きいのだろうと思います。私の夫も元々は免疫遺伝学をやっていますので、遺伝学に強いというのは研究を生み出す手持ちの通路としては、うらやましいです。
Ted 07/08/2005
遺伝子の解読など、生物学の方法も物理学に近づき、以前ならば物理学や天文学に引かれたような子どもたちの多くも、これからはどんどん生物学に向かうでしょう。
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