2005年8月28日日曜日

ラッセル・アインシュタイン宣言50周年

 さる1月にラッセル・アインシュタイン宣言に触れたブログ [1] を書きながら、今年がその50周年にあたることに気づかなかった。一昨日、宗川吉汪(そうかわ・よしひろ)京都工芸繊維大名誉教授の「ラッセル・アインシュタイン宣言の精神と日本国憲法第9条」という論文 [2] を読んで、それを知った次第である。ラッセル・アインシュタイン宣言は1995年7月9日付けとなっている。1ヵ月と20日ばかり遅れたが、宗川論文をここに紹介することによって、私も同宣言を讚えたい。

 哲学者バートランド・ラッセルは物理学者アルバート・アインシュタインとともに、水爆戦争による人類の危機を訴えるこの宣言を起草し、湯川秀樹を含む世界の著名な科学者11名(うち10名がノーベル賞受賞者)の署名を添えて発表したのである。宗川名誉教授は英語の原文 [3; 本ブログ末尾の資料 (1, 2) にも一部をコピーした] と自らの和訳を論文末尾に添付している。

 宣言は8節から構成され、最後の第8節は決議となっている。その決議は、各国政府は戦争を放棄し、紛争の解決には平和的手段を見出すべきである、というもので、宗川論文は、「日本国憲法が危機に陥っている現在、これは日本人に重く響く。9条を守ることは、まさに、宣言の精神に則っている人間的かつ人類史的闘争である」と述べている。

 論文はさらに、宣言の指摘した世界規模の東西対立は、1991年のソ連の崩壊で表面上解消したが、それで人類の危機は去ったのではなく、現在、とくに2001年の9.11以来、危機はさらに深刻になったと見るべきだと指摘する。そして、アメリカが、9.11テロ誘発の原因も考えずに、むしろそれを利用し、アフガニスタンとイラクで多くの市民を虐殺する攻撃を行い、その鉾先を他の国ぐににも向けようとしているいま、もしもわれわれが憲法9条を放棄すれば、日本人の、「人」としての使命も放棄することになる、と結論づけている。[米国や日本を含む世界の軍事費の最近の傾向については、資料 (3) を参照されたい。]

 著名科学者たちが50年前に賛同した宣言の精神をかえりみて、憲法9条との一致を知るとき、来る衆議院議員選挙には、憲法を守る政治家をこそ選ばなければならないという思いを強くするのである。


  1. アインシュタインの社会的業績と坂東昌子教授 (Ted's Coffeehouse 2005年1月13日).
  2. 宗川吉汪, 日本の科学者 Vol. 40, p. 498 (2005).
  3. ラッセル・アインシュタイン宣言(The Russell-Einstein Manifesto, 1955)の原文は、例えば、The Russell-Einstein Manifesto, Web page of Pugwash Conferences にも掲載されている。

【資料】

(1) ラッセル・アインシュタイン宣言:決議部分の原文
"In view of the fact that in any future world war nuclear weapons will certainly be employed, and that such weapons threaten the continued existence of mankind, we urge the governments of the world to realize, and to acknowledge publicly, that their purpose cannot be furthered by a world war, and we urge them, consequently, to find peaceful means for the settlement of all matters of dispute between them."

(2) 同宣言の署名人
Max Born, Percy W. Bridgman, Albert Einstein, Leopold Infeld, Frederic Joliot-Curie, Herman J. Muller, Linus Pauling, Cecil F. Powell, Joseph Rotblat, Bertrand Russell, Hideki Yukawa.

(3) 世界の軍事費
 世界の軍事費の最近の傾向については、「軍事費の急増:貧困救済や教育に回したい」に、数値を挙げて述べられている。

 追記:新着記事「小泉・自公政治 このムダ遣い」の後半には、米国防総省「共同防衛にたいする同盟国の貢献度報告」2002年版による米国、日本、英国、ドイツ、フランスの1990年と2001年の軍事費がグラフで示されている。他国の軍事費が減少している中で、日本だけがこの間に増大を示し、英国などを抜いて、米国に次ぐ値になっているのは、異常な「軍拡」というべきであろう。

[以下、最初の掲載サイトでのコメント欄から転記]

ルーシー 05/20/2006
 Ted さん、コメントありがとうございました。お願いがあるのですが~、英文ではなく和文にてコメントお願い致します、お手数ですがまたコメントお待ちしています。

Ted 05/20/2006
 私の使っているマックでルーシーさんのコメント欄に日本語を入力したところ、文字化けしましたので、英文にした次第です。書きましたのは次のようなことです:トラックバックありがとうございます。ルーシーさんのブログでは、アインシュタインへのノーベル賞授賞理由が、特殊相対性理論の発見のように取れますが、実際の授賞理由は、「理論物理学の諸研究とくに光電効果の法則の発見」でした。

ルーシー 05/21/2006 00:51
 Ted さん、お手数おかけしました。だいたいは英文で把握出来て訂正をしました。確かに誤解を受ける表現でしたね。しばらく気が付きませんでした(笑)。お恥ずかしい次第です! ありがとうございました。ではまた!

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