妻が購読している『通販生活』の2005年秋号に、上のイメージのような冊子が付いてきた。特別付録である。大きな文字の「憲法を変えて戦争へ行こう」だけを読むと、「これはなんだ?!」と思うが、小さな文字の「という世の中にしないための18人の発言」まで読んで、私は安心した。
これは、岩波ブックレット No. 657。これを付録として添付することを、通信販売のカタログハウス社が、憲法九条改変の賛否両論を読者から求める企画として実施したものである。挿入されている挨拶文の中には、次の一文が太字で記されている。
私たちは「九条を守る」よりもっと大切なことは、九条は変えないほうがいい、いや、変えたほうがいいよと、お互いにのびのびと持論を表明し合える「言論の自由を守る」ことだと考えています。
時宜を得たよい企画だと思う。このブックレットで発言しているのは、広い分野にわたる次の人びとである。[活躍分野が複数の人たちについては、()内の説明を代表的なもののみにとどめた。]
中村哲(医師)/美輪明宏(歌手)/香山リカ(精神科医)/吉永小百合(俳優)/姜尚中(東大大学院教授)/松本侑子(作家)/井筒和幸(映画監督)/辛酸なめ子(漫画家)/ピーコ(衣装デザイナー)/猿谷要(東京女子大名誉教授)/井上ひさし(作家)/半藤一利(作家)/森永卓郎(独協大特任教授)/渡辺えり子(劇作家・演出家)/黒柳徹子(俳優)/品川正治(経済同友会終身幹事)
このブックレットには、木村裕一(詩)・田島征三(絵)による「子どもたちのだれかが」と題する2ページもある。
世界の国々を、子どもたちにたとえてみた。/…/4百万年の歴史を経た 人類の知恵も/ふと気がつけば/愚かな子どもたちのケンカに、実によく似ている。
「愚かな子どもたちのケンカ」に似た「人類の知恵」とは、戦争のこと。まったく、その通りではないか。憲法とは理想をこそ追求すべきもの。それを、戦争を可能にする形に変えるならば、まことに愚かな退行でしかない。
今、この子どもたちのだれかが/「もうやめようよ」と 発言しなければ、/この先どういう未来が 待っているのだろうか。
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